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第32倭 シ=パセ=カムイに讃えられしスサ=パセ=ルーガル

シ=チャシで待つのは…

 この広大な地を治めるだけあり、城壁の大きさや街の規模もさることながら、帝…カムイ=モン(神威代行)タサ=クル(実践者)の住まいも兼ねるこのシ=チャシ()一際堅牢(ひときわけんろう)で立派であった。


「これは…あ、でもウガヤ兄の一撃でしたら軽く貫通(かんつう)しますかね?」


 そんなふうに推測するヤチホコに対し微笑んでウガヤは言う。


「…良く()て見よ…(じゅ)(ほどこ)してある。一筋(ひとすじ)にはゆかぬぞ?」


 その言葉を受けてヤチホコが懸命(けんめい)にヌプルを目に集め()らすと…ナニカが観えた。


「わ、ほ、本当ですね…。これは…付与霊呪(ラムハプル=ヌプル)の応用…でしょうか…?」


 それを聞いてウガヤは少し感心して応えた。


「いかにも。…大分観える様になったであるな。すなわち…」


「…チカラが無いと通れない…ウタラ(一般民)には不可能なしろものだね…!」


 アビヒコも門を観ながらイタク(言の葉)を続けた。


「この強大なポロ=モシリ(大国)が今までに…これ程の門が必要な程の攻撃を受けた事がある…と言う事でしょうか…?」


「聞き及んだ話ではおよそ三百数える程の昔、白金(はくきん)(かがや)く九尾の()(おそわ)われたらしい」


「あ、それで堅固(けんご)な門を…」


「…しかも…その九尾携(きゅうびたずさ)えしモノは…このモシリ全てを滅ぼす程のモノであったと聞く…」


「それではいくらこの門であっても突破(とっぱ)されてしまいますね」


「…どうであるかな…?ヤチホコ、アビヒコ、それぞれこの門全力で開けようと試みてみよ」


 言われた通りにしてみると…全く開く気配がない。


「…ではアビヒコはヌプルを、ヤチホコはトゥムを高めし(のち)同時に試してみるが良い」


 言われた通りにして同時に門に手を置き押し開こうと試みた。


(…あれだけの強さで押しても動きませんでしたからきっと二人でも…)


 ヤチホコのそのイレンカを他所(よそ)に門はすぅっと動いて開き始めた。


「あ!…う、動きます!ど、どうしてでしょうか…?」


「あ、そうか!ヌプル(霊力)トゥム(氣力)を同時に込めないと開かないんだ!」


左様(さよう)。…カムイ、もしくはその可能性ありし存在のみ開けるのである」


「先の災厄再来(さいやくさいらい)せし(トキ)…チカラとなれるモノのみ通す故…ヌムケ=ソイ(選別の門)と呼ばれている」


 開門時にトゥムとヌプルを同時に込めないとどの様に強き力でも開かない為結果的にチカラあるモノを見()役割(やくわり)となっている様である。


(…と言う事は…ここにも僕たちの様なチカラを使える方がいると言う事ですね…)


 この世界の全てのモノが彼らの様にトゥムやヌプルを使える訳ではない。

 全ての存在(そんざい)構成要素(こうせいようそ)たるチカラだが、他者(たしゃ)影響(えいきょう)(およ)ぼしたり、大きくウタラを()える程自身(ほどじしん)を強化出来る存在は(かぎ)られる。もちろん修練(しゅうれん)を積めば誰でも強くはなるが、例えばトゥムにおいてウガヤやミチヒメの域はごく少数で(まれ)である。ましてやウカムレ=エトゥッカ(融合発動)出来るモノなどほとんど存在していない。それこそ“カムイ”と呼ばれし存在のみの(わざ)とされているモノである。

 ただし、身分、家系に()らず無作為(むさくい)に能力を持つモノは生まれる為、知られざる強者も存在する可能性がある。アビヒコなどもその(たぐい)である。少なくともルースと(シャン)はトゥムやヌプルの大きさ、強さからはただのウタラであるが、アビヒコはヌプルを扱え、カムイ=カミヤシ=ア(神魔並)ケ=ウク=アリキッパ(行励起)時のトゥムは通常のウタラを大きく上回る。

 その他のモノは…カムイであるハヤスサノヲとパセ=トゥスクル(大日霊女)たるムカツヒメの系譜(けいふ)なので本人も周囲のモノも疑問も抱かずその力を認識している。

 実は現在で言う肉体的な遺伝形質(いでんけいしつ)はさほど重要ではなく、ラマトゥ…我々の知る所の(たましい)がどの様な境涯(きょうがい)(段階)であるか…そしてその奥底に眠る無限の可能性をどこまで覚醒(かくせい)解放(かいほう)できるかによるらしい。

 伝承(でんしょう)によれば…


 “(はる)かなる古代 天の楽園住まいしは すべて神威之力(カムイ=マゥェ)(そな)へしモノなり”


 そして…


 “始祖二神(しそにしん)(あやま)(おか)し 地に()とされ 生まれしモノを緋徒(ヒト)と云ふ”


 らしい。


 元々カムイであったが為、原初の緋徒はとても大きく長命(ちょうめい)であったが、代を重ねる毎に小さくひ弱になり今に至るとの事である。

 ウガヤはごく稀な先祖返(せんぞがえ)りの例である。

 堕ちたカムイ…緋徒の祖となるモノ達が古のチカラ求め()み出しモノが今日に伝わる呪文・呪法であった。

 トゥム、ヌプルある程度備えしモノが行使すると…境涯(きょうがい)に依らずラムハプル=モシリ(自然の)=コロ=クル(盟主)を介さずに己の自由自在にカムイ=マゥェが使えると伝え聞く。

 ウタラ()のようにどちらも(ほとん)ど持ち合わせていない、解放できていないモノが唱えても我々の世界の冠婚葬祭(かんこんそうさい)専門のそれと大差ない様である…。


 チカラ無きウタラが発揮せんと欲するには…強く真っすぐなイレンカの元にラムハプル=ヌプル(感応道交)し、外なる大いなるチカラ呼び()ろせねばならない。

 聞く所にはムカツヒメは可能だとの事である。

 強きイレンカであろうとも我欲(がよく)では正しき大いなるチカラ呼び込む事は困難である。

 他者の為にラムハプル(惜しまずすべて与える)するラム()イレンカ(ヲモヒ)(もっ)て行使する刻…境涯(きょうがい)菩薩(ぼさつ)に至り…“シ=ウコサムペ(大慈)=ピリカ=ラム(悲心)”と練り上がりし刻はじめて可能となると言う。

 シ=パセ=カムイ(真なる神威)…その果てにあるモノと伝承されている…。


(…まだ見ぬチ=パパ(強者)(みかど)カムイ=モン(神威代行)タサ=クル(実践者)という方も…。ちょっとエサムペルイルイ(ドキドキする)ですね…)


 ヤチホコはその様に少し心躍るような気持ちで進んでいった。


「…ついたであるぞ。ここも同様の門である。この奥に…このモシリの帝をはじめ中核を成す方々がおられる。さぁ先程同様(さきほどどうよう)開門(かいもん)してみせるが良い…!」


 ウガヤに言われヤチホコとアビヒコは互いの能力を合わせて放った。

 門がゆっくりと開き…広間を見渡すと奥に誰かが()しているのが観えた。

 年の頃はヤチホコと同じか少し上の様に観える…。


「…皆の…よくぞ参られた…が、此度(こたび)は余ではなく…其方(そなた)らを呼びしはこのモシリを真に(おさ)める方々である…さ、こちらの奥へ…」


 奥で待っていた順帝(シュンディ)はその様に言うとヤチホコ達を玉座の奥にある扉へと案内した。


「…こちらである…」


 扉の奥に()するモノが2名、御側付(おそばつき)のモノと思しきモノが2名観えた…。


「ほぉ…皆が皆通る資格ありとはな…頼もしい限りであるなウガヤ将軍。」


 オンネ=クル(高齢の男性)と思しきモノがウガヤに対しそう語りかけてきた。


「は、皆この(よわい)にして流石(さすが)と言うべきモノでありまする」


 (うなず)きながらも続けて話す。


「…先のあの刻の…ミチヒメ…と言う事は…そちがアビヒコであるな…その後ろ…其方等は…?」


「ヤチホコと申します」「スセリです」


(われ)弟妹(ていまい)となるモノでありまする」


 ウガヤがそう伝えると(おどろ)きと(よろこ)びを表して応える。


「おぉ!では…あのスサ=パセ=ルーガル(スサの偉大なる王) の!」


「左様でござりまする。ゆくゆくは…」


 笑みを浮かべ(うなず)きながらオンネ=クルは言う。


成程(なるほど)…先が楽しみであるな。特に…ヤチホコ…そちはすでに“ニス()”のトゥム使える様であるな?」


 ヤチホコは驚いた。セレマク=アカム(守護封環)をして封じてあるのに見抜かれたからである。


「わかるのですね!まだまだ使いこなせませんので普段はセレマク=アカム(守護封環)(おさ)えてあるのですが…!」


「の、様であるな。まぁ…先は永い。ゆるりと使いこなしてゆくが良い」


「あ、は、はい!」


ポン=マッカチ() の方…スセリだったか…?」


「はい!」


「…そなたは…この先…何があろうとエラムキッカラ(諦める)せず、キラ(逃げる)せず、シトマ(恐れる)せず進むが良い。苦難(くなん)の果て求むるモノとの邂逅(かいこう)に至るであろう」


「?…は、はい!」


 スセリは今一つ要領(ようりょう)()なかったがきちんと覚えておくことにした。


(…やはり…御分(おわか)りであるか…我と同様の道を歩まねばならぬのを…)


 その様にイレンカ(めぐ)らせながらウガヤも聞いていた。


「ミチヒメとアビヒコは…そのまま精進(しょうじん)するが良い。…また一段練り上げた様で何よりである」


「ハイ!これからも頑張ってこのチカラ…きっと使いこなしてみせます!」


「ぼくも!…ミチヒメに…みんなに負けないようになってみせます」


「そうか、そうであったな…!(はげ)むが良い!」


「…ウガヤ兄…まさかとは思いますが…この方は…」


 その様に聞いてきたヤチホコに感心する様にウガヤは応える。


「…気付いたか…。まさにその通りである」


「やはり!…あの御使いたちと同様…シ=パセ…カムイ…」


「おお!察しが良いであるな。観付いたであるか!」


「そ、そして、お、おとなりの方もきっと…!」


「…あら…ほんに(かん)(すぐ)れたるノカン=クル(こども)ですわね」


「…スサノヲの系譜(けいふ)として降りてくるだけはあると言う事でありましょうな」


 ウガヤがヤチホコに代わりその様に応えた。


「おとうさま…スサノヲさまは…そんなにすごいお方なのでしょうか…?」


 意表(いひょう)()かれたような表情をしてオンネ=クルは応える。


「…知らぬであったな…。そなたの父君の話はまたいずれしよう…今は…御使(みつか)いたちに()い、その奇妙(きみょう)さ、そして恐らく後ろで手繰(たぐ)りしモノ有りと(かん)ずる一連の不自然な件につき…求むるモノある場所を教えようと思ってな…」


「ええと、あの…」


伏犠(フゥシィ)と呼ぶが良い」


「では…伏犠さまは…今回の件…ご存じではないのでしょうか…?」


 微笑(ほほえ)みながら即座(そくざ)(こた)える。


()して知るは(かな)うが決め手に欠けイタク(言の葉)に出来ぬ」


「先ほどの…その場所へ行けば…わかるのでしょうか…?」


「全ての叡智(えいち)集結(しゅうけつ)せし場所…そう聞き及んでおる。五段修法(ごだんしゅほう)をはじめとするすべての呪法(じゅほう)もそこよりこのモシリへと伝来されしモノ。経を前に皆がその真意(しんい)読み()(がた)き刻…朝貢(ちょうこう)に参られたスサ=パセ=ルーガルがこの場にて(あまね)く解き明かしてくれたのである」


「え!おとうさまが…そんなことも…!」


「おかげで…効率(こうりつ)良く…(おの)がイレンカの元にチカラを行使出来(こうしでき)…新たなる技も生まれ様々な応用も可能となった。この…玄室(げんしつ)や先の門の様に」


「もしかして…おとうさまに(たず)ねたらすべての事わかってしまうのではないでしょうか…?」


 (めずら)しく表情を(くも)らして伏犠は応える。


「…残念ながら今はそう行くまいて…かのスサ=パセ=ルーガルであった頃のチカラは今は出せず…及ぶ範囲(はんい)も限定されてしまっている(ゆえ)…」


「え?そ、そうなのですか?この間カムイキリサム(神前)コラムヌカラ(比武)の刻に会いましたが…少しもチカラに(かげ)りは見られませんでしたが…?」


「そちは知らぬ…スサ=パセ=ルーガル(スサの偉大なる王)がいかに強大な神威であったか…アン()を…()を…全てを己がイレンカのままに(ぎょ)し、(はぐく)み、()り、様々なモノを救った英雄なのである」


「それを言うならば伏犠様もこのポロ=モシリをまとめ(おさ)めし偉大なる方ではありませぬか…ヤチホコよ…このお方は…」


 伏犠のそのイタクを受けウガヤが語り始めた…。


「遥かなる昔…八俣殿(ヤマタどの)同様…“水”のラムハプル=モシリ(自然の)=コロ=クル(盟主)…偉大なる八大竜王…アナヴァダプタ(阿那波達多)様の化身(けしん)としてこの地に舞い降りたのが伏犠様である。

 八俣殿の(みちび)きによりこちらに御座(おわ)女媧(ニュゥワァ)様と出逢い…この地を任されたと聞く…」


「左様でございますわ…八俣さま(あのお方)ったら…(わらわ)の望みの手伝いをしてくれたと思いきや…今度はステキな伴侶(はんりょ)を連れて来てくださりましたのよ…♪仰せられるには…()()であるとも…。」


 ウガヤに続き女媧と呼ばれし王妃(おうひ)が語り始めた。


「…そうさ!こ~やりゃ~オマエもラムハプル=モシリ=コロ=クルの束縛(そくばく)から解かれ自由に動けるってもんさ!なぁにオレにまかせておきゃ~なぁんも怖くねぇってもんよ!」


「その様に(おおせ)せられるあのお方と…妾が神威(かむい)となる為の儀式(ぎしき)()り行いましたわ…そしてあの災厄(さいやく)が起こり…“火”のラムハプル=モシリ=コロ=クルさまを御呼び下さりまして…今こうしてあるのはあのお方のおかげ…そしてあのお方の困りし刻をお救いになられたのも…スサ=パセ=ルーガルさまでございますわ…♪」


「この地はオマエら二神にまかせる、うまく治めてくれよな!」


「その様に申されて八俣殿が去られた後…この女媧とこのモシリを駆け巡り…ポロ=モシリの初代帝となり…あの災厄後…彼のモノの再来(さいらい)危惧(きぐ)し今のシ=チャシを建造(けんぞう)した。その後生まれしこの…(イェン)(ファン)と共にモシリを運営してきた…。先ほど申した様にスサノ偉大ナル王(スサ=パセ=ルーガル)により読み解かれし経力(きょうりき)(もっ)て今の形に完成したのである。こうやって表向き…ウタラの事はカムイ=モン(神威代行)タサ=クル(実践者)…今は順帝であるな…に任せ…陰ながら守っている訳である」


 眼前にいるのがまさにその四神であった。

 今会話していた伏犠、先ほどの女媧娘々(ニャンニャン)、護衛として立つ炎と黄…確かにこの四神でこの大国(ポロ=モシリ)であろうと治められるであろう…それ程のチカラを対面しているヤチホコ達は観じていた。


(…それ程の方々がここまで言う程におとうさまは凄かったのですね…)


 ヤチホコは驚きと感心のイレンカが(あふ)れていた。


 ハポ()たるムカツヒメ…そしてイヅモでの母親代わりのタギリやクシナダよりウエペケレ(昔ばなし)として聞かされてはいたが…それがミチ(実父)の事であったのだとはじめて気づいた。


「…では…あのヤマタノオロチのお話も…?」


 伏犠は微笑みながら応える。


「あの刻も流石の大活躍であったな…♪」


「あのお方の残り七柱(しちちゅう)暴れしお話ですわね…」


「あれもオロチ族の手に依るモノであったな…」


「オロチ族…!」


 ミチヒメは思い出したように呟いた。


「…左様。制御と封を兼ねていたマッカチ()たち…トゥペス=メノコ(八乙女)の内七名をオロチ族を扇動したナニカによって奪われ…八俣の本神以外の七柱のモノを操られて起きた乱の事である…。

 八乙女(トゥペス=メノコ)達を奪回できず七柱相手に苦戦していた所に顕れたのが…スサ=パセ=ルーガルであった。

 話を聞くや(いな)や即座に暗躍するモノを観じとり、呪法を込めた酒にて七つのうち五柱を封じ、残る二柱はまとめてそのチカラを以て調伏(ちょうふく)され、再度八乙女と契りを取り計らい正気に戻し、黒幕たる道化師(どうけし)を寸での所で逃がしたと聞く。残されしオロチ族は後ろ盾がなくなるとすぐさまパセ=コル=モシリ(神聖城国)へ逃げ帰って行ったとの事である…」


 ミチヒメの言に頷いた後、伏犠は当時の出来事をヤチホコ達に話した。


「…奴国(ナ・ラ)統一の話なども聞いてらっしゃらないのかしら…?」


「え?今の僕らのモシリが一つにまとまったのも…」


「ソナタ等の父君の功績でありますわ…♪」


「…その手際の良さ…手腕(しゅわん)武力(ぶりょく)、何よりウタラを豊かに幸せにする事によりモシリをまとめて行きし振舞(ふるま)い、ラム、イレンカに…神代(カミヨ)に伝わる創世(そうせい)トカプチュプ=カムイ(太陽神)たる“スサ=パセ=ルーガル”を名乗られよと進言したのである!」


「元々は…“フツシ”と名乗っていましたわね…当代や?」


「は、左様でござりまする。フツノミタマ様のご子息…フツの() と。」


 女媧に尋ねられウガヤはその様に応えた。


「故あってイヅモの奥…ストゥ=モシリ(根源の国)隠遁(いんとん)されてからが…其方等(そなたら)の知る所の父君であるが…本来のスサ=パセ=ルーガルは…それ程に素晴(すば)らしく(すさ)まじきカムイであったのである…!」


 そこまで聞いて何よりヤチホコとスセリが一番驚いた。

 年に一度カムイキリサム(神前)コラムヌカラ(比武)の刻のみ姿を現し逢えるミチはその様な存在であると言う事を…話が突拍子(とっぴょうし)もなさ過ぎた為か聞かされていたモノは全てウエペケレ(おとぎ話)と認識してまったく理解できていなかったのである。


「…して…そのスサ=パセ=ルーガルの子らよ…昨今のオロチ(から)みし様々な出来事…その奥に潜む道化師と(なぞ)…その(かい)…求むるであるか…?」


「あ、はい!ぜひ!」


「うん!ボクも…パセ=コル=モシリ(高句麗)のこと…イトムコカヌ=モシリ(神託啓示の国)のこと…なんでなのか…知りたい!」


「わたしも…もちろん!わたしのモシリ…下伽耶(アラカヤ)の…滅亡からはじまった気がするの!だから…どうしてなのか…知りたいです!」


「ぼくの苦しみも…きっと何モノかの策略(さくりゃく)でとうさんかあさんは動かされていたはずだから…それを知りたい…!」


「うむ…。さすればこれを見るが良い。この地図に(しめ)されし場所こそ目的の地ガンダーラ…その都…ウパスクマ=エ=テメ(天と地の基礎となる叡)ン=アンキ(智の聖塔)鎮座せしタクシャシラーである」


 少し表情を曇らせながら伏犠は続ける。


「…朕達はこのモシリに誓いを立てている故…他のモシリには行けぬ…。」


「妾達でありますれば二神で塔の扉開く事かなうのでありますが…」


天と地の基礎となる叡(ウパスクマ=エ=テメ)智の聖塔(ン=アンキ)は…すべてのトゥム(そろ)いし刻のみはじめてその門を開け放つのである…」


「…すべての…トゥム(氣力)…ですか…?」


「左様。モシリ()ワッカ()アペ()レラ()…そしてニス()。五つのトゥムを一定以上の強さで発氣(はっき)してはじめて開くのである…」


「…わたしなら空以外全部出せるよ♪」


 ミチヒメは少し得意げにそう言った。


「…たしか…ラーマさまと行った刻も…二人合わせてトゥムを門に流して…あれは…扉を開ける為だったのね!」


 そのイタクを黙って聞いて伏犠は言った。


「…旅支度(たびじたく)はコチラですべて取り計らっておこう。せめてもの餞別(せんべつ)である…!」


「…旅立つ前に一旦…ルース公に話を聞かれて旅立たれると良いですわ…」


 意表を突かれ驚きながらアビヒコが尋ねた。


「とうさんに…?」


「左様でございますわ。話を聞かれてから旅立たれるのが良いかと思われますわ」


(ちん)達には必要なき事であるが…其方等には必要な事があるのでな…簡単に申せば修行せねばならぬと言う訳である」


「…何か足りないのですね…!わかりました、ルースさんに聞いて修行してきます!」


 ヤチホコが二つ返事にその様に返すと伏犠は嬉しそうに応えてきた。


「聞き訳が良いの!いつでも旅立てる様手配しておく故…しかと(はげ)むが良い!」


「…もしかしますと他の方の手助けが必要になるかもしれませんわ…その事も頭の片隅(かたすみ)御入(おい)れ下さりますよう…」


 その女媧の言葉を聞いて全員で応える。


「わかりました!ありがとうございます!」


 一旦雒陽(ルゥォヤァン)よりルースに戻る事にした。

 来た刻同様合間に手合わせしながら日が落ちたら休みを取りつつルースを目指した。



またもや一旦ルースへ…。

大人たちは色々なしがらみにより自在と言う訳にはいかず子供たちに託されているのでしょうか…?

※設定説明長くすみませんm(__)m

読み飛ばしてもらっても恐らく平気…かな(^-^;(笑)

一応この世界がどの様にして今になったのかの微かな片鱗もみえましたね。


用語説明です。

・スサ=パセ=ルーガル:そのまんまです。スサ の 偉大な 王(ルーガルはシュメール語です)

ハヤスサノヲの本来名乗っていた名前です。(命名は伏犠さんです)

スサノヲ…この言葉を当時の発音形態(九州から新潟辺りまで東北の様ななまりだったと言われています)でいいますと…107年に朝貢したと言う王さま…最初のって意味の言葉…スサノヲという名前…っていう事です(笑)


・シ=パセ=カムイ:本当の 偉大な 神威→「真なるカムイ」としました。

・シ=ウコサムペ=ピリカ=ラム:本当の お互いに相手を思いやる 心→「大慈悲心」としました。

・ウパスクマ=エ=テメン=アンキ:(知恵や教えの)言い伝え 天と地の祖となる聖塔→「天と地の基礎となる叡智の聖塔」としました。(ウパスクマ:アイヌ語 エ=テメン=アン=キ:シュメール語です)

・トゥペス=メノコ:八つの 女の子→「八乙女(やおとめ と日本語で呼んでもらっても良いです)」としました。

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