第102倭 ポㇰナ=シリでアリキキノ(前編)
ゼストを連れてローマへと…
「…やはり中々慣れません…と言いますか苦手ですね…コレ…」
「そう? わたしはこの揺れ…エラマスだけどな~♪」
(…どこかのスセリちゃんとおんなじこと言っている気が…)
「ふふ♪ 今は…わたしのことだけにイレンカ廻らせてて…いいんだよ♪」
「え!? あ、は、はい…もちろんですとも…!」
(…口に出ていましたかね今の…)
不意のミチヒメの言に慌てふためきながらも一行はインペリウム=ローマの都市部中央にある神殿へと向かっていった。
「…なんかすごいステキですー♪ こんなカンジのポロ=コタン…前に観た事ある気がしますねー…?」
「ええとたしかね…トオㇷ゚エカンナイ…ここよりもず~っとエチュㇷ゚カのエコィカの方…ガンダーラのタクシャシラーから観るとエチュㇷ゚ポㇰで生まれた文化が流れて広まって…発展していったとラーマさまに聞いたよ…!」
「そうなんですね! あ、その辺りって確か…!」
「…うん! バビロン…そのエコィカにはかつての…キ=エン・ギ…今はシュメールと呼ばれている処…!」
「…ど~したのゼストさん?」
ゼスト・リウスは少し思案しながら応える。
「なんとなくですが…聞き覚えのあるイタクですね…」
「…カンナさんが前に僕のことをそう呼んでいましたね…我が…シュメール…と」
「…シュメール…上に立ち統率するって意味だったよね? シュメール?」
「あ、はい…。それでモシリを治めるカムイも…シュメールカムイと呼ばれます」
「ヤチホコくんがシュメールカムイかぁ…でもまぁニスのエィキ・クルだし…大いにあり、だよね♪」
「今の僕を観る限りあんまりエラくなかった気がしますね…」
「そ~かもね♪」
一同笑いながら歩く間に目的の神殿が近づいてきた。中へ入ると最奥部の扉から金属音が微かに聞こえてきた。
「…アチャポたちにしてはずいぶん小さな音ね…?」
「あ! この扉の奥…ポㇰナ=シリ…です…!」
「そぉれで音が小さかったのね」
「…でもこれは…カネのぶつかる様な音…きっとハィヨクペをを遣った錬ね!」
「…ハィヨクペですかー! 僕はほとんど遣ったことないですねー」
「ゼストさんはあそこでは必要ありませんでしたからね…」
ヤチホコは小さきアリの世界でのゼスト・リウスの雄姿を思い出しながらそう応えた。
「…今後は必要かもしれませんのでそっちも頑張るですー!」
先の金属音の後、幽世内の闘技場では大剣を構えしモノが感心して言の葉を漏らしていた。
「…素晴らしいぞウガヤ! ハィヨクペ遣いし刻はワレに匹敵するであるな!」
「…有難き…! 然らば今度は全力で参る、イリチ殿!」
「うん、わかった! 全力解放…! …。…。完了!」
返事をしたイリチはウガヤに絡み付くように変化し全身を包み込む衣と化し、その権能を以て空の気力を練り上げていく…!
「…これは…外なるチカラを集束し…今のワレにさえ届き得るチカラであるな…! おもしろき!」
ウガヤに比肩する巨躯の持ち主はそう応えると更にチカラを高めだし、同時に更に一回り体つきが逞しく変貌した様に観えた。
「…よし…アリキキノで来るがよい…!」
「ヘーラ=クレイス殿…いざ参る! 我が業は我が為すに非ず! 究極全貫穿撃槍突!」
ウガヤは距離を取り遠くの間合いから全力で突撃し、直前で左右の連続震脚により重心を最大加速させ発した十字螺旋浸透勁にて極限増幅させて槍撃を放った!
ヘーラ=クレイスと呼ばれしモノは大剣でその撃を受け止めるもそのまま激しく後方へ押されていく…!
「おおお! シ=アリキキノ! イペオプよ全てを貫き徹せ!」
「…徹しはせん! ぬぅん!」
ウガヤ同様ヘーラ=クレイスも大剣に己の権能を纏わせ跳ね返そうとするが…
「生半では…止まらぬであるか…! ならば…!」
その刻ヘーラ=クレイスより先ほどまでとは別次元のナニカが吹き上がる!
「カムイ=エウン! ラム=エトク=カムイ! 」
「負けぬ! 貫き徹せ! ぬぅん!」
ウガヤのやりにも更なる氣力が集束し槍が激しく爆ぜた!
「極限集束!」
槍より激しく吹き上がっていた氣力が激しく螺旋状に立ち昇り…消えてしまったかのように観えた。その瞬間ヘーラ=クレイスの大剣に微かな亀裂が入り始めた!
「…素晴らしき! イペオプとほぼ同様にまでこれだけのチカラ絞り込み集め切るとはな…!」
氣力が消えたかの様に観えたその槍は…間近で観ると…氣力が槍とほぼ同径にまで絞り込まれ凄まじい勢いで回転していた! 大剣に入った亀裂は見る間に広がっていく…!
「…よもや…ここまで絞り込み練り上げるとは…な…!」
大剣を粉砕し貫いたウガヤの槍はヘーラ=クレイスを貫いたかに観えた…。途端にウガヤの槍を持つ掌に凄まじい反動が襲い掛かる! 上肢の至る処より毛細血管が破裂してウガヤの腕を朱に染めた…!
「…素晴らしき一撃であったぞ…! ワレのカムイエウンケゥエに傷つけおったわ!」
言の葉を受け視線を送ると…槍の先より滴り落ちる紅の滴が観て取れた。
「とうとう緋徒のままで…ここまで錬り上がったであるな!」
「…有難き…! これで彼のモシリでの試練も…!」
「…ああ! きっと超える事叶うであろう…!」
「恐悦至極…!」
ウガヤはそう応えた後、槍を納め血染めの腕で長揖しようと試みたが右手の指が槍から離れず、やむを得ずそのまま左手も握りこぶしをつくり、右手と共に額から大きく上に両手をかざし大きく弧を描く様に下ろして深々と頭を下げた。
「…まさに貴殿のおかげである…! 我に希望のクスル下さりし事…筆舌に尽くし難し…!」
「うむ…! しかしウガヤよ…未だ試練挑む前であるに…お主らしからぬイタクであるな…!」
「…コィキカムイと言うべき貴殿を相手にここまで出来た故、すべての責を忘れイレンカのまま述べてしまったようであるな…!」
「それだけの苦難あった故致し方なし…であるな…!」
二人…二柱と言うべきか…は、笑いながら身体を合わせ互いに軽くたたき合っていた。
「あ…! どなたか出てくる様ですね…!」
ヤチホコがそう言うと…幽世への扉よりウガヤと…恐らくはヘーラ=クレイスと思われるモノが満足げな表情でてくるのが観えた。
「…ビル…」
二人を観たゼストの口から思わずそう漏れた。
「…おお…? ソナタらは…もしやウガヤの…!」
「はじめまして、ウガヤのマッカラクの…ミチヒメです!」
「僕はヤチホコと申します。ウガヤ兄の…アㇰです!」
「おお! ウガヤと違い…ア=オマプよのう♪ そちらは?」
「…僕の…ビルと…あなたは誰です…?」
「ビル…? ウガヤの事であるか…? ワレは…ヘーラ=クレイスなり!」
「ビル…ウガヤ…? …。…! ごめんですー! 僕はゼスト・リウスですー。そちらのウガヤさんにお逢いする為に参りましたですー!」
「…ビル…? それはエカンナイのウパスクマのルーガルのレであったな…」
「…そーなんですねー! 何故か口づいて出てきましたが…ぜんぜん知らなかったですー…」
「ヘーラ=クレイスさま、ウガヤさま、はじめまして、ソィヤ=イトゥンナㇷ゚と申します…ゼストさんのラムハプル=クルです」
「うむ…!…。…。成る程…ウガヤよ…このモノ…ゼストとやらは…彼女のチカラによりてカムイエウンケゥエを解放出来るようであるぞ?」
「…なんと…! それが出来しモノが何ゆえ我と同等のクスルを歩まんと欲するのであろうか?」
「僕の…シンノ=レンカイネ…純陀さんに造ってもらった借りモノなんですー。いつ壊れてしまうかわからないです…だから…シンノ=マゥエのストゥを手に入れる為にご一緒したいです…」
「…斯様な事も叶うであったか…!」
「…このゼストは…己が能を超えてカムイエウンケゥエとなりしであるな…!」
「僕のいたモシリを…みなさんを救うため…このソィヤさんから頂いたチカラです…」
「そのイレンカ素晴らしきなり! 本来ならば自力でカムイに至るに相応しきイレンカと行動である…? …! そうであるか…ポㇰナ=シリたる彼のモシリ…半ばで出て来たであるか…!」
「なんでもわかるのですねー! さすがですー♪」
「カムイに至れし刻…己が境涯より下のモノの事は…ある程度観えるであるからな…!」
「そうですかー! ではお聞きします…僕は…ウガヤさんと同じ試練に…挑戦出来るですか…?」
「…どぅら…。…。…。ふむ…。では…試してみるか…ウガヤよ、いけるであるか?」
「没問題。可能でありまする!」
「ちょっと待って! アムニン…トゥサレする! …。…。よし完了!」
イリチがそう言うと先ほどまで出血で朱に染まっていた右腕がきれいに治っていく。
「イリチ殿忝き…! まだ…いけるであるか?」
「うん、大丈夫!」
「…宜しきなり! では皆のモノ…こちらへ参れ!」
一行はヘーラ=クレイスに誘われ幽世の闘技場へ向かっていった。
「わぁ~♪ なぁんかかっこいい~♪」
「あのおとうさまのモシリもこんなカンジなのでしょうかね?」
「…スサノヲ殿の…オタ=ソ=カムイチセより参るストゥ=モシリであるか? 建物自体はここほど広くはないが…よりイレンカによる錬叶う処であるな…!」
「さぁ、ここならば互いにアリキキノでコラㇺ・ヌカㇻ叶う故、存分に確かめ合うが良い!」
「ならば…ゼストであったな…いざ尋常に勝負と参ろう!」
「了解ですー! ソィヤさん! お願いするですー!」
「ハイ! エウンしますわ! カムイエウンケゥエ…エトゥッカ!」
ソィヤはその掛け声と共に宙に舞いそのまま背後よりゼストを抱きすくめた。その直後ゼストは輝きだして例の姿へ変貌した。
「…喜べウガヤよ…シンノであるぞ…!」
「…左様でありまするな…! このチカラ…先の貴殿の如き…!」
「うむ…! 境涯至らずとも…カムイエウンケゥエと…そのラムハプル=クルであるソィヤのチカラによりて準ずるモノとなりてエウンしておるわ! ワレが戯れたい位である!」
感心しながらも嬉しそうに少しはやる気持ちを覗かせながら応えるヘーラ=クレイスの言の葉に驚愕しながらウガヤは応える。
「…それ程まででありまするか…! 相手にとって不足無し! イリチ殿!」
「うん、わかった! シ=アリキキノ! …。…。完了!」
「よろしくですー!」
ゼスト・リウスは応えると共に螺旋勁の構えを取った。
「ほぉ…。今のウガヤ相手に無手で挑むであるか…。ゼストよ…ウガヤはイペオプを用いてソナタ以上の勁を放つであるぞ?」
「そ、そうなんですー? ハィヨクペを遣ってそんなことも出来るですかー!」
「…先々のコィキ…カムイを相手取るに無手は…ケゥエ=エイキの極み…カムイ=エイキを身に着けねば通用せぬぞ? …ふむ…。…! よし! ソナタ…これを遣うが良い!」
そう言ってヘーラ=クレイスは巨大なナニカを投げてよこした! それは先ほどウガヤが砕いたのと同様の大剣であった。
「…ヘーラ=クレイス殿…貴殿が遣いし刻でも打ち破りし我がイペオプ相手に何故それを…?」
「…ゼストよ…問題は使いようである! 今のソナタは…チカラがエウンした存在…故にこの大剣も如何様にも…またあらゆるモノとしても遣え、取り込み、エウンヤィカㇻ叶う…! それこそがカムイエウンケゥエなり!」
「どんな風にでも遣えて…取り込めるですかー?」
ゼストは暫し考え込んだ…。
「…ちょっとまだわかりませんねー…」
困り笑いを浮かべるゼストに対し声がかかる。
「然らば…準備…よろしいであるか…?」
「はいですー。わからないのでこのままいくですー!」
大剣を地面に刺し、再び螺旋勁の構えを取った。
「…参る!」
ウガヤがそう言った瞬間ゼスト・リウスははじけ飛ぶ!
「…は、迅いですー!」
「…イペオプ槍携えしウガヤは…ワレに匹敵ぞ? 当然である!」
笑みを浮かべながらヘーラ=クレイスがそう応えた。
「…その大剣は…盾としても遣い得るぞ?」
「…なるほどですー!」
大剣を左手で逆手に持ち構え直した。瞬間大剣を貫き槍が顕れた!
「っ! か、貫通してくるですー!」
「…当然であろう? 相手はイペオプにニスのトゥムを全力で纏わせしモノぞ?」
「トゥムを…ハィヨクペに…?」
ゼストは手にした大剣に輝く根源のチカラを籠めてみた。大剣は輝き始め先程の穴が徐々に小さくなってふさがっていく…!
「…! これは…?」
「ソナタのチカラと…その大剣がつながったのである! 故に…トゥム、ヌプル尽きぬ限りトゥサレされよう…!」
「あ、それって…カムイエウンケゥエとおんなじ性質ですね!」
「ほう。ヤチホコや正解である♪ ア=オマプなだけでなく中々にラムアンではないか♪」
「あ、ありがとうございます♪ ああ! と、言う事は…むぐぐ…!」
「…それも正解である…♪ が…口に出すのは暫し待たれよ♪」
気付くとヤチホコはヘーラ=クレイスの膝の上に座らされて口を塞がれていた…!
(と、途轍もない迅さ…です!)
ヤチホコは全く感知出来ず、その常軌を逸した迅さに心底驚愕した。
「…さあ、ここで一緒に観ようではないか♪」
「は、はい!」
そう応えながら正に子供の様にちょこんと膝に座らされた状態で先ほど言いかけた事にヲモヒ廻らせていた…。
(…ゼストさん…うまくいけば攻防一体の…!)
「…ハィヨクペにトゥム伝わらせん事叶うであるか…。然らば次は纏いしトゥムごと貫きて進ぜよう! ぬぅん! 全貫穿撃槍突!」
「っ! 来たですー! 剣に…シ=アリキキノでチカラをー!」
ゼストは自身の権能を全力で大剣に籠めた。再び剣が輝きを放つ! その瞬間あり得ない衝撃がゼストの持つ剣に疾る! 片手ではとても受け止めきれぬその衝撃の主は大剣を大きく陥没させ今にも貫かんとしていた…!
「…こ、これは貫かれてしまう…です…!」
「…ならばゼストよ…シンノ=ヤィキッカラ=チャシとしてみてはどうだ?」
「シンノ…? よ、よくわかりませんが…大剣さん…盾のようにしっかりヤイキッカラしてくださいー!」
「…これは…ラムに淀みなき故か…実に筋が良い…!」
ヘーラ=クレイスの言の葉と同時にゼストが手にした大剣が姿を変えていく…!
「…シカリムパ・チャシ…! イペオプが…滑りゆく…!」
観ると大きく丸みを帯びた盾がゼストの左前腕に装着されていた。
「あ! やりましたね! で、でも…さっきの大剣よりもはるかに大きい気がしますが…?」
「…そこがカムイエウンケゥエの妙なり…! 己がチカラ籠める程…強さも大きさも…自在にヤィカㇻし得るのである…!」
「…これは…ゼストさんが自分のチカラ遣いこなしましたら…生半ではとてもかないませんね…!」
ヤチホコは戦慄を覚えながらも感心して応えた。
「…それが解るのであれば…今のソナタの境涯ならば…合格である…!」
「…わたしも負けないよ♪」
ヘーラ=クレイスの言の葉を聞いた直後、ヤチホコは身体ごと横に押しやられた。
「わたしもご一緒させてくださいね♪」
「はっは…良きイレンカであるな! ふたりともワレの膝の上でしかと観るが良い!」
ヤチホコと…それを押しやるように入り込んできたミチヒメは、ヘーラ=クレイスの逞しく立派な大腿を仲良く一つずつ拝借して観戦する事にした。
ここからが本番ですね…!
…すみません、フリガナつけるのにかかる時間の都合で二つに分けてしまいました(^-^;
出来次第後編も載せますm(__)m
用語説明ですm(__)m
・トオㇷ゚エカンナイ:ずーっと、はるか遠く+昔→「遥かなる古代」としました。
・エチュㇷ゚カ:その+月や太陽+上→「日出ずる処」で東の意としました。
・エチュㇷ゚ポㇰ:その+月や太陽+下→「日没する処」で西の意としました。
・エコィカ:その+波+上→「波の上日輝く処」としました。
・エマカㇲ:その+開放する+(雨、雪が)吹き込む、閉じる
→「開放し吹き荒ぶ処」としました。
・シュメール:統べるの転訛、と言うか「統べる」の語源として扱っています。
本文で言っている通り、「シュメール」の事は彼らの言の葉で「キエンギ」です。
・キ=エン・ギ:地+主人+葦、高貴な、文明ですので…「高貴なる我が主住まう地」か…
「葦原の中つ国」となるのです…!
・|長揖《ちょうゆう:古代の礼法で「拝礼」に次いで丁寧なモノ。貴人相手に行う。
・シ=アリキキノ:本当に、偉大な+一所懸命→「全霊全開」としました。
・ラム=エトク=カムイ:勇敢な、勇者+神→「英雄之神威」としました。皆様ご存じの…ですからね♪
・コィキカムイ:戦う+神→「戦の神威」としました。
・ラムハプル=クル:惜しまずすべてを与える+者→「権能授与者」としました。(既出かも(^-^;)
・シンノ=ヤィキッカラ=チャシ:真なる+身を護る、防御する+柵、囲い、垣根→「真に我が身護る盾」としました。
・シカリムパ・チャシまるい(円形、回る)+柵、家、(英雄叙事詩の人物の)館より。
…思ったより多かったですね(^-^;




