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程よい世界観で悪役系追放主人公のハーレムチートでザマァからの建国ライフ

作者: 中之村楼

6000文字くらいで読了12分くらいです。

是非一読ください。

■追放そして婚約破棄


「今日を持って貴様をこの『白銀の獅子』から追放する!!」


「役立たずのくせしてでかい面して威張り散らすからこうなるんだよ」


「ほんとよ。こんなヤツが王侯貴族の娘である私の婚約者だなんて……もちろん婚約も破棄よ!!」


「心配しなくてもキミの元婚約者は僕の手で幸せにするさ。ほら、さっさと武具や手持ちの金を全ておいて出て行け」



 罪状が威張り散らすってだけで追放したり婚約破棄したり身ぐるみ剥いで放り出すって罪と罰がバランスがおかしいと思いまーす。異世界ってレベルじゃないと思いまーす。




■仲間との出会い


―ズササササー


「嫌だわ奥様、あんな汚い格好でこの王都にいるだなんて」


「私たちの視界に入るのやめてもらいたいですわ。どうせそのうち家畜の餌になるんでしょうけど」


 下着しか身につけていない人間が放り出されて転がってるのを見てその感想はちょっとどうかと思うよ。民度低くない?この王都。あと落伍者の行き着く先が闇深すぎる。そんな家畜は食べたくない。



「やっと見つけました!!……ご無事で良かったですわ。大変だったでしょう、ひとまず大聖堂の方へお越しくださいませ。大丈夫、独立教会『マリアキャンベル』の大司教の権限をもつ私がいる限り主様の安全は保証されますわ」


 修道服を身にまとった巨乳シスターが何か言ってる。発言からして権力を私物化するストーカーとしか思えない。


「あー!!抜け駆けすんな!!コイツは幼なじみのあたいが面倒みんだからな」


 Tシャツ短パンにナイフを装備した如何にもな冒険者風の女が腕に絡みついてくる。パーソナルゾーンというのを教えてやりたい。


「じゃじゃーん!!次元の隙間からこんにちわー。貴方を召喚した女神でーす。ごめんねーこんなトコに喚んじゃって。でも大丈夫!!今後は私がバックアップしまーす」


 言うならば暴行を加えた加害者が治療もする感じか。許せるはずがないよな。あと何で俺の股間から喋るの。「キャー座標間違えちゃった!!ヤダー」じゃねぇんだよ。




「ほら、こんなヤツら無視して早くダンジョン行くよ。何するにしてもお金は必要なんだし」


 自称幼なじみはそういって俺の手を引いて走り出す。


「ダンジョンまで徒歩で行くとか正気ですか?お任せくださませ。私の権限で快適な旅路を保証しますわ」


 シスターが手を振ると馬二頭にひかれた馬車がやってくる。明らかにどこぞの偉いさんを乗せて走るやつで目立つことこの上無い。そしてそこまで万能ならまず服をくれ。


「うふふ、そんなことしなくても私なら一瞬で連れてってあげる!!」


 女神は俺の股間から指を鳴らす。ぐにょんという感覚と共に目の前の景色が変わり、岩肌に囲まれた洞窟へと移動した。




■囚神との出会い


―グギャァァァァ!!!


「こ、ここは!!封印されし『業焔竜ライトニングドラゴン』の祠ですわ!!」


「なんでそんなとこにアタイたちが!!」


「きゃーまた座標間違えちゃったー!!」


 安定の駄女神であるが、それよりも属性が焔なのか雷なのかはっきりさせないところに狡猾さが窺える。


「我の眠りを妨げる愚か者は誰だ!!食いちぎってくれよう!!」


 大層な二つ名や名前を持ちつつ脅し文句に属性を示す言葉は入れないあたり、かなりの頭の良さが窺える。


「グルルルル……うん?其方もしかして囚神の鍵守では無いか?ちょうど良い。我の鍵を開けるがよい。対価として従僕してやろう」


「囚神の鍵守とはこの世界に収監された神々を救う伝説の能力と古い文献に書かれておりましたわ」


「囚神って昔この世界を統治していた108の神様のこと?あたいのひいおばあちゃんが言ってたよ」


「元々は誰にも認識されないけどパーティーメンバーに当社比3倍のバフを与える能力だったかなー?私の介入でちょっと変わっちゃったみたいね」


 能力の変質具合がセミの幼虫から成虫レベルで意味不明なんですけど。あと元々の能力って前世でどんな罪を犯せばそんなへばりついたガムみたいな能力になるの?


「グハハハ、面白いヤツよの。其方、いや主か。これからよろしくである。さ、他の囚神を解放しにいこうではないか」


 頭の良い人は心に棚をいっぱい持ってるって言ってたが本当なんだな。




■ツンデレと痴女


「ここが天蒼翼マリンバードが収監されている城ね」


 空と海どっちも統べると考えるとめっちゃ強いな。


「グハハハ、我の盟友であり喧嘩相手よ。その昔我らが自由だった頃はよくじゃれ合って地形の3つ4つ変えたもんよ」


「神クラスともなるとスケールが違いますわね。そんな方が味方だと心強いですわ」


 友人と地形変形させる喧嘩のどこに安心要素があるんだ。だから封印されたんだろ。


「それにしてもライト様って人間の姿になれるのねー。あっ、女神の恩恵でも姿変えられるけどやる?女の子限定だけど」


 TSが全男の夢と思うなよ。それはそうと効果時間とかそういう具体的な話しをもうちょっと聞きたい。


「人間姿のライト様正直かっこいいかなって……誤解しないでよ。アタイが一番かっこいいと思ってんのはアンタなんだからって何いわせんのバカー!!」


 ツンとデレの境界がぐずぐずだなぁ……


「あらあら、田舎のまな板お猿さんは素直じゃありませんわね。その点、私は常に主様のご尊顔をかっこいいと思っておりますわ。その証拠にこの胸はいつも高鳴っておりますわよ?さぁ、触って確かめてくださいませ」


「だれがまな板だこの痴女!!やめろコイツを誘惑すんな!!」


 差し出されたお胸様を触る寸前で幼なじみが割って入る。


「主よ、お預けを食らった犬みたいな顔をしておるぞ。触ってみたかったのか?」


 ……ノーコメントで。




■元パーティーメンバーと婚約者


―ガキンッ、ドガッ、ズシャァ


「くっ、我ら白銀の獅子がこんな低階層で苦境に陥るとは」


「リーダー!!回復職がやられました!!撤退しましょう!!」


「ウォォォ!!婚約者がやられて逃げられるか!!俺が仇をとる!!」


 いや逃げろよ。あと仇って言う割に数多いからどれが仇か分からんくない?


「まさか低レベルなゴブリンの群れに苦戦する程弱体化しているとはですね。情けないですわ」


「あらー元々能力値3倍があってのことだったから妥当なところじゃないの」


「コイツの力にあぐらかいてたわけだからしょうがないよ。装備だけはベテランクラスでも実力が伴って無い典型だね」


「我のあくび一つで吹っ飛びそうな連中だな。主もこんなクズと縁がきれてよかったではないか」


 全員辛辣だなオイ。当事者といえどそれを聞いて「そうだな」と言えるわけないだろ。あっ、全滅しそう。


「全く……アタイはどうでもいいんだけどアンタがそんな顔するなら助けてあげるわよ」


「ふふ、ほんと主様は慈悲のお心が深いですね。世間ではお人好しが過ぎるとも言われかねませんが……私はそんなところが好きですわ」


「我の強さを示す良い機会であるか。どれ、あくびとは言わず久しぶりに全力の1割程度の力を見せてやろう」


「私はここで見守ってるわー」


 どんな顔すりゃ良いのと思ったが、駄女神が俺の顔面に被さるように出現しているので特に問題は無かった。




「くそ!!お前なんかに助けられるとは……そうだ、その仲間達のおかげなんだろ!!お前が抜けたせいでこんなことになったんだ!!今までの迷惑料としてその仲間を俺によこせ!!そうしたら許してやる!!」


「ねぇ分かるでしょ?私も脅されていたの……もちろん婚約破棄なんて嘘よ。貴方にもっと強くなって欲しくてあえて、ね?私の予想通り貴方は十分強くなったわ。さ、早く私をこんなクズパーティーから連れ出してちょうだい。そして結婚しましょう」


 ガンぎまりのシャブやってないとこの発想は出てこないと思うんだ。そう思うと優しくしてあげようって気持ちになるよね。


「ぶぇっくしゅ!!あっ……」


 今にも首を切ろうとしていた幼なじみが飛び出す前にライトさんがくしゃみして、銀翼の何とやら全員壁に打ちつけられて赤いシミになった。




■勇者の存在とは


「助けてくれてありがとう。でもいいのかい?僕がこの勇者の証である『トーゥテ・モーツ・ヨイソード』を受け取っても」


 立ち寄った聖域の祠で死にかけていた爽やかイケメンさんは笑顔でそう答えた。


「今の王家は完全に腐敗しておりますわ。私、大司教が今を持って王家を悪と見なし、勇者にその討伐を命じます。これは教会の総意と捉えて問題ありませんわ」


 でた職権乱用。だれだよコイツを大司教にしたの。


「ギルド特級職であるアタイも口添えするよ。ぶっちゃけ今のギルドは王家が嫌いだからね。敵対しても問題無いよ」


 おま、駆け出し冒険者的な立ち位置じゃなかったの?


「どうしてもって言うなら女神の神託もつけちゃっても構わないわよー」


 むしろ積極的に介入していく方が女神としての尊厳的なアレがあがると思うぞ。


「ありがとう、心強いよ。任せてくれ、きっと今の王家を打ち破って新しい体制を作ることを約束する。その代わり禁忌の理は任せたよ。僕じゃ無理だけどこれだけの実力者に加え、囚神の鍵守であるキミならきっとできるはずだ」


 勇者って存在が雑用係の上、最終的には役立たずなんですって自分で言って気づいているのか?


「禁忌の理は囚神を封印したと言われている存在ですわ。ライト様は詳細をご存じですか?」


「いや我はいつの間にか封印されてそこら辺さっぱりである。だが恐らく翁ならば知っているであろう。よし主よ、次は翁が封印されている祠を目指すぞ」


 仮にも神なのにいつの間にか封印されているってウケる。




■世界の成り立ち


「翁よ。我を含めほとんどの囚神は気がつけば封印されていた。一千年前に何があった?」


「……世の理が正される時がきたんじゃのう。禁忌の理とは元は囚神の一柱よ」


「そうなのですか!!それは教会のどの文献にも無い事実ですわ!!」


「そも囚神とは読んで字のごとく、人を囲いし神を表す。人は神に感謝し供物を捧げ、見返りとして人々に光や水、土壌などの恩恵を施す。そうして人と神が繋がる世界が一千年前にあった」


 あっ、長くなりそうならポップコーンとコーラください。ハイボールでもいいです。


「禁忌の理は共存とも言えるそんな成り立ちに異議を唱え、我らを封印し、恩恵の代わりに文明を与えヤツ一人でこの世界を支配したのじゃ」


 えーと、聞く限りそれって悪く無くない?


「それって女神的には有りだと思うんだけどー。ある程度自立してくれた方が管理も楽だしー」


「そうかのう?自立が過ぎれば結局人同士で支配する側、される側と分かれるのではないか?少なくとも儂らの時代、ヒトが不当に虐げられるようなことはなかったからのう」


 このジジイ、性格が悪いな。


「それに信仰無き今、ヤツはヒトを養分にしとるがそれは良いのかのう?王都が率先して落伍者を供物に捧げる仕組みが出来上がっとるぞ」


 それを先に言えよジジイ!!家畜の餌ってそういう意味かよ!!闇深すぎるわ!!


「ふむ、ヒトがどうなろうと構わんが我を封印したツケは払ってもらわんとな、主よ」




■禁忌の理さん


「世界の中央に座する『マリアキャンベル』総本山の地下深くにこのような巨大な祭壇があるとは思いもしませんでしたわ」


 仮にも大司教なのに、自陣の本営がこんなことになっているの気づかないのヤバくない?多分定期的に物資ヒトとか運ばれてたんじゃないの?ていうか教会と王家グルじゃん。あの勇者さん大丈夫かな。


「そして祭壇の中央にいる黒い目玉のオバケが禁忌の理ってことっしょ。まっ、どんなヤツでもアタイ達の敵じゃないけどね」


 この子一級死亡フラグ建築士の資格でも取得してんのかな?


「あれは実態を持たない概念的な存在ねー。ちょっと一筋縄では行かないかしら」


 流石女神、建てたフラグを速攻折るじゃん。あと分析もお手の物かもしれんが股間から喋るな。


「fuああa亜aa阿阿。ん?塵ga奈んzoノ用ダ。飯ノ時間deは無karoう」


 よく聞き取れない声で痴呆ジジイみたいなこと言ってる。


「何喋ってるかわかんないだよ!!くたばれ!!」


 沸点が低い幼なじみは、短刀を交差させて巨大な斬撃を放つ。黒い目玉は四方に霧散するが、逆再生のように元の目玉に戻る。物理攻撃は完全に効いていない。


「ならこれを差し上げますわ」


 シスターが杖を掲げ呪文を唱えると、黒い目玉の上に何十もの魔方陣が現れ、蒼白い光が幾重にも降り注ぐ。が、先程と同じ光景が繰り返されるだけだった。


「ん?drftgyふじk……これで聞こえるか。久方ぶりの客だ。礼儀がなっていないが、まぁもてなしてやろう」


 黒い目玉を中心に紫がかった帳が展開され、視界は漆黒の闇に満たされる。これはアレだ、固有結界とかいうやつできっとこちらを弱体化しつつ自分は無敵ルールで一方的になぶり殺すやつだ。ただでさえ物理も魔法も効かないのにそんなことするとか、バグ技でレベル100のミュウを出して対戦するより卑怯だ。絶対お前友達いないだろ。


「主よ、108の鍵を解放しろ」


 鍵の束を取り出し、力を込めて放り投げる。ライトさんの真上で鍵がグルグルと周り、まばゆい光と共に純白のドラゴンに変身する。深夜の田舎道にある街灯のようだ。


「塵どもが!!全囚神の封印を解いていたというのか!!1対108とか何を考えている!!この卑怯者が!!」


 どの口がそれを言う?あと封印にはちゃんと安全装置はつけた方がいいよ。


「我を封印した借りは利子付きで返してやろう!!ロイヤ・ルミ・ルク・ティゼーション!!」


 ライトさんは膨大なエネルギーを口から放ち、中央の目玉も周りの闇も吹き飛ばした。




■そして始まる建国ライフ


「禁忌の理は完全に消え去ったみたいねー。おつー」


 あれ、キミ何もしてなくない?もう喋るチンコみたいな位置づけになってない?


「でもこれで終わりじゃ無いですわね。腐敗した教会と王家を正す必要があります。そう、主様を王とした新しい国を造って世界を救うのです!!」


「全く、アタイがいないと何も出来ないんだから無理だけはすんなよ!!」


「建国なんて柄では無いが、主がいるなら楽しそうではあるな。ガーハッハッハ」


 喋るチンコをつけた王様か……悪くないなってアホか!!!




■選択肢の時間です


「―――如何でしたか?人気の転生先である『程よい世界観で悪役系追放主人公のハーレムチートでザマァからの建国ライフ』のダイジェスト版は?」


「最近は転生先でこれじゃないという苦情も多くて、我々としてもこのようにあらすじをお伝えしております。これがまた評判が良くてですね。えぇ。リアルな体験が出来るようリソースを大幅に割いている自慢のシステムです」


「その分転生先のリソースが残っておらず……こちらの転生先以外ですと植物しかありません。えっ?なんで植物かって?……植物ですとクレーム入れられることもないので……さ、次の人生をお選びください」


 水先案内人が一通り説明すると、目の前に半透明のウィンドウに選択肢が二つ現れる。



[1.程よい世界観で悪役系追放主人公のハーレムチートでザマァからの建国ライフ]

[2.植物]



 俺は意を決して選択肢を押した―――



思いついたまま書いてみました。

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