第41倭 白玉河にてシセイペレしていたモノ
話を聞いて探しに…
「羊脂をはじめとする玉さは…主に河で採れるさ。上流さ昇るほんどおっきいモノさみつかるべさ。あと…牛や羊の乳のような色合いでつやさあって手触りがなんまらなめらがなモノ、しがも透明感さあるモノなら最上だべさ♪ まぁ…お前さんたぢさなら…これは良いんで無いかい?そう観じるヤツさ集めてきでくれれば問題ないべさ!」
先ほど純陀からそう教わり白玉河に来ると…確かに小石に混じりメレメルするモノが…イコロ=タㇰと思しきモノが伺えた。
「あるある! コレならすぐ終わるじゃん!」
そう言いながら拾い始めたアビヒコに対し…目を閉じナニカを観じながらオオトシが言う。
「…この辺りのでは恐らく…玉のチカラが弱いと思われます」
「うむ…さらに上流の方が良いと観える」
ウガヤも賛同し、一行はさらに山の奥、河の上流へと向かっていった。
「うわ~きれい~♪ 向こうのキムのウペペ=ワッカがチヤイコレしてチュァンになっているのね~♪」
上るほどに透明さを増し澄んでゆく流れを見つめながらミチヒメはそう言った。
「ホント! この辺りはそのまま飲んでもおいしい♪」
手ですくい水を飲みながらスセリもそう言った。
ヤレパチプを泊めてさらに上流へ向かうと、この川に合流している支流の水源となるナムワッカが見つかった。
「こんな風に雪どけ水がチヤイコレしてナイになりペㇳに流れ込んでいるのですね~♪」
感心しながらヤチホコはそう言った。
地中深くを通る水が至る所で湧出して泉となりそれらが合流して川になり…クニへと…そしてさらに砂丘続く平原へと流れ込んでいる様である。
ナムワッカの底を覗いてみると…確かにかなりの数の白く輝く玉が確認できる。
「…あるわね…! これだけあればアタシの分も…!」
ナムワッカの周囲にも…土や砂や茂みに紛れかなりの数がある様に伺える。
「各々イコラムサㇳする玉を集めていきましょう」
オオトシがそう言うと全員氣力を軽く放ちながら探し始めた。
暫く周りを観じながら歩いているとミチヒメがナニカに気付いたような振舞いを見せた。
(…こっちこっち…ここだよ…)
ミチヒメはそう語り掛けてくるヲモヒを確かに観じ取り、茂みの奥へと入って行った。
(…この下だよ…そっとね…)
枯れ草を丁寧に手で掻き分け少しずつどかしていくと…不思議な形の玉があった。
色は…透き通る白でいながら少し黄味がかった膜に包まれたような…まさに純陀に教わった通りの最高の羊脂白である…!形は…どことなく…丸まって眠る胎児や赤子の様に観える。
「…まさか…あなた…なの…?」
小さくも美しい赤子のような羊脂白の玉を両手でそっと救い上げミチヒメは思わず尋ねた。
するとぼんやりと輝くしだしてまたヲモヒが伝わってきた。
(…うん、そーだよ。あの後…気づいたらここにいて…ずっと…誰か来ないかなと待ってたんだ…。まさかミチヒメが来てくれるなんて…待ってて良かった)
どうやら先の話にあった生ける玉…如意宝珠のイリチであったたましいがこの地に生まれ変わりをしていたようである。
本来生きとし生けるモノは勿論、無生物にも魂…ラマトゥは存在する。
中でも明確な自我…“自由意思”を獲得できたこの玉は実体を失いし後我々同様次なる生へと…そして恐らく前の世での良き行いにより記憶を持ったままの転生となったのであろう。
「ああ…良かったぁ…。あの刻…あなたのおかげでわたしとラーマさまは…」
(うん…観ていたよ…本当に良かった♪ あの刻ね、皆の役に立ててうれしかった…。あのさ…また…おじいの所に連れて行ってもらえる? そしたらきっと…また役に立てると思うんだ…!)
「もっちのろんよっ! ぜったい連れて行くわ! 役に立てても立てなくっても良いから…また一緒にパイェ=カイしよ?」
(…ありがとう…たのしみだね…♪)
そこまでイレンカを伝え終えると不思議な玉…おそらくイリチであったモノは明滅をやめて沈黙した。
「…待っていて、すぅぐに前のキミにしてもらうからね…!」
そう言って大切そうに玉を胸元にしまい込むと皆の方へ戻って行った。
「そうでしたか…良かったですねミチヒメ」
ミチヒメから事情を聴くとオオトシは優しくそう応えた。
その言の葉を聞いてミチヒメは笑みを浮かべて頷いた。
「さぁ…それでは他にも良き玉がないか観てみましょう」
皆己のイレンカの赴くままに玉を探す。
少ししてウガヤが呼ぶ声が聞こえ皆集まると…川の中に巨大な玉がある…。
「こ、これはさすがに…ですよ…ね…?」
ウガヤはゆっくりと清流の中玉の方へと歩んでいく。
「まさか…ウガヤ兄…」
「…この玉塊にこの上なくイコラムサㇳした故…むん!」
そう言うとウガヤは氣力を解放し玉を抱えゆっくりとチカラを込めていく…。
水しぶきと共に巨大な岩の様な玉は浮かび上がった…!
(た、単純なチカラでは一生敵わないかもですね…!)
ヤチホコは感心しながらも引きつった表情でそう思った…。
「…あった…!きっと…コレよ!まちがいないわ…!」
手のひら大のきれいな球状の玉をかかえてキクリは言った。
「僕は少しいびつなのですが…コレです…」
「へぇ~。確かにヘンテコな形だね! どれどれ…」
スセリはそう言って良く観ようと近づいて触れた瞬間乾いた破裂音と共に二つに割れてしまった…。
「ああ~! も、もろくなっていたのかな? ヤチゴメン!」
両の掌を顔の前に合わせスセリは謝った。
「え? スセリちゃんが触る前に割れた様にに観えましたよ? それから…元々一つだったモノが二つに割れたのは、僕らで一つずつ持ちなさいと言う事かなと思いました♪」
ヤチホコのその言の葉を聞いてスセリは嬉しそうに小さな方のカケラを握り締めた。
「じゃ、じゃぁ…こっちはボクがもらうね♪へへ♪」
「はい! 僕はコチラを持って帰りますね♪ あ、ミヅチとオオトシ兄はどうでしたか?」
にこやかにスセリに応えた後にヤチホコはそう二人に尋ねた。
「ミヅチは…まえにやまた…じゃなかった、ヤィ=モ=トーヤさまにもらったものよりいいなとおもうのはなかったよ」
「私もです…ヤマトゥㇺ=モシリに赴く際に…スサノヲ様より賜りしこのワンウサ=カムイ=イコロ程イコラムサㇳされるモノはありませんでしたね」
ヤチホコは、なるほど二人はすでに究極に近い素晴らしい宝玉を持っているのだなと感心してアビヒコに尋ねてみる。
「アビヒコはどうでしたか?」
「とうさんからもらったこれより強く心惹かれるモノはなかなかないみたいだね」
観せてもらうと…それは羊脂白と墨色の玉を半分ずつ合わせて造られたモノであった。
「うわぁ…何やら不思議なトゥムを観じますね…!」
「あぁ…。これのおかげで反対同士のチカラがはなれずにつり合い取れているんだ」
アビヒコの体質の要となるようなものだったらしい。おそらくは先の災難の後にルースが用意したのだと思われる…。
「…どうやら皆一通り観じてみた様であるな…。ならば一旦この辺りで純陀エカシの所へ持ち帰り鑑定していただくとしよう」
ウガヤのその言に一同了解し下流に泊めてあるヤレパチプの元へと向かっていった。
ウガヤのは持ち歩くにはあまりに不便ですがさて…(^-^;
用語説明ですm(__)m
・こちらのクニでは基本「川」は「河」と書きます。それに日本的な意味として大きさに合わせて字を変えたりもしていますm(__)m
・シ=イコロ=タㇰ:最高の+宝の玉→「如意宝珠」(このお話では生ける宝玉)としました。
・ワンウサ=カムイ=イコロ:十の+種々の+神の+宝→「十種の神宝」としました。
・キヌㇷ゚:草むら、平原、茅原→「茂み」としました。
・イコラムサㇳ:モノに心惹かれる→「心惹かれる」としました。
・シセイペレ:生まれ変わる→「生まれ変わる」「転生」としました。
・ナイ:沢、筋、くぼんでいて流れる小さな川
・ペㇳ(ペッ):川
・ヤィ=モ=トーヤ:自身を示す+静寂、沈黙、静かである+湖畔、湖岸→「静寂な湖畔で自己顕示するカミ」→「鏡水顕導神」としました。通称ヤマタの正式名称です(^-^;




