表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
憧れの彼女  作者: 「」
8/53

普通の彼女?

『春人、今日はどうするよ?』

机に置いてあったスマホが震えランプが点灯するのに気付き、メッセージアプリを開く。

『わりぃ今日はやることがある』

簡素に智明に返事をすると、ベッドから起き上がる。

俺も適当にぶらぶらと遊びたいところだが、実際にやることがあった。

3月に入り、無事大学に合格した。

自宅から通えないこともないが、親に頼みこみ大学に近い場所で一人暮らしすることが決まったのだ。そしてそのための荷造り。

来週には引っ越しで、その翌週には高校の卒業式だ。

新居は大学にも近いが実は高校にも比較的近いため、先に引っ越しを決めた。



「さぁーて、やりますかねぇ」



やる気は起きないが。

未来のために頑張りますかぁー。

冬の衣類に春物。その先は自宅に置いておいて時期がくればその時に取りに帰ればいいだろう。食器類や家具、生活の基盤になる白物家電も引越し後にするとして。

よく考えたら、特に必要なものってなくね?

今まで使っていたパソコンやらゲームの本体やらだけだ。

そうそうに投げ出した。

どうみても引越し後にすることのほうが多かった。

さっき断ってしまったが遊びに行こうと着替え、智明にメッセージを送ろうとスマホを取り出す。

あれ?

新着メッセージが届いていた。


『白雪冬乃』


口元がニヤける。

何を隠そう俺の彼女だ。

あの出来事があって付き合うことになった。

自分で言うのもなんだが少々ズルいことをしてしまったなぁーという。どちらかというと脅迫に近い気がしたのだが、俺は彼女を抱く条件に付き合うことを言った。

断られる可能性もあったが、それを承諾したのは彼女だ。

「付き合う前にしちゃうなんてね?」なんて笑いながら言うのだからこの恋人関係に否定的ではなかったの筈だ。

……そう思いたい。

あれから数日経ったが比較的順調。

と、思いたい。


『午前中からお仕事ないから夕方までどうかな』

『わかった。昼飯も食べたいから駅前の広場で待ち合わせしない?』

『じゃあ、11時に待ち合わせね』


スマホと財布をジーンズに仕舞い、すぐに出かける。

原付きを飛ばし目的地へ。

休日には中々見つからない駐輪場の空きスペース止め、ヘルメットで潰れた髪を手ぐしで治す。正確には違うが元学生の身としては平日の昼間は少し非日常的な感じがしてドキドキする。

足取りは軽く冬乃先輩よりも早くついてしまったために、待ち合わせ場所を覗けるカフェで彼女を待つことにした。

食事にも行くわけだからショートサイズのラテだけを注文し、受け取り口でもあるランプの下へと向かう。

休日は駐輪場同様混むのだが、客は少なくすぐ受け取ることが出来た。

窓際の席に向かい座る直前。



ガラス越しにいつもの微笑みで彼女が前かがみにして、こちらに手を振っていた。

3月にもなると昼間は少し温かい。

ガラス越しに感じる日差しも気持ちいい。

再会した当初や直近のデートなどではコートでがっちりと固められた服装は、白いブラウスに薄いグレーのガーディガンを羽織り。濃いめの青いロング―スカートという清楚なコーディネートでもう冬の色は褪せていた。

黒髪の先輩にはよく似合う。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ