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憧れの彼女  作者: 「」
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ファミレスで食事を終えた後、私の自宅で休憩したあと身体を重ねた。

4日ぶりに春人くんとのデート。

デートの終わりには高頻度でえっちなことをする。

付き合い始めたばかりの若い男女だ。そうならないほうがおかしい。

彼から求められることもあるが、私から求めることの方が多い。

まだこのままくっついて居たいけれど、これから仕事があるので後ろ髪を引かれる思いで先にシャワーを浴びに行く。

元から裸なので汗を流すだけ。

初体験こそ中にって出してもらうことになった。でも、これからを考えるゴムを着用してもらっているので今は私からの分泌液だけ。


職場には貸しドレスがあるのでいいのだけど、当たり前だが下着類はもちろん私物。

全額日払い可能らしいので初日と翌日のお給料で、これまでの人生で無縁だった欲を掻き立てるランジェリーを身につける。

1着では足りるはずもなく初期投資として必要ではあるので給料の3分の1、2万ちょっとを支払うことになった。

初日から指名を頂いたおかげで金銭的には少しだけ余裕がある。

あの私がこんなことを思うようになったのは不思議だ。

幸か不幸か。



「春人くん。行ってくるね」

「うん。行ってらっしゃい」



唇を重ね、舌を彼の口の中に侵入させる。

おままごとじゃない大人のキス。

ゆっくりと離れると私と彼の間にてらてらとした橋が掛かり、そして崩れた。



「今日泊まっていっていいかな?」

「本当になにもないけど、いいの?」

「冬乃先輩がいるよ」

「……もぅ。バカなこと言ってないで着替えなさい。まだ夜は寒いんだから風邪引くよ」

「はーい」

「日を跨ぐ前には帰ってくると思うからね」



私は返事を待たずして手だけを振り、職場へと向かった。

彼との時間があるだけに気が少し重い。でも、今日は帰ってきたら春人くんがいるのだ。



「がんばろっと」



裏口からお店に入る。

表はネオンや電球、レンガ調の壁で豪華だが裏口は私が住む家とあまり変わりがないほど綺麗とはいえない。

ハリボテである。

隙間風が入らないだけマシかもしれない。

待機所で軽くスタッフや私と同じく風俗嬢に軽い挨拶をして、メイクを施し着替える。

男性スタッフもいるのだがこちらを気にする様子もない。このスタッフは受付と指名された嬢とやりとりを橋渡ししたり、時間になった嬢への対応などで待機している。



「りおさん、一時間後に指名入りました」



インカムで受付から連絡が入ったのであろう。待機していたスタッフ私の前にしゃがんで小声で報告してくる。お店にある情報で私を指名したお客さんの情報などを教えてくれる。

最終的に予約を受け付けるかの判断は私たち風俗嬢になるらしい。

新規のお客さんなどの情報はさすがにわからないではあるが、二度目以降のお客さんはある程度の年齢、性癖、サイズなどが記録されている。

私が所属しているのはヘルスというタイプで本番以外はすべてあり、というもので大きさによっては口に含むのも難しいし、私は新人なのでそれ以外でのイカせる技術がない。だからこそ、こういった情報は助かる。

ちなみにりおというのはこの店での私の名前だ。

お店での名前というのはある程度決められていて、管理番号のようなものになっている。

今の私に致命的な欠点のあるお客以外を断ることができないため二つ返事で了承し、マニュアルと今渡されたお客様情報に目を通す。


風俗嬢というものは案外覚えることが多い。

名前。サイズは平均的。攻め好きな普通のおじさん。

マニュアルとお客様情報を照らし合わせて方針を決める。

あと接客中に様子を伺いつつ対応しよう。

私はまわりを伺いながら生きてきたからこそ、目の前にいる人が何を求めているのか何を考えているのかが表情や仕草でだいたいわかってしまう。

こんなところで役に立つスキルだとは思わなかった。

お勉強を終え次にすることは、お店が用意してくれたアカウントにログインしブログを更新する。

『出勤しました。お店でお待ちしております♡』とコピペのような文章に顔を隠しスタンプでデコレーションされた背景に下着姿の写真を候補から適当に選び貼り付ける。

あとは時間が来るまで自由だ。

春人くんにメッセージで構ってもらったり、置いてある適当な雑誌などを眺めて過ごした。

しばらくしてスタッフから呼ばれて仕事モードに気分を切り替える。



「ご指名ありがとうございます。りおです」



スイッチを押すタイプの自動ドアの前に待機し、スタッフが案内している声が聞こえるとドアがスライドし対面となる。

たしかに普通のおじさんだ。

目を合わせて笑顔を作りつつ、自己紹介。そしておじさんの腕に絡みつく。

そういった行動にもう恥ずかしさはあまりない。仕事とはいえ最初は好きでもない男性の腕に胸を押し当てるというのは演技でもなく恥ずかしかったが、今では半分以上が演技だ。

私の容姿や業界未経験ということもあって純真な少女として広告が打たれている。

防音されているとはいえ広い建物ではない。いくつかの部屋から喘ぎ声の漏れる薄暗い廊下を渡り、今日当てられた部屋に向かう。

最初のお客さんはスーツを着用したサラリーマン風のおじさん。

部屋に案内するためにおじさんの腕から離れ扉を開き招き入れると、カバンを預かり備え付きのロッカーの下段に仕舞う。



「どうぞこちらに」



私はベッドの前で膝をつき、おじさんに手を差し向ける。



「こんなおじさんでごめんねぇ。りおちゃん」

「そんな。大人な男性で素敵ですよ」

「本当かい? 嬉しいよ」

「スーツを着た男性はより格好良く見えます。すごくお似合いです」



両手で包み込むと、おじさんの手の甲を撫でる。

目線をあわせると嬉しそうな反応でなによりだ。

おじさんには素敵な男性。太っているならお腹を触ってて気持ちいい。毛深い男性なら男らしくて、など色々とコミュニケーションに対するマニュアル的アドバイスがある。

ほぼその通りことを伝えるだけで好感度を買えるなら安い。



「ははは、ありがとう。りおちゃんもおっぱい大きくて肌白くて最高だよ」

「ありがとうございます」



色々と話掛けてくるタイプなのか、私は基本相槌をうちながら時々褒めるようなことを言えばいいので、気が楽だ。

胸を揉まれながら衣服を外しにかかる。片足を私の太ももに載せて靴下を男性のアソコにタオルを被せ、スラックス、下着と順番に脱がせる。

丁寧に折りたたみ籠の中に。



「では、準備してきます。おくつろぎください」



これが今の私の日常だ。

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