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第36倭 セレマク解くモノ棲み家目指すモノ

イヅモへ…

 次の日の朝、ヤチホコとスセリはムカツヒメの元よりイレスミチ(養父ようふ)住まうイヅモはオ・ウ=ナ(意宇国)へと旅立っていった。

 冷涼(れいりょう)で心地良いレラ()が頬をくすぐる。


(…この分ですと…もう少しで着きそうですね…)


「…ヤチ…。昨日…パセ=トゥスクル(大日霊女おおひるめ)さま…かあさまとナニしてたの?」


 こういう時は(するど)いなぁと思いながらヤチホコは応える。


「…カムイ=ヘセ(神威息吹かむいぶき)によってチカラを吹き込んで頂きましたよ」


 ああ!どーりで!朝から…なんか、トゥム(氣力)が…今までとゼンゼンちがうから!」


(あ、今回は…ノコスケ(やきもち)じゃなかったみたい…ふう…。)


 ヤチホコはラム=シリネ(ほっとする)して胸を()で下ろしながらスセリのイタク(言の葉)再度(さいど)考える。


(…(ぼく)のトゥム…何か変わったのでしょうか…?)


 自覚(じかく)できる変化は(かん)じない。それもイヅモで(わか)るだろうとのイレンカ(ヲモヒ)でヤチホコはそれ以上考えず進む事にした…。


「…二人とも良く戻られましたね」


 オオトシがわざわざモシリの入り口まで迎えに来てくれていた。


「…話は我が母クシナダより聞いています。(わたくし)達三名共同行(いた)しましょう」


 オオトシの背後(はいご)からキクリとミヅチも顔を出した。


「ヤチホコ久しぶりだわ…!」


「スセリちゃんもげんきそーだね♪」


「そちらも二人ともお元気そうですね♪ あ、ところで…」


「…没問題(メイウェンティ)だわ♪」


「けーやくでしょ、できてるよ!」


「さっすがですね♪…では後は僕たちだけですね!」


 ヤチホコのイタクに対しオオトシが応えた。


「ヤチホコ…あなたはすでに準備できています…。属性(ぞくせい)(クウ)”を持ちえしモノは…ラムハプル=モシリ(自然の)=コロ=クル(盟主)との契約ではなく、空のトゥムを自身(じしん)によって(ぎょ)せれば良いのです。そして…パセ=トゥスクルさまがすでに儀式(ぎしき)をお()ませになられてらっしゃるようです。…試してみたら良いでしょう」


(…あ!あの(トキ)の…カムイ=ヘセは…その為でしたか…!)


 なるほどと思ったものの今までの状態をエシカルン(思い出す)し、オオトシに(たず)ねた。


「…自分で放つには…どの様にしたら良いのでしょうか…?それから…この“空”のトゥム解放した後物凄(ものすご)く大変だった気がしますが…」


セレマク=ピタッパ(守護神封・解)と唱え、いつもの様にトゥムを()り上げられてみてください」


 オオトシのそのイタクにヤチホコは(うなず)いて(こた)える。


「では…守護神封・解(セレマク=ピタッパ)…!」


 そのイタクと同時に左上腕に装着していたセレマク=アカム(守護封環)メレメル(光り輝く)して

 ヌム=アトゥ(留め金)(はず)れ地面に落ちる。

 同時にまわりのモノも(かん)じる程にあからさまにトゥムの雰囲気(ふんいき)が変化した。


「…このまま…練り上げて…やぁ!」


 ヤチホコから例の透明(とうめい)(かがや)くトゥムが吹き上がる。


「…そのまま辛さを観じない範囲(はんい)まで調整(ちょうせい)して下さい…そう…中々に上手です…。」


 オオトシに言われた様にイレンカ込めて念ずると…空のトゥムを放出したままいつも通りに動ける状態になった。


「…そこが現時点(げんじてん)での限界(げんかい)(よう)ですね…。練り上げていけば更に高みに(いた)れるでしょう。…それでは…そのまま一(げき)放ってみてください」


 そう言うとオオトシはトゥムとヌプル(霊力)ウカムレ=エトゥッカ(融合発動)させ…メル=ストゥ=マェ(輝く根源の力)(まと)いし状態へと変貌(へんぼう)した。


「あ!それはあの…カムイキリサム(神前)コラムヌカラ(比武)の刻の…!今()ると…本当に凄いですね…!」


「…モシリ=コロ=クル(クニを治めしモノ)の条件でもありますからね…さぁ…来なさい…」


「ハイ!行きます!」


 ヤチホコはイコロ()逆手(さかて)(かま)え大きく()りかぶり集中し始めた。

 イコロにもゆっくりとトゥムが伝わっていきメレメルし始めた。

 剣先までトゥム行き渡り強くメレメルした時点でオオトシを見据(みす)え一直線に斬りかかる。

 オオトシは瞬時に同様にイコロへチカラを行き渡らせ受けとめる。


(…この状態の(わたくし)に…トゥムのみでここまで届きますか…!)


 通常メル=ストゥ=マェ解放せしモノにトゥムのみのチカラは届かない。

 先のミカヅチに対するミチヒメの発勁(はっけい)の様にすり抜けてしまう。

 唯一の例外が空の属性(ぞくせい)のトゥムである。空のトゥムは元々ヌプル=ケゥトゥム(霊性)()びており、そのままでもある程度(ていど)通用するのである。


「よろしいでしょう…それでは今度はそのままヌプルを高められてください…!」


 ヤチホコはオオトシに言われた通りに試みると…うまく高められない。


「こ、この状態でもヌプルの扱いはうまくいきませんね…」


 オオトシはヤチホコを深く観てみた…。


(…シンノ=レンカィネ(真理の源泉)ケゥエ(からだ)が…うまく連動(れんどう)していませんね…?)


 真理の源泉(シンノ=レンカィネ)…誰もが持つと言われている無限(むげん)可能性(かのうせい)()めた才能(さいのう)(たね)である。

 ヌプルはそこより発し()き上がるチカラである。これとケゥエに備わりし…そしてケゥエに集め得るチカラ…氣力(トゥム)融合発動(ウカムレ=エトゥッカ)させるのがオオトシや先のミカヅチが纏いし輝く根源の力(メル=ストゥ=マェ)である。


(…元々この二人はヌプルの扱いが苦手でしたね…ヤチホコはトゥムを閉じたら(かろ)うじてヌプル=インカラ(観の眼)が出来ますがスセリに至っては全く使えませんでしたね…。ここの(レン)(トキ)がかかる所かもしれませんね…)


「…よろしいでしょう。セレマク=アシ(神封)と唱えてお戻り下さい…」


 ヤチホコは言われた通り(じゅ)を唱えた。脱力感(だつりょくかん)疲労(ひろう)感あれど以前の様に激痛(げきつう)で動けないと言う事はなかった。


「ふう…。すごく(つか)れますが…大丈夫ですね!」


「その様ですね…。さて、残るスセリは…どの属性の盟主(めいしゅ)契約(けいやく)されたいですか…?」


 ヤチホコの様子を確認した後オオトシはその様にスセリに話しかけた。


「…ボクは…とうさまも使っていた…(レラ)が良いな…」


「…わかりました。それでは明日…風の盟主の棲み家(すみか)へ参りましょう」


「契約ってどういう事をするのですか?」


 ヤチホコは素直に疑問に思ったことを尋ねた。


「契約は…その盟主…そして契約するモノの資質によってまちまちなのです…。(わたくし)が火のラムハプル=モシリ(自然の)=コロ=クル(盟主)と契約した刻は…イタク(言の葉)交わすだけで出来ました。しかし風の盟主の刻は…三日三晩イレンカを(ささ)げやっと叶いました」


「アタシも…何もしないですぐ出来たわ…♪」


「ミヅチはもうできてるよっていわれたよ♪」


「意外と難しくなさそうですね♪スセリちゃんも頑張ってくださいね♪」


「うん!しっかり契約して戻らないとね!」


 その晩はクシナダと八俣に仕えしトゥペス=メノコ(八乙女)が腕を振るいもてなしてくれた。


「さぁ…たーんとお召し上がりくださいませ♪」


「わぁ♪クシナダさまありがとうございます♪」


 ヤチホコは感謝を述べ真っ先に料理に手を伸ばした。

 次いで負けじとミヅチ、そしてキクリ、スセリも食べ始めた。

 十分に満たされた所でクシナダとトゥペス=メノコ(八乙女)達が舞い始める。

 先のミカツヒメとはまた一味違い、力強さは無いがより妖艶(ようえん)さあふれるモノであった…。


(…観ているこちらも元気になるようですね!…目のやり場に困るのはミカツヒメさんの刻とおんなじですが…)


 ひととおり宴を終えると皆でスス湯浴み に行った。


(…今回はトゥペス=メノコ(八乙女)さんたちもいましたので…大変良かったと言いますか…シク=ウウェピリカ(眼福がんぷく)でした♪やはり最後はクシナダさまにつかまりましたが…お仕置きされても悔いはありません…!)


 そうイレンカ巡らせ、アスケウコム(にぎりこぶし)を作りながらヤチホコは床に就いた…。

 その様を見てエプトゥトゥ(ふくれて怒る)気味に頬をつねるポンマッカチ(少女)と一緒に。


レラのラムハプル=モシリ=コロ=クル棲みし処へ…


用語説明ですm(__)m

・シク=ウウェピリカ:目+幸せに暮らす→「眼福」としました。

・トゥペス=メノコ:八つの(八人の)メノコで…八乙女としました。

・シンノ=レンカィネ:真の+希望レンカ神の思し召し(レンカィネ)→「真理の源泉」としました。これは…仏教でいう所の「仏性」です。

どの様な存在にも真に「仏」となる可能性が秘められている…という教えより引用しました。

…物語の中で結構大事なキーワードになっていきます…。

・ヌプル=ケゥトゥム:霊力+心、精神、性質より…→「霊性」としました。

・セレマク=ピタッパ:守護神+一斉にほどく→「守護神封・解」としました。

・セレマク=アシ:守護神+閉じる、閉める→再度封印をする為の呪として「神封しんふう」としました。

・セレマク=アカム:守護神+輪状の狩猟道具→「守護封環」としました。

・エプトゥトゥ:ふくれっ面をする、怒る→「ふくれて怒る」としました。

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