第101倭 驚異の錬成! ボーディ=サットヴァ=マニィ
ソィヤの為にタㇰを探します…!
「ソィヤさんお願いですー!」
(ヌプル=インカラだけですが…行きます…!)
ゼスト・リウスはソィヤの権能で観の眼を発動させて辺りを見回す。
「…なんかどれも良さそうに観えるですー…?」
(…トゥムも解放して観てみてください…!)
ゼストは言われた通りにしてみた。
「…! 今度は少し違って観えるです…! あれですかね…?」
ゼストは見つけた玉を拾った。それは透き通るように白く美しい玉であった。
(…きっと遣えると思います…さらに探してみましょう…)
「そーですね! 次いくですー」
再び探し始めたが…今度は中々見つからない…。
「…少し上流へのぼってみるです…」
上流へ行く程に水は澄み辺りは豊かな森になっていく。
「…上流の方…あそこ…みつけたわ…!」
「りょ~かいキクリちゃん♪」
ミチヒメはキクリを抱えゼスト目掛けて飛翔し眼前に着地した。
「わぁ! ミチヒメさんと…そちらのポンメノコさんは…?」
「…キクリよ。この姿でもチカラは変わらないから安心して♪」
そう言いながら胸元からそっと何かを取り出す。
「あと…アビヒコのエウンヤィカㇻ…スクナヒコ・ナ…そろそろ起きるといいわ…!」
キクリは気を失っているスクナヒコ・ナの頬を優しくつついた。
「う…ん…。ここは…? …! これは…大分良いタㇰあるようだね」
「わかるですかー? ええと…?」
「…アビヒコだよ。この姿の方が探知ははるかに出来るからね」
「そーなんですねー! みなさん色々とすごいですー!」
ゼストは己の半分にも満たない体格でいながら自身を遥かに凌ぐ権能を持つ面々に対し心底感心してそう応えた。
「…きっとゼストさんも…誰にもない良さやチカラがあると思うし得られると思うよ…!」
「ありがとですー! …っと…」
「アビヒコでもスクナヒコ・ナでも好きに呼んでくれれば良いよ」
「ハイ、スクナヒコ・ナさんありがとですー! 僕も頑張るですー!」
「…まぁ探すのは…まかせておいて…!」
そう言うとスクナヒコ・ナとなったアビヒコは目に観えぬ探知の網を高濃度で広げ始めた…。
「…モシリすべてに広げられるフミをこの一帯のみにしぼって探る…たとえチㇲの中…トィの中…ワッカの中でも…わかる…!」
観えはしないが一定の間隔でアビヒコから波紋状に何らかの権能が出ているのを観じる…。現在で言うソナーとレーダーの複合捜査と思われる。全方面へ光子力を波動と化して放出しその差異を観じ性質を読み取り、同時に上空より目的の性質を宿す存在の位置情報を捜査している様である。
「…上質の羊脂のタㇰ二つ…特別上質な羊脂白のタㇰ玉…黒のタㇰ一つ…もう一つ必要な羊脂のタㇰは…ゼストさんの見つけたのが良いみたい…!」
「え! ゼストさん見つけたの? すごいじゃな~い♪」
アビヒコの探知結果を聞いて驚いてミチヒメが言う。
「一つだけですが見つけたですー♪」
ゼストはそう応えながら衣から取り出してミチヒメにみせた。
「わぁ…ピリカ~…♪ これがソィヤさんのケゥエの一部になるのね…!」
「そーなんですね! それならピリカなタㇰが見つかってよかったですー♪」
「…これで必要なタㇰはそろったね。じゃぁいったん戻ろうか」
「了解!」
全員全力で戻っていった。
「チャッチャ~! 見つかりましたよ~♪」
「ないだってわかっちゃいっけどなんまら迅いべや!」
純陀は驚いてそう言いながら出迎えた。
「まんずこれでのど潤すといいべさ♪」
そう言って全員分飲み物を持ってきた。|ローマングラスで出来たカリクス《古代杯》は…心なしか濡れている様にも観える…?
「…! つ、冷たぁ~い♪ ケラ=ア~ン~♪ チャチャど~してこんなに冷たいの? あとコレすっごくケラ=アン♪」
「ワッカとレラとモシリのトゥムさ籠めたタㇰのチカラでナㇺテしてるさ♪ モシリのチカラ籠った二重の箱さワッカ廻らさってレラ当たさると…熱さ外に出て箱ん中タスコルアンになるべさ♪」
純陀の言から推測するに…箱に籠められた地の氣力により内部の熱を二重構造の間に循環させている水へ移し箱全体と外部に露出させた部分を風の氣力により冷やしているらしい。水冷冷却と熱交換性冷却と気化熱冷却を同時に行っているモノと思われる。
「…とうさんとは真逆のやり方…このモシリのチカラを最大限に遣いこなすカンジですね!」
心底感心してアビヒコがそう応えた。
「んだべさ♪ 理さ逆らわず…よげーな事さしなぐってもなぁんでも出来るべさ♪」
「…ほんとう、その通りですよね。…なぜとうさんはトゥムやヌプルを遣わないことにこだわるんだろう…?」
「そりゃ…みんなが遣える訳じゃないからだべさ♪ おめ達にゃ~ピンとこねぇかもしんねが、このモシリさ暮らしてる殆どのモノがエィキ・クルじゃないしょや。したから誰でも出来るを…ルースさんは目指してるんでないかい?」
「あ、成る程ですね…! みんなに平等に…ピリカを…。パセ=コル=モシリへの発明もまさにそうでしたよね♪」
ヤチホコも納得したようにそう応える。
「…わしゃ…遣えん奴らにゃぁそこまでしなぐっても良いんでないかい? って思うけんどなぁ…」
「…そーなの? 純陀エカシにしては…意外だわ…!」
「まぁ頼まれたり困っでるとごさ目の当たりにしちまったらほっとく事出来ねぇしょや?」
「チャチャってやっぱりそ~ゆ~緋徒よね~♪ でも確かにど~してエィキ・クルな緋徒とそうでないウタラがいるのかなぁ…?」
「…ヤィコ=トゥィマの業…そう思うわ…。でも…もし…前にカムイやエィキ・クルだったモノがウタラとなる程の業って…一体どんな事なのか…気になるわ!」
「まんずろくたらもんでねぇってこたぁ間違いないしょ」
「…それじゃぁ…ほとんどのウタラが…そんな大変な事をしてしまっているのでしょうか…? 僕なんて…アレが本当でしたらヤィコ=トゥィマでモシリを酷い目に遭わせウェンルイ=モシリ=ヤㇲケ=シルトゥの原因となった…張本人らしいですよ?」
「ほんとかい? そりゃわやだべや…。したけど…なんまらひっどい事でも…ヤチホコちゃん、自分で決めて…したい事さ…したんだべ?」
「あ、はい…。あの中の僕は…楽しそうに…今の僕にはとても出来ない事を自らの手で行っていました…!」
「だからだと思うべさ。一番良くねぇのは…悪さすっことじゃないっしょ…!」
「悪事を働くことじゃない…?」
「…まぁ今は忘れちまって良いべさ♪」
純陀の不思議な意見にヲモヒ廻らせる処はあれど本題に入る事にした。
「あ、そうそう、それで見つけてきたタㇰたちはどんなモノでしょうかね…?」
「ま~ほとんどアビヒコが見つけてくれたんだけどね~。でも一つはゼストさんが見つけたのよ♪」
「あ、それはすごいですね! 色々な事が出来て間もない状態ですのに」
「そーなんですかねー? 必要な内の一つしか探知できませんでしたよー…」
「仕方ないよ。外だけでなく、中も観れる眼じゃないととても見つけられないモノばかりだったからね。むしろひとつでも見つけられた事がすごいよ」
「タㇰと惹かれ合ったコトと…運ね…! アンタきっと運が良いと思うわ…!」
「…そーかもしれないです…。あのモシリから出てきて…ここまでこれたのもきっと僕、運が良いんでしょうねー♪」
「…おごらず…受け入れ…あきらめず…努力して…上を目指す…何が足りなくてカムイになれないか…わからないわ…!」
「このでっかいあんちゃんカムイでないのかい? てっきりもう成らさってるかと思ったさ。ないだってなまらでっかいトゥムさ秘めてるしょや!」
「そーなの! どーしてかしら? ホント…ナゾだわ…!」
「…九千八度で一回足りないからですかね…?」
「九千…あんちゃんあっこから来たのかい!」
「ハイ。最後の一回の前にソィヤさんと出逢い…カムイエウンケゥエのチカラを頂いたんですー」
ゼストは自分がどの様な道筋をたどり今に至るか説明した…。
「…みんなの為さ…輪を廻ろうとしてても願ってかい…そりゃ確かにカムイのイレンカしょ…上がってもな~んもおかしく無いべや」
「でしょでしょ~? わたしたちみたいに何か…特別な理由があるのかな…?」
「どら…ちっとこっちさ向いてわしゃの眼さ観てみぃ?」
ゼストは言われた通り純陀の眼を真っすぐ見つめた…。
「…。…。…! ふ~むないだってこりゃムリなワケだべさ! このあんちゃん…シンノ=レンカイネ…ないべさ…!」
「…? なんです? その…シンノ…レンカイネ…って…?」
(…純陀さま…それ以上は…ゼストさんが…)
たまりかねてソィヤが話に割り込んできた。
「…ソィヤさん…アンタ知ってたんかい?」
(…はい…。ゼストさんにカムイエウンケゥエとなるチカラを授けようとした刻に…。彼のモシリではヌプルを技として使いこなすモノは存在しなく問題ありませんでしたので…)
「したから自力でヌプルさ遣えなかったんかい…」
(その通りです…ワタシが…ゼストさんのラマトゥと重なり合う事で…ワタシのシンノ=レンカイネから出ずるヌプルを遣いトゥムと合わせウカムレ=エトゥッカさせておりました…)
「…ソィヤさんアンタそれでいてなしてケゥエさ手に入れようとするんかい?」
(…それは…ワタシがケゥエを得たら…ミチヒメさん方の状態になれると思ったからですが…?)
「あ~! このちんちくりんたちとミチヒメのか! こいつぁ…ミチヒメにはヌプルさ受け取る器あったからだべさ…。ゼストさんはトゥムさ受け取れてもヌプルさ受け取れないしょ? したってシンノ=レンカイネないべさ…」
(…そ、そんな…ワタシはケゥエがないと自力でヌプルをきちんとエトゥッカできないのに…ケゥエを得たら今度はヌプルをゼストさんに渡す術がなくなるなんて…)
「…。…。…! アビヒコ、ちょいと見つけてきたタㇰさ見せてみれ?」
「あ、はい、これで全部だよ」
ゼストが見つけた羊脂白玉が一つ…羊脂玉が二つ…大きめの羊脂白玉が一つ…黒玉い一つ…。今回はソィヤの身体の為と限定していた為、余りそうなのはゼスト・リウスが見つけた羊脂白玉だけである。
「ふぅむ…この透き通り方…ゼストさんはカムイエウンケゥエ…チカラがエウンした状態になれるしょ…ゼストさん、ソィヤさん、こいつぁ一つ賭けみたいなもんだけんどもやってみるかい?」
「どうするですー?」
「…今問題なのは…シンノ=レンカイネ…ヌプルさ生み出したり蓄えたり受け取る…そのチカラさない事っしょ? したっけ…ソィヤさんのシンノ=レンカイネを共有しちゃえば良いんでないかい? その為にこのタㇰさ二つに分けてケゥエさ入らさんねとなんねぇけども…それでいいべか?」
「それでできるなら問題ないですー!」
(ワタシもよろしくお願いします…ゼストさんのお役に立てるなら何でも致します…!)
「まぁソィヤさんはこれからケゥエさ造っからなんもないしょ、したけどゼストさんは…カムイエウンケゥエに成ってる間にケゥエさ埋め込まさって戻ってもらうしょ? したっけなぁに起こっか想像さつかないべさ…!」
「…楽してチカラを得ようとは思ってないです…! 大変でも頑張るですー!」
「わがった! したら…はじめるべさ! まんず…ソィヤさんのケゥエさ造っていくべ! …頼めるのは…ミチヒメとキクリちゃんか…キクリちゃんはこっちさの大きめのタㇰに…ミチヒメはゼストさんが見つけたタㇰさアリキキノでトゥム籠めてけれ!」
「チャチャ…わたし、この子たちの属性を帯びたトゥムしか出せないけどだいじょ~ぶ?」
「…確か属性なしのトゥムじゃないとダメだったわ…!」
「前回のヒメちゃんやミヅチちゃん刻は…本人の属性さ決まってたしょ? したからそ~してもらったさ。ゼストさんはどれでもねぇからどの属性でも問題ないべさ。キクリちゃんの方は…ソィヤさんの属性に関わさるけど、問題ないしょ! この二人の目的は…カムイエウンケゥエ遣いこなしヌプルさがっつり出してウカムレ=エトゥッカさせてメル=ストゥ=マゥェ自在に揮えるようになることだべさ。足しになっても枷になるこたぁないっしょや♪」
「…わかったわ! アリキキノのモシリのトゥム…注ぐわ…! やっ!」
キクリは己の権能を神威之力まで高め属性を付与したまま注ぎ込んだ!
「さぁっすがぁ~♪ よぉっし! じゃ~わたしたちも…みんな、全力でい…んぐぐ」
「…全力でしたらお外でなってきたほうが良いと思いますよ♪」
(…やるぅ…♪ チカラ開放もしないでわたしの先を取るなんて…♪)
そう思ってミチヒメは口を塞いでいるヤチホコの手を舌先でくすぐると、驚いて手が離れた隙に抜け出した。
「わたしを止められたごほ~びよ♪ じゃあ外で全開で籠めてくるね!」
そう言って外に出たミチヒメは四獣から霊力をもらい輝く根源のチカラを発動した。
「…あの状態までなって籠めた方が…良いのかなぁ?」
「籠めるチカラは強いほ~が良いに決まってるトラ!」
「全能力封入即吉也」
「我らも加勢する故…」
「アリキキノで籠めて差し上げましょう♪」
「うん! じゃぁ…みんな…全力…いっけぇ~!」
その掛け声と共に爆風が起こり例の純白の衣を纏った状態に。
「…全員限界までアリキキノで…! はぁぁっ!」
ミチヒメと四獣たちは互いに全力を振り絞り光子力としてゼストの見つけし羊脂白玉へ注ぎ込んだ。しばらくすると…玉はまるで生きているかの如く鳴動し始めた…!
「…頃合いだべ! ミチヒメちょっち借りるさ!」
純陀は脈打つ玉を受け取って何かをしている。観ると中央付近にくびれが生じ二つに分かれ始めた。
「大きいのがゼストさん…こっちのちゃんこいのが…ソィヤさん」
そう言いながら純陀は飴細工のように玉を引き延ばしてねじりながら二つに裂いた。裂かれた玉達はそれぞれに鳴動を続けていた。
「…これさキクリちゃんがチカラ籠めてくれたタㇰさに…これで良いべさ…して…黒玉も…」
材料となる玉達をキクリが権能籠めた玉へと次々に入れ込んでいく。不思議な事に溶ける様に吸い込まれる様に入っていく…。しかし外観は大きな変化はなく少しいびつな大きめな玉であった…。
「…よしよし…い~い塩梅さ並ばさったべさ…! ソィヤさん…今だべさ! 玉さ入ろうとしてみれ~!」
(ハ、ハイ! 試してみます…!)
純陀にそう言われたソィヤは慌てて少しいびつで大きい玉へと入ろうと試みた。手を触れた瞬間吸い込まれるようにソィヤは入っていった。
「…良いカンジだべさ…そこさで自分のケゥエさ強く思い描いて観るべさ!」
言われた通り自分の姿を心に強く描いて念じてみた。
「トケテマジワリゲンゼニアラワレ!」
純陀が呪を唱えるとソィヤを内包した玉が大きく動き出した! 激しく波打った後ゆっくりと拍動をし始め…しばらくすると光を放ちながら再び大きく波打って四肢が伸び体幹が形成されそこから頭部がせり上がってきた。胸郭中央やや左側…我々の心臓に該当する部位が強く輝いた瞬間、幽体時と変わらぬ姿で実体化したソィヤが顕れた。
「…こ、これは…ワタシ…ケゥエ…フミ…あ、あります…!」
その状態に戸惑い驚きながらソィヤは言った。
「んまぐいったさ~♪ したらソィヤさん…さっそくで悪ぃけんど…ゼストさんさカムイエウンケゥエにしてもらって良いかい?」
「…あ…ハ、ハイ、承知いたしました…! ゼストさん…準備はよろしいでしょうか?」
「…××××さん…ソ…ィヤ…さん…♪ ボ、ボクの…」
「ハイ♪ アナタの…××××…ソィヤでございますわゼッ…ゼストさん♪」
「よ、よかったですー♪ ほんとうに良かったですー! じゃぁ行きましょー!」
「ハイ! エウンですわ! カムイエウンケゥエ…エトゥッカぁ!」
そう叫んで軽やかに舞い上がったソィヤはゼストの背後に回り込み抱きすくめて融合を試みる…。
「…エトゥッカは出来ますが…やはりゼストさんにヌプルを注ぎ込めません…!」
「…そんまま続けてみれ…よぉしよぉしそ~んまんま…頼むべさ…!」
純陀は慎重に二人へ歩み寄っていく…手には先程二つに裂いた片割れの大きい方の玉があった。近づくにつれて玉は強く鳴動していく。
「…思った通り…ソィヤさんとつながったまんまだべさ…こんで…こんまんま…ゼストさん…ちょっちラクにしてガマンしてて欲しいさ!」
「わかったですー! …。…。大丈夫です…!」
ゼストは出来得る限り気持ちを鎮め脱力した…。
「よし…行ぐべさ…! カサナリアイテネヲハリタマエ!」
純陀は呪を唱えゼスト・リウスの胸部中央へ玉を押し当てた。
「うぐ…! は、入って…くるです…!」
「ああ…少し痛いかも知んねぇけど…けっぱれや…後できっともってなんまらあずましくなるべさ…んまぐ行けば…!」
光の粒子と化した玉は同様に実体化した権能の塊ともいえる神威之色身体となったゼストの身体と溶ける様に重なり合っていく…。
「んぐ、ぐぐ…! ま、まだ奥に入って…くる…です…!」
「…よぉっし…ストゥさはりだしたべさ…もちっと…!」
純陀のその言の葉の通り幾重にも伸びた細いモノがゼストの全身を侵食し網羅していく。
(しかしなんでしょーこれは…? 全身を侵されていくほどフミが…鋭くなっていく気がするです…!)
「…今だべ! 元さ戻ってみれ!」
純陀の掛け声で神威之色身体を解いた。
「…ふうー…。なかなかキツかったですー…!」
「よぉぐ耐えたっしょ! して…どうだべ? ヌプルさ…? ちょっと試してみれ?」
純陀にそう言われてゼストは観の眼を開いてみた。
「あ…! ソィヤさん今お手伝いしていないですー?」
「ええ、今は何もしておりません…観えるのですか?」
ミケヒコの刻にも述べたが…この世界のあらゆる事象に精霊神が関わり働きかけ作用しており…観えるモノにしてみれば正に“八百万”と言うべき数のナニカが忙しそうに働くさまが観えるのである。
「…みなさんこんなに頑張っていたんですね…!」
「…元々出来ていた事は遣わさるべか…その状態で…自力でメル=ストゥ=マゥェ…出せるべか?」
「まんずトゥムさ鎮め…ヌプルにイレンカ集中して…流れさ観えた処でトゥム解放してウカムレすっと良いべさ…!」
ゼストが言われた通りにしてみると…無理なく自然に輝く根源のチカラが発動した。
「こ、これは…! す、すごいです…この上でカムイエウンケゥエになれれば…あの刻のヒメさんにチカラを頂いた刻と同じ状態に…僕たちだけで…!」
「なれる…べさ♪ んまぐいったっしょや♪」
「チャチャ…ホント…すっご~い♪」
「あ、うまくいきましたかね…あ、すごいです! ゼストさんメル=ストゥ=マゥェまで…! しかし一体どうやっているのでしょうかね?」
「カンタンに言うと…シンノ=レンカイネさ造って埋め込んでみたべさ♪」
「べさ♪ って…ちょっと今すっごくカンタンにモノ凄く困難な事を言ったわ! それって…因果を超えるチカラなはずだわ!」
「さっすがキクリちゃん♪ カムイなだけあるべさ♪ その通りだべ…こいつぁフツーにゃ出来るわきゃない事なんだべさ。したけんどもゼストさんは…カムイエウンケゥエ…いんや正確にゃアスカンネ=ケゥエだべさ…境涯さ足りねっから…したけどソィヤさんにゃぁ境涯によらず強制的にカムイエウンケゥエ覚醒さささるチカラあっからカムイエウンケゥエとなるしょ? そうなったゼストさんのヌプルの受け皿さなれる玉さ埋め込まさってソィヤさんと繋がらさったら…ソィヤさんのチカラで強制的に…トゥムとヌプルさウカムレ=エトゥッカした刻…メル=ストゥ=マゥェ超えてカムイ=マェさ出ささるんでないべか…っつう…まぁどうなっかまったぐわがんねぇ賭けだったべや」
「アタシたちが持ってきた材料からあの刻の一瞬で閃いて…こんなコト実践しちゃう辺り…ホント大したモノだわ!」
「まんず良い~タㇰさ持って来てくれたっしょ、してなんまらアスカンネなチカラさ二人して入れてくれたから…しょや♪」
「本当にありがとうございます~!」
ミチヒメよりも迅く純陀に抱きついたのは…ソィヤであった。
「なぁんもさぁ~♪ う~んソィヤさん…やっぱ生身はいい塩梅だべさ♪」
そう言いながら純陀は抱きついてきたソィヤの全身をまさぐった。
「ひゃぁ! ああ! ケゥエがあるとこんなにもハッキリとフミがあるのですね!」
「…バッチシラマトゥとつながってるしょや♪ こっちも大成功だべさ♪ 触り心地もバッチシだべさ~♡」
「…あ…チ、純陀さまその辺りでご容赦を…♡」
「ボ、ボクの××××さんになにするですー!」
純陀の追撃の手が鷲摑みに出来たのは…何もない宙であった…。
「…かなりの迅さだわ…イマの!」
キクリが感心してそう言の葉をもらした。いい加減純陀を窘めようとしていたミチヒメも続ける。
「ホント~! わたしも先超されちゃったよね今! ゼストさんすごぉい♪」
「あ! 今の迅さはなんかあのコラㇺ・ヌカㇻの刻のケゥエ=エイキの様でしたね!」
「ヤチホコさんその通りですわ…♪ 今のゼストさんは…ワタシがケゥエを解放しなくても…以前の全力並にチカラを行使可能となりましたわ…!」
「…あとは一つ欠点と言うべか…心配さあってな…この…ボーディ=サットヴァ=マニィ…とでも呼ぶべか…が、いつまで…どんだけもつか…それさまったぐわがんねぇべさ…! ゼストさんのケゥエのチカラで…カムイエウンケゥエの一部さなったと思っけど…な~んかあったらこごさすぅぐ来ると良いしょや!」
「…ボーディ=サットヴァ…マニィ…悟性を求めるモノの…宝珠…まさに…今のアンタにぴったりだわ…!」
「そうか…そうですよねー! シンノ=レンカイネと…カムイへの…悟りのクスルを求める僕に…なるほどですー!」
「しっかり頑張ると良いわ…♪ きっとうまくいくわ♪」
「ありがとですー! これで安心してウガヤさんの処へ行けるですー!」
「あ…も、もしかして…もうウガヤ兄の後を追いかけなくても良いのではないでしょうかね?」
「そ~よね~今のままでメル=ストゥ=マゥェ遣えるってことは…きちんとカムイエウンケゥエに成れるよ~にチカラ遣いこなせれば自然とカムイになれるってことじゃないのかな~?」
「ミチヒメの言うとおりしょや。ゼストさん…なしてウガヤさんの後さ追っかけるのさ?」
「それはですねー、緋徒のまんまカムイを目指していると言うお話聞いて…何となくそこに惹かれて気になったですー!」
「なるほどですね! ウガヤ兄もあれでヌプルさえ遣えれば完全にカムイですからね…! 逢いに行くだけでもまた何か得るモノがあるかもしれませんよね♪」
「ヤチホコさん僕もそう思うんですー♪ …今はどちらにいるですー?」
「ウガヤさんかい? ウガヤさんは…こごからさらにエチュㇷ゚ポㇰのインペリウム=ローマと言うモシリで…同じく緋徒からカムイになられたヘーラ=クレイスさまのもとで修行さしてるはずだべさ」
「ローマですね! わかりましたー行ってくるですー!」
「…間にあるパルティアさ…今は通れねぇべ…」
「そーなんですか?」
「んだ…今…三つさ分がれて内戦さしてて…とでもアヌンさ入らさること出来ないべや…」
「それもあって…前はローマとパルティアの間のロルンぺの仲を取り持って…オオトシさまやミケヒコくん…ローマのエチュㇷ゚ポㇰにあるウフイ=ヌプリ、モンジベッロに住まう|シ・アペヌイ=ルーガル《大焔統べる王》さまの処へ契約に行けたんだよね~。あの後すぐパルティアの中でロルンぺが始まっちゃったんだよね…」
「んだ。したからウガヤさんさこごの瞬時に旅する門からローマさ跳んでったしょや」
「そ~だったよね~」
「…その…瞬時に旅する門を遣えれば…ローマへ行けるですか…?」
「うん。あ、でもでも…一回はガンダーラのタクシャシラーにあるウパスクマ=エ=テメン=アンキの門をくぐってたどり着けないと遣えないんだけど…じゃ~ん♪ わたしたちくぐったことあるモノと一緒なら行けますよ~♪」
「…ソィヤさんと僕、すぐにローマに送ってもらっても良いですかー?」
「…うん、良いですよ♪ …早く追いかけたいんだよね…?」
「ハイ! まったくわかりませんが…モノすごく…ですー!」
「じゃぁ送ってくね! あそうだ、念の為ヤチホコくんも一緒に来てもらっても良いかな~?」
「あ、は、はいもちろんです♪ ローマと言うモシリも観てみたいですからね♪」
「あとねわたし…あの刻の五つの属性じゃなかったし…ね」
「じゃぁ…アタシは慣れないチカラで動けなくなった二人を…観ておくわ♪」
「マニィもふたりの看病お手伝いしておくわん♡」
「…トゥサレの手伝いならアンナも可能かと思われます…」
「ごめん、じゃぁアビヒコたちの事よろしくね! じゃぁゼストさん、ソィヤさん…行きましょ!」
ミチヒメとヤチホコは純陀の店を後にしてゼストとソィヤと共に森の奥の瞬時に旅する門へと向かっていった。
「…う、うごけたらゼッタイいっしょに行ったのに…!」
無念そうにアビヒコはそう言の葉を漏らした。
「ミ、ミヅチはぜんぜんうごけないからきぃちゃんたちとまつにさんせい…」
元に戻っているが全く動けないミヅチもそう応えた。
「…ふたりとも…はやく回復させる為に…ビビ・ファティマカムイワッカへ行くわよ…!」
「え? ヤレパチプ…キクリちゃんだけで動かすの?」
「…どうってことないわ♪ これでもカムイだわ…!」
そう言うとキクリは二人を氣力で浮かせて運び始めた。
「純陀エカシも…たまには休むと良いわ♪」
目くばせしながら微笑んでキクリはそう言った。
「不思議な事にわしゃゼンッゼン疲れないさ…だどもせっかくだし一緒に行くべさ♪」
「そーこなくっちゃ♪ …お背中流してあげるわ♪」
「そいつぁ楽しみだべ~♪ なして急に…?」
「急? 今までずっとアタシたちお世話になりっぱなしだし…純陀エカシにはお礼をしなきゃってずっとイレンカ抱いていたわ。 今のアタシと一緒にカムイワッカなら少しはお礼になると思ったのよ…♪」
「きっともってその通りだべさ♪ なんまらステキなお礼しょや~♪」
純陀は嬉しそうに笑みを浮かべて親指を立てた。
「あは♪ それと…頑張ったノカン=クルたちにも…ね♡」
「わ~いオスス~♪ でもうごけないよ~?」
「ぼくはその姿で何されてもね…」
「没問題♪ ミヅチはアタシがトゥルサクにしてあげるわ♪ アビヒコも…ラムシリネすると良いわ。アンタの刻は…アッチの姿でしてあげるわ♡」
キクリはそう言って笑みを浮かべてミヅチの頭を撫でた後、アビヒコに近づいて唇を頬に押し当てた。
「ありがと~きぃちゃん♪」
「あ、そ、その…ありがとぅ…♪」
(…ミチヒメがいなくって…ちょっと良かったかも…♪)
アビヒコはそうヲモヒ廻らせ、気付かぬ内に表情が綻んでしまった様である…。
「…真っすぐなイレンカ…とても良いわ♪ じゃ…行きましょ♪」
キクリ達は大型万能船でビビ・ファティマの温泉へと向かっていった。
(…色々好きでしたんだけんども…してみるもんだべさ~♪)
柄にもなく純陀まで浮かれている様であった…。
純陀チュンダのチカラ、とんでもないですね…!
用語説明ですm(__)m
・カリクス:古代ローマ語(ラテン語)で杯の事。この頃からローマではガラスの加工法がかなり発展し大量生産された。
※純陀はかなり訛っていて北海道弁、たま~に一部東北弁を使うので少し解説します。
※清音(゛がつかない:か)が濁音(゛がつく:が)になる部分は…
東北弁、そして方言の強い「浜言葉」と言われる北海道弁にもみられると思います。
・ないだって:あら、あれま、なんだって、何をしたのか、(おそらく)東北弁。
・まんず:まず。東北弁。
・んまぐ:うまく、上手に。東北弁(一部浜言葉でもあるかもです)
・あっこ:あそこ、恐らくどちらでも使用。
・んだべさ:んだ→「そうです」:東北弁+べさ→「だよ」:北海道弁。…純陀弁…?
・きっともって:きっと+思って→「おそらく、必ず」の意味。北海道弁。
・なまら、なんまら:とても、モノ凄く。 北海道弁。(語源は恐らく四国)
・あずましい:心地よい、居心地が良い、落ち着く。「心も体も良いカンジ♪」 のこと。北海道弁。
・したっけ:それなら、それならば。
・したから:だから
・~べ、べさ、べや:~だろう、でしょう、です
~かい:~なの、~なのか、~なのね、疑問文でも肯定文でも使います。
~すれ、みれ、けれ(~けろ は東北弁):~しろ! と聞こえますが、
ニュアンス的には…「~してみて?」「~してちょうだい」の認識で良いかと思います。
・わや:めちゃくちゃ、タイヘン、ヤバい などの意味。(語源は中国地方:長州弁など)
~さ:~を、もしくはつなぎの音として(「あんたがたどこさ肥後さ」と同義)。
語尾の場合は、~よ、~だよ、~なんだ、など、共通語に置き換えて理解していいと思います。
・けっぱれ:がんばれ
・~しょ、しょや:~でしょう、~ですよね?
・~さる:意図せず(本人の)意思にかかわらず そうなってしまう、しまったコト。
意図せず「する」を「される」。→「入る」を「される」→「入らさる」など。受動態の意味も少し。
・がっつり:思いっきり、しっかり、めちゃめちゃ、など。なのでアリキキノで「なんまらがっつり」
・なんも、なんもさ:どういたしまして、問題ない、大丈夫。
→英語の「you're welcome.」中国(北京)語の「没問題」。
・なして:どうして 恐らく東北、北海道どちらでも使用。
・ボーディ=サットヴァ=マニィ:菩提薩埵(悟りを求め衆生を救うモノ=菩薩)+玉、宝珠 より。サンスクリット語。




