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第29倭 眠れぬ夜のヤイ=コ=ルイェ

ポロ=モシリを目指すヤチホコ達のヤレパチプでは…

 …夜も()け皆が寝静(ねしず)まった頃…寝付けずにいたヤチホコはヤレパチプ(大型万能船)の甲板の縁に腰かけて風を浴びていた。レラ()は心地良く(ほお)()でては通り過ぎていく。


(…ふぅ…スセリちゃんとウコホトゥケ(一緒に寝る)するのがこんなにも苦しいことになるなんて…です)


「…ねれないの…?ヤチホコくん?」


 ヤチホコはサムペ(心臓)が口から出そうなくらいに(おどろ)いて飛び()ねてしまった。

 いつも背後(はいご)から()きつける距離(きょり)近寄(ちかよ)られても気づけないミチヒメなのである。


(…な、なんでいつもトゥム(氣力)を読めないのでしょう…?)


「はぁはぁ…!びっくりしました!…しかしなんでいつもまったく気づけないのでしょうか…?」


 ヤチホコは驚きと共に常々疑問(つねづねぎもん)だったことを(たず)ねてみた。


「むー?ん…と…あ!そうだ!わたし普段のトゥムものすごく少ないからかも!」


 頬が密着(みっちゃく)する距離でチャクチャク(ミソサザイ)のようなメイ(美しい響き)(さえず)るように話した。


「そ、そうなのですね!…て、わわ!ミ、ミチヒメ…あ、あたっています…」


 甘く良い香りを(ただよ)わせながら背中に(つつ)ましやかなエウコポヌプカ(双丘)感触(かんしょく)が伝わってくる。


(…メノコ(女の子)はなぜかくも良い香りがするのでしょう)


 勿論(もちろん)女性ホルモンの一つ、エストロゲンの分泌(ぶんぴ)の多いこの年代は発汗(はっかん)等により発生する皮膚(ひふ)ガス中にγ(ガンマ)-デカラクトン(lactoneC10)、γ-ウンデカラクトン(lactoneC11)と言う芳香成分(ほうこうせいぶん)含有(がんゆう)する(ため)であるが、当然ヤチホコは知る(よし)もなく、女子特有(とくゆう)の甘い香りと背中の感触に(うれ)しくも困り果てている訳である。


「ミ、ミチヒメ…これ以上…もう…ぼ…僕…く、苦しいです…」


 (ほお)紅潮(こうちょう)させ前かがみに(うつむ)きながら言うヤチホコを()てミチヒメは何かに勘付(かんづ)いてそっと(つた)える。


「…ヤチホコくん…もっと…苦しくして…もっとラクにしてあげよっか…?」


「…え、えぇー!?ぅん、んんん…」


 ヤチホコは思わず(さけ)び声をあげそうになった口を(やわ)らかく心地(ここち)良いモノでふさがれた。


(…ミ、ミチヒメ…甘い香り…とってもやわらかい…です…)


 思わず目を閉じて夢中になる。するとミチヒメがそっと抱き()せて言う。


「…あの…ウブ=イキネイペカ(五芒封印)(トキ)…つながったから…かな…?なんか…ヤチホコくんと…またくっつきたくなっちゃったの…」


「え、あ、あれはルースさんの力で…そういうつながり方ではなく…わわ!」


 ゆっくりとミチヒメの手が伸びてきた。そっとクッピタ(帯をほどく)されてポクナ=アマ(下履き)がするりと落ちる。そして優しく()れられた。


「前にね…こ~すると良いと…教わったの…」


 ヤチホコも手をつかまれてミチヒメのエウコポヌプカへ(いざな)われる。

 なだらかであからさまではないが自分とは(ちが)(たし)かにわずかながらふくらみがあり、柔らかでありながらも少し(かた)さや()りがあるウェウェク(熟していない)な果実の様な感触が伝わってきた。

 認識(にんしき)同時(どうじ)に…皮膚感覚受容(ひふかんかくじゅよう)()の内まず軽い接触(せっしょく)の感覚を感じるのに必要なメルケル触盤(しょくばん)触知(しょくち)(かん)知、双丘(そうきゅう)弾力(だんりょく)の反作用による圧覚(あっかく)をルフィニ終末が感知、双丘の反作用により生じた振動(しんどう)(ともなう)形状変化(けいじょうへんか)をパチニ小体が感知、柔らかな皮膚に触れている感覚を指先の表皮直下(ひょうひちょっか)のマイスナー小体(しょうたい)微細(びさい)に感知し、脊髄神経節(せきずいしんけいせつ)後根(こうこん)後索(こうさく)脊髄延髄路(せきずいえんずいろ)視床(ししょう)~内包の後脚(こうきゃく)を通り大脳皮質中心後回(こうかい)(感覚野)に至り…大脳新皮質前頭葉(ぜんとうよう)前頭前野(ぜんとうぜんや)に情報を送り…辺縁系(へんえんけい)と密に情報交換し…側坐核(そくざかく)投射(とうしゃ)されそこから腹側淡蒼球(たんそうきゅう)視床(ししょう)背内側核(はいないそくかく)~前頭前野とフィードバックし、視床腹内側核の攻撃行動決定細胞群は抑制され、信号は迷走神経から脊髄神経(せきずいしんけい)を通り副交感神経の骨盤内臓(こつばんないぞう)神経より信号が送られ局所的に一酸化窒素(いっさんかちっそ)が放出され、血管閉塞(へいそく)(にな)平滑筋(へいかつきん)弛緩(しかん)と共に該当部位(がいとうぶい)に血液多量流入し収縮時(しゅうしゅくじ)血圧付近まで内圧(ないあつ)上昇する。

 この状態を自覚(じかく)する事により今度は交感神経にも刺激が伝達(でんたつ)され心拍数の上昇や顔面紅潮(がんめんこうちょう)なども見()けられ、ある種の状態を(てい)し、自身が触れている手と、自身が触れられている所へ意識が、イレンカ(ヲモヒ)が完全に集中してしまい、そのほか全てへの思考と配慮(はいりょ)は停止してしまった。

 不意にナニカがケゥエ(身体)エトク=アサム(奥底)より込み上げてくるのを感じた。

 エカンナラ(待ち焦れる)していたモノであり、しかし戸惑(とまど)いや躊躇(ためら)い、理解し(がた)い感覚への恐怖(きょうふ)交錯(こうさく)したナニカがチヤイコレ=ヘトゥク(湧き上がり出よう)としていた。


「…ミ、ミチヒメ…ぼ、僕…」


 息(づか)いも(あら)げ紅潮した顔でヤチホコはそう呟いた。


「…うん…大丈夫…良いよ…」


 そう優しく耳元で(ささや)かれた瞬間(しゅんかん)β(ベータ)-エンドルフィンがμ受容体(ミューじゅようたい)に作用しGABA(ギャバ)ニューロンを抑制させ大脳皮質へ投射を行う腹側被蓋野(ひがいや)からドーパミンが大量に遊離促進(ゆうりそくしん)され多幸感(たこうかん)享受(きょうじゅ)疼痛軽減(とうつうけいげん)、ドーパミンよりノルアドレナリン生成、そこからさらにアドレナリン多量生成・分泌(ぶんぴ)による心拍数、血圧上昇、瞳孔散大(どうこうさんだい)、闘争・逃走反応により更に疼痛軽減、下垂体前葉(かすいたいぜんよう)からのTSH分泌によりT₃T₄多量分泌、全身代謝(たいしゃ)活性化、大脳辺縁系を中心に異常興奮が計測され、交感神経優位状態になり下腹(かふく)神経から目的臓器(ぞうき)へ信号が伝達、第2~4腰髄(ようずい)起始髄節(きしずいせつ)とする腰内臓(ようないぞう)神経によりエミッションと内尿道口(ないにょうどうこう)閉鎖(へいさ)が起こり、各種平滑筋群収縮、陰部(いんぶ)神経へ信号伝達、骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)を中心に8~13Hzの周波数(しゅうはすう)で下腹部から鼠径部(そけいぶ)律動的(りつどうてき)な収縮が起き、瞬間的に全身を(つらぬ)くような強烈な感覚とその直後(はげ)しい脱力感(だつりょくかん)見舞(みま)われた…。


「…あ…あ…? こ、これ…は…?」


エラマス(好き)な相手へのイレンカで苦しい(トキ)…こうすると…ラッチ(落ち着く)すると…特にヲノコは…って、そうかあさんに教わったんだけど…ど、どうかな…?」


 そのイタク(言の葉)を聞いたからか先の反応からか…ヤチホコの下垂体前葉より特定のアミノ酸の取り込みを促し、カゼインやラクトアルブミンなどのタンパク質合成促進し、グルコース取り込み促進~ラクトース合成を促す乳汁合成(にゅうじゅうごうせい)・分泌ホルモンのプロラクチンが多量分泌され、多幸感享受の為のドーパミンと男性ホルモンの一つであるテストステロンを強力に分泌抑制された事により無自覚(むじかく)の内に不安(ふあん)感と自己嫌悪感(じこけんおかん)による憂鬱(ゆううつ)さを(かん)じていた…。

 (おのれ)の体内におけるそのような反応の結果だとは(つゆ)知らず、ヤチホコは少し涙目(なみだめ)になり…相手がミチヒメで良かったと思って(こた)えた。


「うん…。ここ何日かの苦しさは…ラッチした気がします…でも…なんでしょう…僕…とても…ダメな事をしてしまったような…イレス(子育てする)の為トノン(授乳)するモノ…ハル(豊穣)象徴(しょうちょう)に対して…それ以外のイレンカと…行動…を…」


 そのヤチホコの言葉を(さえぎ)(よう)にミチヒメは強く抱きしめて首を横に振り優しく見つめて言う。


「ううん…良いんだって!大丈夫なんだって!そう…かあさんが言っていたの…だから…きっと大丈夫だよ!」


 そのミチヒメのイタクを聞いたヤチホコはラム=アサム(心の奥底)からエ=ヘセ(すぅっと軽くなり)し、苦しさから解放され ラム=シリネ(満たされ安らいでいく)していく…。


「ミチヒメ…あの…あ、ありがとうございます…」


 そう言ってヤチホコはもう一度今度は自分からそっとエ=コプヌレ(唇を重ねた)した。


(…柔らかくて…あたたかいです…本当にラム=シリネしていきます…)


 ミチヒメはヤチホコを優しくヤイ=コ(愛おしく抱き)=ルイェ(しめて撫でる)して受け入れた。

 二人はラムハプル=メレメル(優しき光)に包まれて輝いていた。


(…お互いの…イレンカを交わすと言う事は…こういう事なのですね…)


 心地良いレラ()吹く中ミチヒメに抱かれる様にヤチホコは眠りについた。


(…ヤチホコくん…あれからわたしもずぅっと落ち着かなかったの…。少し良くなったよ…ありがと…)


 ヤチホコをヤイ=コ=ルイェしていたミチヒメもいつの間にか微睡みの中へ誘われていった。


お互いに相手へのエラマス(好き)のイレンカ(ヲモヒ)ある状態で優しく触れ合う事はとてもいいことですよね♪


※女子の甘い香りについては最近このように研究成果が発表されたようです♪

※感覚受容器から中心後回まで信号が来た後の前頭前野に向かう部分の流れは間違っていたら誰か教えてくださいませ(一応調べましたが…(^-^;)m(__)m


用語説明ですm(__)m

チャクチャク:ミソサザイ。ヒバリに似た美声の小鳥で、高音の大変に良く響く声でさえずります♪

ウェウェク:元々は「ブドウがまだ熟していない」なのですが、熟していない事の意味としました。

チヤイコレ=ヘトゥク:チヤイコレ=湧き上がる+ヘトゥク=芽を出す、生まれる→「湧きあがり出よう(出る)」 としました。

ヤイ=コ=ルイェ:(~を)抱きしめて可愛がって撫でる→ここから意訳しました。

ポクナ=アマ:下履き 下の・衣類 でこうしました。

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