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第103倭 ポㇰナ=シリでアリキキノ(後編)

己がチカラの遣い方をゼストが解り始めました…!

「…こ、これは…大剣が立派なシカリㇺパ・チャシ(半球状盾)に…? …。…。チカラを流し込み…イレンカ(ヲモヒ)籠めると…変えられる…です…?」


「左様である! ふっふ…そして何も数は一つとは決まっておらぬぞ…♪」


「…数も…? …。…! なるほどですー!」


「…ヘーラ=クレイス殿は…まことに指導者としても素晴らしきなり! これで真に不足なき相手となるであろう…!」


「うむ…!」


「…相手が強くなるのを喜ぶ辺りは…非常にウガヤ兄っぽいですね…♪」


「そ~よね~♪ う~ん…でも…わたしも…少しそのイレンカわかっちゃうかも♪」


「…ミチヒメも…なのですね…」


 それを聞いてヤチホコは一本指で頭を描きながら困り笑いを浮かべていた…。



「…いくですー! シ=アリキキノ(全霊全開)で高まるです! 僕に眠るチカラさんたちー!」


 ゼストが叫ぶと同時に強力な光子力(メル=ストゥ=マゥェ)が吹き上がる!


「…ウガヤ同様…トゥム(氣力)はカムイたるワレに匹敵するであるな!」


 ヘーラ=クレイスは高まるゼストの輝く根源のチカラ(メル=ストゥ=マゥェ)をみて感心しながらそう応えた。


「ふたりともヘーラ=クレイスさまに匹敵…すごいですね!」


「本当! でもアチャポ(おじさま)はともかく…ゼストさん…すごいね!」


「ですね! こうして観ていますと…本当におんなじ位のトゥムアスヌ(チカラ強さ)です…!」


「…ここから…こうです!」


 ゼストはそう言いながら半球状盾(シカリㇺパ・チャシ)を殴りつけ右前腕を盾に減り込ませた!


「…わ! あれってど~するつもりかしら?」


「…気付かれた様ですね…♪」


「うむ…! まだ斯様(かよう)な手順でしか出来ぬが…やりおったわ♪」


 しばらくして盾より引き抜いた右腕には…何と金属製の拳鍔(けんつば)と手甲が装着されていた! 対する左上肢はあの世界での姿の様に前腕が膨隆し小さな半球状盾(シカリㇺパ・チャシ)を備えていた。


「おお…! あれはまさしくプングゥス=クストー(拳鍔けんつば)ディア…そしてあのメレメル(輝き)具合…ソナタらのイタク(言の葉)でならば…アスケゥコㇺ=(緋緋色)ヒヒイロカネ(金拳)…であるか…! やりおる♪」



「ほんと…ゼストさんらしい…相手をロンヌ(殺す)するんじゃなくてコラㇺ・ヌカㇻ(比武)し強さ競うための…ね♪ そしてより一層イペオプ()をいなしやすい形になったね!」


「あ、本当ですね!」


「そうだそうだ…! イレンカひとつで如何様(いかよう)にでも成り得る…その修練としての為の故もありて彼のモシリに降り立ったのでもあるぞ? 皆…中にはもはや元の姿と全くかけ離れしモノもおったであろう?」


「た、確かにその通りですー! 緋徒(フィト)の形していない方もいしましたからねー!」


「…たしかにそのまんまペコ(うし)な方もいましたね…」


「そ、そ~なんだ…さっすがポㇰナ=シリ(幽世)イレンカ・モシリ(ヲモヒの世界)とも呼ばれるワケね♪」


「お! ウガヤが先に撃って出るぞ!」


 ヘーラ=クレイスの言の葉で闘技場を()ると…ウガヤは深く構え氣力(トゥム)をかなり練り上げている…!


「わわ! あの大きさでニス()のトゥムでしたら…メル=ストゥ=マゥェ(輝く根源のチカラ)状態の僕でも貫かれますね…!」


「元来のトゥムの大きさがまるで違うであるからな…! 境涯至れどヌプル(つか)えぬウガヤ…すべて(そろ)いしも境涯の足りぬゼスト…奇妙な(えにし)であるな…!」


「…シ=アリキキノ(全霊全開)で…参る!」


 言うや否やウガヤは視界から消える程の速度で突撃した! 凄まじい地響きが起こると同時に耳を(つんざ)くような激しい金属的衝突音が鳴り響いた!


「…あ! と、止めてます…!」


 観るとゼスト・リウスの左前腕の半球状盾(シカリㇺパ・チャシ)と手甲でウガヤの槍を受け止めている姿が確認できた。


「ぐ、ぬぅ…! す、すごい槍撃…です…! このアムニン()でなければなくなっていたです…!」


 ウガヤはそこで一旦槍を戻し距離を取る。


「…ここまで出来る相手…最高の技で参ろう…!」


「っ! く、くるですー!」


「ですわ! ヌプル最大出力…!」


 ソィヤから大量の霊力が流れ込む! それをゼストが輝く根源のチカラ(メル=ストゥ=マゥェ)としてすべて練り上げていく…。それが神威之色身体(カムイエウンケゥエ)権能(チカラ)神威之力(カムイ=マェ)に準ずるモノへ昇華(しょうか)されていく…。


「我が業は我がが為すに(あら)ず! 天地神明(しんみょう)のチカラよ! ここに集い給え!」


 (はた)目にも尋常ではない力が集束していくのがありありとわかる。


「おお! 先ほどよりも更に集束されているであるな!」


究極(キュウキョク)全貫穿(ゼンカンセン)撃槍突(ゲキソウトツ)!」


 ゼストに向かってウガヤが跳び込んだと思った刹那、その巨体が消え、一瞬眼前に顕れ地響きが聞こえたと思いきやまたもや姿を消した。


「あ! カタ()です!」


 ヤチホコの声で上空を観ると…遥かな高みまでウガヤは跳躍していた。そして全身から氣力を吹き上げそれを集束させて足場を形成し真下目掛け激しく震脚して地面へと跳び掛かってきた! 激しく吹き上がっていた氣力がみるみる消え去る様に観えた…。そのウガヤに対しゼストは盾を仕舞い込んだ左腕を差し出した…!


「あぁ! ゼストさんそれじゃアムニンなくなっちゃうよ~!」


 ミチヒメの懸念の通り腕はおろか身体ごと弾かれて激しく回転させられた! あまりの激しさに皆の視界から消える程であった…!



「…ぬぐっ!」


「あ! あれってわたしの…!」


「…やりましたね♪」


「ほお…! 素晴らしきなり…化勁(フゥァジン)からの…纏絲(ペッネカ・ノィエ=)(コトゥイエ)であるな!」


 ゼストは先の比武にてミチヒメより受けし技をそっくりそのままウガヤ相手に行使してみせた。


「…今の僕では片脚ずつ震脚して撃つ事出来ません…ので、です…! 両脚で踏み込んだら…あとはケゥエ(身体)のうねりでチカラを伝えるしかなかったです…!」


「震脚などの踏み込みや前後の重心移動なしにチカラを全身の捻りやうねりで伝え放つのがペッネカ・ノィエ=(纏絲)コトゥイエ()である! どうやら偶然の様であるが…良くぞ放ったであるな!」


「…無傷とはいかなかったです…おそろしい突きでした…」


 ゼスト・リウスの左上肢は…肘関節(ちゅうかんせつ)があらぬ方へと曲がり前腕は激しく損傷していた…。


「…素晴らしき技なり…! 咄嗟(とっさ)イペオプ()(かば)わねば…かなりの被害受けしであろう…!」


 氣力を徹す鍛え上げし赤銅(フレカネ)を幾本も束ね上げた柄が捻じ切れてしまっていた…!


「あの迅さで防御できるですかー…すごいです…!」


「…そのアムニンでは…此度のコラㇺ・ヌカㇻ(比武)はここまでであるかな…?」


「…まだです…。…。…。…!」


 ゼストが左手に光子力(メル=ストゥ=マゥェ)を集中させる…見る間に修復されていく…!


「成程…流石はカムイエウンケゥエ(神威之色身体)…!」


 そう感心したウガヤは槍を置き構えた。


「…無手も出来るですかー!」


「…武の基本故…当然である…!」


「…思えばウガヤ兄の本気の無手…はじめて観ますね…!」


「…そっか…ヤチホコくん知らなかったんだね…わたしの武…アチャポ(おじさま)から教わったモノだよ♪」


「え? あぁ! と…言う事は…!」


「…アチャポは確かね…その上の技もあったはずよ…!」


「さあノカン=クルたちよ…刮目して観よ! 武の極みの何たるかをな!」


 ヘーラ=クレイスはそう言ってまた二人を膝の上に乗せ座らせた。


「は、はい!」


 無手で構えたウガヤを前にゼストは先ほどより用心深く様子を見ている様であった。


「…なんとなくですが…イペオプよりも怖いカンジしますねー…!」


「…良きフミ(感覚)であるぞゼスト…。まさしくその通り。己が凡てを以て挑まれよ!」


「はいですー! ソィヤさん!」


「了解ですわ…! 全ヌプル(霊力)解放…! 外なるモシリ(世界)にも協力を求めます…モシリ=オピッタ=イ(大地よ、凡てを育む)レス=シ・パセ=マゥ(大いなるチカラ)エ=ラム・ハプル(貸し与え給え)…!」


「おお…! これは…メル=ストゥ=(地ノ属性)マゥェ・モシリ(ノ光子力)であるな…! カムイエウンケゥエ(神威之色身体)のチカラにて境涯を超え更に錬り上がってゆく…!」


「…イリチ殿! オピッタマゥエ=ラム(凡てのチカラ貸し与え)ハプル(給え)!」


「うん! わかった! 全力解放! そしてモシリ(せかい)のチカラも…手伝って!」


「…ヌプル欠けるをトゥムの属性で埋め…境涯の至らなさをカムイエウンケゥエで補い…両者とも緋徒(フィト)の段階での極限であるな!」


 あらゆる手を尽くし己を高める二人を観てヘーラ=クレイスは感心してそう述べた。


「…行くですー! はぁ!」


 先にゼストが動く。瞬動より直前への震脚から体幹のうねりによってチカラを増幅加速させ放つ纏絲勁! 放った直後ゼストの巨体が宙に舞う!


「…化勁(フゥァジン)による…投げ…!」


 ウガヤはゼストの撃ち切って伸び切った右腕の捻りに合わせその外側より己の右前腕を高速に回内しつつ把持し力の方向を変えてゼストの体を崩し死に体(重心が浮いた状態)となったゼストの身体を逆さまにして宙に舞わせた! 我々の知識で言うならば…柔道の投げの型、“浮き落とし”を極みの身体操作にて完璧な理合いを発動させ行ったと言えるだろう…!


「…クィタクペ=ホロカモ(十字螺旋)ィ=コトゥィエ(浸透勁)…!」


「ああ! あ、あれは…おかあさまの…!」


「すっご~い! やっぱりアチャポのケゥエ=エイキ(身体操作)って…極みの域!」


 轟音と共に闘技場の反対側が爆発したかのようにはじけ飛んだ!


「…手ごたえ…あり…!」


 そう言ってウガヤはゆっくりと瓦礫の山と化した闘技場の一角へ歩み寄る…。


「…流石用心深いですね…!」


「ね! わたしなら気になって駈け寄っちゃうかも!」


「ふっふ…。まぁ観ているが良い。あれは…そうではあらぬ」


 直前まで歩み寄るとウガヤは何と片膝をついて歩みを止めてしまった。


「あ! も、もしかして…!」


「…技の極みで流し切れぬであるか…! げに恐ろしきは…カムイエウンケゥエのチカラなり…!」


 良く観ると化勁(フゥァジン)で受け流したはずの右前腕部の損傷が先程よりもかなり増悪していた。


「…こ、こっちもです…! ご…ごぼぉ…!」


 瓦礫の中から声と共に起き上がったゼストはそう言いながら激しく吐血した。


「残り全ヌプル集束…! トゥサレ(回復)いたしますわ…!」


 ソィヤがそう言って回復を試みると…しばし後分離して元に戻ってしまった。


「…チカラ…尽きたです…。まいったです…! 緋徒(フィト)ケゥエ(身体)なのに…すごいです…!」


「こちらこそまこと感心いたした…! カムイエウンケゥエ(神威之色身体)…我が全てを賭して求むるに値するモノであった…!」


 ウガヤの修復で能力を使い果たした息を荒げているイリチを肩に乗せウガヤもそう応えた。そして静かにイリチを下ろしゼストに手を差し伸べ引き起こし互いに讃えあいしかと抱き合った。


(な、なんでしょう…このフミ(感覚)…すごく懐かしい…です…?)


(…このモノ…ヤィコ=トゥィマ(前之世)にて…(えにし)ありである…か…)


「二人共…素晴らしきコラㇺ・ヌカㇻ(比武)であったぞ…! 必ずや望むモノ手にしてこれるであろう!」


「元々緋徒離れしていましたが…その試練を超えましたら…これで本当に緋徒じゃなくなっちゃいますね…!」


「ホントホント! 自力でメル=ストゥ=マゥェ(輝く根源のチカラ)エトゥッカ(発動)していないのにあの強さは…ちょっちずるいわよね~!」


「…ワレ等同様…シンノ・クスル(真の道)を歩まんとするモノが…二人になりし事…とても喜ばしき! 共に磨き合い力を合わせ…難多きクスルであるが…成し遂げて魅せよ!」


「はい! 頑張るですー!」


身命(しんみょう)を賭して必ずや成し遂げて参りまする…!」


「うむ…! 頼もしきなり!」


 ヘーラ=クレイスは満足げに二人を見つめながらそう応えた。


「…刻にゼスト…そなた…素晴らしきトゥムコロクル(闘士)であるな…! 重ね重ね感心いたした!」


「ありがとうですー! そう言ってもらえてとてもうれしいですー! ウガヤさんと一緒に行けるのも…なぜかとても…うれしいですー♪」


 無垢な瞳でウガヤを見つめながら笑顔でゼストはそう伝えた。何らかの感情の高まりを観じながらも…ウガヤはあえて落ち着いて応えた。


「…左様で…あるか…? 然らば互いに望み果たし…良きパイェ=カイ(旅路)としようぞ!」


「はいですー!」


「あ~、話が進んでいる処すまぬが…ゼストよ…ソナタは…暫しここに残り武の基礎を…ストゥ(根源)を掴むための故に錬するが良い…! あまりに(ことわり)を知らなさすぎるであるからな!」


「ええー! ウガヤさんに…置いていかれるですー…」


「…ヘーラ=クレイス殿…然らば…我もこのモシリに残り、ゼストの技の錬磨の助力をさせて進ぜよう!」


「ほほう…好敵手と認めたであるか? 良き事! ソナタら二人いたらワレも楽しみが増えるであるからな!」


「…楽しみ増えるですかー?」


「うむ…。ゼスト…ソナタ一人よりも…ウガヤと二人がかりにて我に挑みし方が楽しいに決まっておろう♪」


「…な、なるほどです…。そーでしたか…。ヘーラ=クレイスさまとは…そこま差があるですか…!」


「現状はな。先はわからぬが…な! ソナタらはそれ位…見込みありきであるぞ!」


「ありがとうですー! ウガヤさん、僕…頑張るですー!」


「う、うむ…。共に磨き合おうぞ…!」


「…なんか凄さを見せつけられちゃった気もしますが…良かったですね!」


「そ~ね~! わたしたちも…チカラにおごらず練り上げていきましょ~!」


「はいです♪」


「あ、それじゃゼストさんまだここに残る様ですし…僕たちは一旦失礼しますね! カンナさんの方観てきますね」


「そーですかー! よろしくですー!」


「…ノカン=クル達よ…ソナタらも…クスル喪いし刻は…再度ここへ参り求道するが良い…!」


「はい! ありがとうございます!」


 ヤチホコとミチヒメはその様に礼を述べ深々と頭を下げてその場を後にした。


「さあて…では参りましょうか!」


「え、あ、う、うん…♪ わかってくれたの…?」


「え? あ、は、はい…? カンナさんのとこ…おぶぅ!」


「ヤ・チ・ホ・コく~ん…あなたってホ~ント…こ~ゆ~とこニブいのよね~!」


「いたた…え? ど、ど~ゆ~ことでしょうか…?」


「もう…せぇ~っかく二人っきりでこんなステキなローマへ来てるのよ?」


「えとえと…」


「二人で…イトゥラ(一緒に)に…ポロ=コタン街をみて…コレゥシ(一緒に泊まる)して…♪ その他色々も…ね♡」


「あ! は、は、はい…♪」


「わかってくれたよ~ね…♪ じゃぁ…行きましょ♪」


 二人は仲良く手をつないで街へと消えて行った…。


しばらくウガヤも滞在するようですね…ゼストとの間には何やらありそうです…。

そして意外? にもミチヒメの方からヤチホコへ…の様ですね♪


用語説明ですm(__)m

・プングゥス=クストーディア:拳を保護するモノ、メリケンサックより。(ラテン語)日本語は拳鍔けんつば

アスケゥコㇺ=(緋緋色)ヒヒイロカネ(金拳):拳鍔を彼らの言の葉に直し…また材質からヘーラ=クレイスが名付けたモノ。

・ペコ:牛。東北地方由来か?

・イレンカ・モシリ:ヲモヒ+世界、より。

纏絲(ペッネカ・ノィエ=)(コトゥイエ):(粉などを)練る+捻る、ねじる+~を徹す、より。

クィタクペ=ホロカモ(十字螺旋)ィ=コトゥィエ(浸透勁):十字、道しるべ+渦+~を徹す(=発勁の意で使用)→「十字螺旋浸透勁」としました。

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