表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/115

第20倭 ルースの中のペケレ=シリ

ルースに言われ街の散策に…

 大通りに出ると様々な店が立ち並びイホクシ(市場)を形成していた。


「も、もしかして帝のモシリ(クニ)より賑やかでは…?」


 端にあるルースを皮切りに様々な店が立ち並ぶ。

 ルースの裏手、門を入って左手奥には大きな宿があり、向いに武具や道具を売る店が並ぶ。

 中央には広場があり噴水が湧く。その奥中央にカムイ=チセ(神殿)があり、両脇に迎賓館と領主の チャシ()が建っている。


「規模は小さめだけど…今までで一番すごい建物がある気がします」


「あの窓って…もしかして…玻璃(ボォリィ)…?それもこんなに!」


 ヤチホコとスセリが目を丸くしながら言う言葉にアビヒコが答える。


「とうさんが製法を編み出してみんなでつくっているんだ。このルースの名産だよ!」


「…あれを使えば光を入れて風を止めるのはすぐ出来そうですね…!」


「まぁそうだね。でも実は…玻璃(ボォリィ)、ものすごく高いんだ…実際によそのモシリに売る刻には…」


 アビヒコはヤチホコにどのくらいで取引されているかを教えた。


「ひぇ~!そ、それは…いくら作物の為とは言えおいそれと使えるモノではありませんね」


「ここでは殆どのチセ()やチャシに明り取りなどで使っているけど、ふつうはモシリ=コロ=クル(モシリを治める王)くらいしか使えないよ。あとね、さすがに作物覆うほど大きいモノはまだ作れないんだ」


(た、たしかに…ふつうは使えませんし…良く見ると小さなモノをつなぎ合わせて使っているようですね…それにしても…)


 ヤチホコはアビヒコの話に納得した後、生家を思い浮かべその差を痛感していた。

 玻璃(ボォリィ)…ガラスが使われていないのはもちろん、プィヤラ()を開けないと光が入らないチセ…そのほかのウタラ()のチセなどはサラキ(アシ)()いた屋根とミンタラ(土間)なのが殆どであった…。

 ナ・ラ(奴国)は温暖な気候で風通しの良い建物が多いが、ここルースやパセ=コル=モシリ(神聖城国)は比べてかなり北方に存在する為か、密閉されている建物が基本である為、窓を開けず採光出来る玻璃は重宝(ちょうほう)がられた。


「もし…とうさんの言う、“透明な布”が、玻璃(ボォリィ)より安く作れたら、中にいても明るい建物が増えるだろうね」


「それは楽しみですね♪しかしアビヒコのおとうさまは本当にすごいですね!」


「うん!トゥムやヌプルはまったくない…普通のウタラ(一般民)なんだけど、なんていうか…ぼくらにはまったく理解できない賢さを持っている気がするんだ」


「左様であるな。その中でもこの…綿あめなるモノは真に素晴らしき美味なり♪皆も是が非にもひとつ食されよ♪」


 ウガヤが何やらカント=トコロ()に浮かぶ ニス()のような見るからに柔らかそうなナニカを両手めいっぱい抱え美味しそうに頬張りながら珍しく少し浮かれた様子で近づいてきた。


(…よっぽど美味しいのですね…♪あんなウガヤ兄初めて見ました…)


 そう思いながらヤチホコをはじめ皆も受け取り一口頬張ると…


「~~♪♪な、なにコレ~!!お、おいひぃ~♡」


 スセリが声にならぬ感動を頬張りながら叫んだ。


「ほーんと、おいっしぃ~♡ この為だけにルースに来るウタラもいるくらいだもんね~♪」


 ミチヒメも満面の笑みで頬張りながらそう言う。


(へぇ~。この…カント=トコロのニスみたいなモノ…そんなに美味しいのですか…)


 ヤチホコはそう思いながら一口頬張ると…唾液と混ざった瞬間に口腔内で消え去るとともにものすごい甘さが広がっていく。


「おおお、おいしい~~です~~♡ なんでしょうかこれは!」


「ルースや近隣の土地でとれるてん菜と言う作物から粗目(ざらめ)と言うモノを作り、特殊な釜に入れて回しながら温めると糸の様になって伸びてきてそれを棒などで搦め取っていくとこうなるのさ♪

 このてん菜のおかげでこのルースでは…甘い味の食べ物がたっくさんあるんだ♪ 餡、クサーブ(クッキー)ニンダ(パン)…」


アハ()シェ()でこんなに色々な食べ物がつくれるのですね…!)


 ヤチホコは感心すると同時に素朴な疑問が浮かんだ。


「この…(シェ)はどこから集まるのですか?ルースの周りで作られているのでしょうか?」


「そう。点在する様々なコタン()で作られているモノが毎年ルースに届けられてくるんだ。育て方、刈り入れ、加工法等の技術を提供したお礼としてね」


「あ、なるほどですね♪ ルースはそれでみんな十分に暮らせるのですね♪」


「そうそう♪ おかげでああやって トペムペ(お菓子)などを作るくらい余裕があるのさ♪」


「あれは…ステキでしたね…♪」


 ヤチホコは エシカルン(思い出す)して余韻に浸る。


(この世にあんなステキなモノがあったのですね…♡)


「ウタラ…ステキですよね♪」


「そうだね♪ぼくもそう思う」


「ステキ…だからこそ」


「守らないとね」


「それが力を有す我等…緋徒(ヒト)の役目である、な」


 抱えていた大量の綿あめを食べ切ったウガヤがそう話を結んだ。


(…甘いモノ…ものすごーく大好きだったのですね…)


 その後もしばらく街を散策して回った。

 先の玻璃(ボォリィ)をつくる所、それを細工する工房、雑多に店の立ち並ぶ大きな 市場(イホクシ)、武具に関しても他のクニ(モシリ)よりよほど優れたモノが店頭に並んでいた。


「なんでもね、カネ()にコレを混ぜるとさらに丈夫で粘り強くなるんだってさ!うちのはみんなそれで出来ているのさ♪」


 今でいう鋼である。そして手動、もしくはトゥム(氣力)による動力だが、鋼を加工できるほどの高温をつくれる炉もあるという。

 その他、ルースより少し北に昇った所に存在する天然の氷穴から氷を切り出して使ったり天然の保管庫としても利用しているらしい。


「一年中凍っている場所、そんな場所もあるのですね♪」


「そのおかげで長期的に アエプ(食料)を保存できる訳であるな。…ここルースは他と比べかなり飢えから遠き所にあると見える」


 何やら街の中央奥に美しく荘厳な建物が見えてきた。


「うわぁ…あれはきっと…カムイ=チセ(神殿)ですね!…キレイですね…♪」


「見た目もだけどこの辺りで跳びぬけて清浄なシリ(場所)らしいよ、ここ」


 確かに…観るからに聖なる気配を感じる…。


「…かあさんはここでみんなの治療をするんだ。ここでだと持っている力が最大限ひきだせるからって」


 アビヒコからその様に話を聞いたのでヤチホコ達も礼拝していく事にした。

 やや小ぶりだが石造りのとても美しい建物である。

 中へ入ると…一般民(ウタラ)でも観じるのではと言う程の強力で高濃度なヌプル(霊力)で満たされていた。

 アムソ()…そのもっとずっと奥深い下方から止めどなく溢れんばかりのヌプルが噴き出ている。


「こ、これは…ぼ、僕でも観えます…ものすごいヌプルです…!」


「そうよね~!ここだとわたしも自分だけでトゥムを解放出来ちゃうみたい…!」


「…世には斯様(かよう)な ペケレ=シリ(聖なる場所)が存在するのであろうな…。その一つがここであり、恐らく…高句麗(パセ=コル=モシリ)の王宮も…気配違えども同様であろう…故…かのミカヅチと相まみえし刻…」


「なるほどですね!僕らが中に…そしてミカヅチをうまく外に誘導できれば…!」


「うむ、そこであのアビヒコのアィエ() を命中させらるば…」


「話が通じず戦うことになっても…勝てる!」


「うむ!…これは一つ良き収穫であった…!」


「…そう言えばここ…このスゴイ気配…どなたを祀られているのでしょうか…?」


 ヤチホコは横にいるサンガ(神官)に尋ねた。


「はい。私が伝え聞く所によりますと…始まりの天使、真理への導き手…そう呼ばれる方が祀られているとの事です」


「はじまりの…カント=ラプ=クル(天使)…?」


「真理への…導き手…?」


天住まう翼持つモノ(カント=ラプ=クル)…って…あ!御使いのナカマ…でしょうか…?」


 ヤチホコが呼び名からその様に推測するとミチヒメが答える。


「でもここのお方は…フンイキから言って…ぜぇったいに悪モノじゃなさそ~ね♪」


「うん、ボクも…そう観じる…やさしく…懐かしいカンジの…ヌプル!」


「えぇ?スセリちゃんヌプル観じるの~?」


 ミチヒメが聞いた話ではスセリはまったくもってヌプルを観じられなかったはずである。


「…うん…。きっとみんなほどわかってはいないと思うケド…きっとウタラでもハッキリ観じるんじゃないかな?」


「確かにそうかもね~!って、さっきさ、懐かしいって言ってたよねスセリちゃん?」


 納得しながらもスセリの不思議な一言についてミチヒメは問いかけた。


「うん…。前にも…会ったことがある気がする…ずっと前…前の世でかもしれないケド…」


 スセリのその言葉を聞いたヤチホコも言われてみれば観じた事ある気が…そう思ったが、単につられただけかなと気にするのをやめた。


「…なんか~チカラもらえちゃったカンジ♪」


 ミチヒメが軽く飛び跳ねながらそう言った。

 それは気のせいではないと皆も思った。

 今まで観じていた身体の疲労感がすべて消えてしまったのである。


「今なら夜通しイケ(戦え)る!」


「ホントホント♪一晩でも二晩でもいくらでもね~♪」


 ヤチホコとアビヒコは何故だか少し照れくさそうに気まずくしていた…。


(…おそらくルース殿が我らを散策に向かわせた理由は…このカムイ=チセであろうな…後あの素晴らしき綿あめであろう…!)


 それぞれにイレンカ抱きながら万事屋ルースに帰宅する事にした。


自然界で貴重品である糖を取り込み血糖値をあげる仕組みは人体にいくつもあります。

…それほど貴重で大切だから…でしょうかね…ウガヤも(笑)



11/15追記です

ガラス→|玻璃=ボォリィ(日本の古語で「はり」)に変更しました(^-^;

…この時代ガラスはサンスクリット語の漢訳だったようです、そして同様の「瑠璃るり」の場合は

本当の宝石を指す場合もあったのでこうしましたm(__)m


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ