第31倭 アスキンネな織部巫女のポクナ=アミプ
ポロ=モシリの都を目指し…
それぞれにイレンカ観じる所を噛みしめていると遠くに何かが見えてきた。
ポロ=モシリ大国 の都、雒陽である。中央奥のシ=チャシ 帝…ルーガル やモシリ=コロ=クルではなく…“カムイ=モンタサ=クル”と呼ばれるモノ住まう所だと聞いている。
門の前にてヤレパチプを泊め、降りて門番に話しかけた。
「これはこれは…遠路遥々…さぁ通られよ!」
ゆっくりと巨大な門が開き中が見えてくる。
門の向こうは広場になっている。その奥に続く道に沿って街が形成されている。
建物は至る所に玻璃が使われていた。道行くウタラも様々なアミプを纏っている。
それを見てミチヒメが少し興奮気味に言う。
「…ここにもアットゥスカラペを使えるアットゥス=トゥスクルがいるのね!」
「アットゥス…カラ…ペ…?なんか聞いた気がしますね…?」
「カムイホッパイコロのひとつよ♪糸を紡いであらゆる布を創りだせるの!それをもとに…エイワンケプ=ケムに通してアットゥス=トゥスクルがイレンカ籠めて使うと…そのイレンカの通りに…刻には思いもよらないアミプが生まれてきたりもするのよ!」
ミチヒメは織部巫女の手に依るアミプがとてもお気に入りらしい。
(…僕は皆とおんなじモノで何も不便さを感じませんでしたね…)
装いに疎いヤチホコはその様に思っていた。
(…たしかスセリちゃんは本当はとても興味があったはずですね…?)
「…ボク、ちょっとお店見てみたい…!」
ヤチホコが言う前にスセリがその様に切り出した。
「けって~い♪良いね良いね♪よっていきましょ~!さぁみんな!あそこよ~!」
ミチヒメがそう言うとスセリと二人して前方に見える店に全力で走っていった。
「…ナ=チュプ=リ。少々の寄り道ならば大丈夫であろう」
そうウガヤが言うとヘカチ二人も彼女たちの後を追いかけて行った。
店に入ると嬉しそうにカチリケする声が聞こえてきた。
「ねぇねぇこれなんかどぉ~?わわわ、イイヨマプカ~♪」
「そ、そうかな?…ボク、いつも動きやすい衣しか着ないから…」
「とぉってもいいですよ~♪これならヤチホコくんもスセリちゃんに釘付け間違いないない♪」
「そ、そーかな?…でもたしかに…イイヨマプカ=アン…かも…♪それにこのアミプ…しっかりしていてふみこみも蹴りこみもしやすい!」
「ま~ね~♪普通のモノだとわたし達が本気で動くトキってトゥムを巡らせないとすぅ~ぐ破れちゃうけど~これらはトゥムなしでもそ~カンタンに破れないのよ♪」
スセリはなるほどと納得の表情を見せた。
「…スセリちゃん…」
ナニカを観じたミチヒメはスセリのタナー段階Ⅱ程度のウェウェクなエウコポヌプカにそっと触れる。
「…イタッ」
「…だよね~。だからわたしもいつも密着しにくいアミプを選ぶんだもんね~。…ハイこれ!トノンヌミ守って動きやすくなるからつけてみて?」
ミチヒメはそう言いながらスセリに一つのポクナ=アミプを渡した。
「…そうそう…下向きになってそっと背中から寄せるよ~に…ん~?」
スセリが言われた通りにタナー段階Ⅱ~Ⅲの過敏になっているトノンヌミを保護するポクナ=アミプをつける様子に釘付けになっているモノが二人…。勿論ヤチホコとアビヒコである。
「ヤチ…それに…アビヒコくんも…ど、どうかな?」
スセリは白く美しい光沢のある細やかな模様をあしらったそれを着用した姿を見せた。
(…白く…キレイ…アスカンネ=ピリカな…胸当て…ですかね…?ハイヨクペにしては薄すぎますし…それに…何ででしょうか…観ていますとこう…何とも言えなくエサムペルイルイ します…?)
普通のアミプとは違い視線を逸らせないままヤチホコはその様に考えた。
「とってもアスカンネ。スセリちゃんもカム=アスヌがアスカンネ。」
「そ、そうですね!とってもアスカンネです。その…ポクナ=アミプを纏ったら…アトゥスパ ではありませんのに何故かエサムペルイルイします…不思議ですね…?」
アビヒコとヤチホコはそれぞれ観じたまま素直に応えた。
「エサムペ…ホント? へへ、うれしいな♪ミチヒメさんつぎのやつっ♪」
そのイタクにスセリは嬉しそうに身を乗り出し台に手をついてミチヒメに声をかける。
ヤチホコとアビヒコは思わず視線が動く。
「…そのアミプも…けっこうゆとりがあるのですね…」
「…スセリちゃん…すき間から見えてるよ…」
「え?…あ…!ホント…。…なんでかな?いつもとちがって少しはずかしい…?」
そう言いながらスセリはそっと両手で隠した。
「…その様子もなぜかいつもよりもキンラ=ピリカ=レカと観じます…。
見えないより…見える…見えるより…隠していて見えない…そこから見える刻に何と言いますか…とっても良い感じがするのではないでしょうか…!これは…知らないみなさまに教えてあげなければいけないステキな発見かもしれません…♪見えない…見てはいけない…ダメな事…ですから見える事がとてもステキに観じる…。禁じられている事をすると言う事は…いけない考えかもしれませんが…楽しい事なのかもしれませんね…」
「緋徒やウタラの所以を顕している様で興味深き意見であるな…」
ウガヤは頷きながらそう言った。
「…ウガヤ兄は…見ても平気なのですね?」
不思議そうな表情でヤチホコにそう言われ苦笑しながらウガヤは応える。
「まぁそうであるな…。後十ほど年を重ねし刻は解らぬが…な」
「むー!今でもぜっさんピリカメノコよー! アチャポが大きすぎてぴんと来ないのよ!」
心外とばかりにミチヒメはそう反論した。
「ボクははまだ…ポン=マッカチだからしょうがないかな…?」
スセリは事実だからと落ち込むでも無くそう呟いた。
「二人ともとてもア=オマプ=ペである…が、モイレ=マトゥでなくば契り交わすにふさわしきとのイレンカは抱けぬであるから…な…」
そう言って二人のピリカメノコの頭を優しく撫でた。
「…ヘカチ達には少なからず伝わった様に観えるであるな」
スセリもミチヒメ、二人とも先の胸当てと下帯のままであった為…ヤチホコとアビヒコはあちらこちらに目移りしながら凝視してしまった様である。
「あらホント♪…ふっふ~ん♪おねえさんってば…キ・レ・イ?」
イラムモッカにミチヒメが二人の前で肢体をくねらせて姿勢をとって魅せると…どうやら覿面に効果はあった様である…。
二人とも頬を赤らめ、ヤチホコは前かがみになってしまった…。
「…これって戦いにも応用できるかも…!」
そう呟くスセリに苦笑いしながらウガヤが言う。
「さぁ、ケゥエも冷える、気に入りしモノあるならば早々に買われるが良い」
アットゥス=トゥスクルは珍しい存在の為、中々に値の張るモノであったが…ウガヤが一筆署名して店主に話しかけた。
「これを後に来たれしモノに渡せば書かれし額の金と交換できる故」
「あ!え!?こんなに…!…かしこまりました…!また是非によろしく願います…!」
一つのモシリの…広くは島全ての主たるウガヤである。武人故に必要性をあまり感じてはいないが困る事もないのである。
スセリもミチヒメも満面の笑みでウガヤに礼を言い、本来の目的地へと向かっていった。
寄り道も終わり本来の目的地へ。
いつもとおんなじくじゃれていたら痛がられたりすることもあると思います。
そんな時はこのおはなしを思い出して優しくしてあげて下さいね♪
用語説明ですm(__)m
・カムイ=モンタサ=クル:神の 代わりに仕事をする ひと→「神威代行実践者」としました。
・アットゥス=トゥスクル:(樹皮で作った)着物+巫女→「織部巫女」としました。
・アットゥスカラペ:機織り 機→織り機としました。
・エイワンケプ=ケム:(ア=)エイワンケプ=道具+ケム=針 →「絡繰り針器」としました。
・カムイホッパイコロ:神が 残して去った 宝物→神威之遺産としました。
・ウェウェク:(ぶどうが)熟していない→未熟、未成熟、熟れていないの意味としました。