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憧れの彼女  作者: 「」
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紅葉かつ静かに散る

時間を遡ること一ヶ月ほど前の話。

荒れたマンションの一室を汗だくで出て冬乃の実家。

一緒に住み始めてから遠のいていた。

そもそも彼女に会いに来ていたのだから、訪れる目的がなかった。

しかし『ごめん、私たちの家に不審者が来て滅茶苦茶になっちゃった』とメッセージが届いていたのだから、マンションに彼女は居らず最初に探す場所としては間違ってない。

後からちゃんとメッセージを全て確認していれば、アプリを使っていれば冬乃の居場所と安全は確かめれたのだが。

アプリはお互いの居場所がリアルタイムに分かる代物で便利なのだろうが、夏休みに入ってからの俺はバイトと自宅、たまに買い物にしか外出しておらず、冬乃もまた似たようなものだったので形骸化している。


冬乃の自宅。

ビーっっと今日日聞かないインターホンの音。

扉越しにやや疲れたような声で『どなた?』と聞こえる。



「どうも初めまして、冬乃さんとお付き合いしてる市ノ瀬です」



返事に不審なものを感じなかったのか、すぐに扉が開き冬乃の母親と対面する。

当たり前だが彼女に似ている。というか冬乃がこの人に似ている。

身長は冬乃のほうが高いってなぐらいで、今までの苦労でやつれてしまっているが元が美人なのが見て取れる。

幸薄系美人といったところ。



「あら、冬乃のは一緒じゃないの?」

「あぁすみません。むしろ冬乃さんが帰ってきていないのかと確かめに来たんです」

「喧嘩?」

「あはは……。そんなとこっす」



どう考えても事実を伝えれば不安にさせるだろうけど、なんて言えばいいのか見当もつかないため勘違いさせたままにする。

詳しいことは正直俺にもわかっていない。不審者が家に侵入してきて荒らされたということぐらいである。



「あの子、頑固だから融通利かないものねぇ。嫌わないでこれからも仲良くしてあげて」

「はい。それはもちろん」



確かに一度決めたら真っ直ぐに進み、視野が狭くなるところがある。

自分の母親だ、俺よりも彼女のことを知り尽くしているだろう。

けれど秘密にしていることがある。

この場で言うわけにも行かないので冬乃と共犯。



「あのそれで、冬乃が帰ってきたらここに連絡くれませんか?」



スマホに自分の番号を表示し見せる。

彼女の母が番号を登録が完了しワンコール。俺も登録し終えると冬乃の実家を後にした。


焦る気持ちはあるが、もう行く宛がない。

普段なら冬乃は仕事をしている時間だが、お店にいくわけにもいかない。

というか店名わかんねぇ。

前に気になって調べたことがあるが、予想以上に様々なお店があって諦めた。あと顔にモザイクがかかっていてほぼ誰かわからない。

プロフィールでなんとなく予想できそうな気もしたが予約してお店入ったら、違いましたーなんてことになったら無駄足である。


改めて携帯のメッセージを確認すると冬乃から別のメッセージが残っていた。

ポップアップだけでメッセージを読んでいたので、新着のほうを確認していなかったことを後悔する。

藤井さんの家にお世話になっている。

心配しないで。

自分でなんとかする。

要約するとそんなところだった。

迎えに行くべきかと思ったが、自分でなんとかすると言っている以上意固地になって帰ってこないことは確かだろうなって。

藤井さんに連絡を取って冬乃の様子だけ聞いてみるか……。



「こんばんわ藤井さん、今大丈夫?」

『ようやく釈放されたのね』

「捕まってはないよ……一応自由はあったし」

『それより冬乃さんのことでしょう?』



それよりとはなによりだ。



「うん、元気にしてる?」

『ちょっと思い詰めた表情をしているけど、今のところは心配なさそうよ』

「そっか、良かった」

『ええ。詳しいことは大学で話すわ』

「わかった」

『智明も心配してるから連絡してあげて』

「うっす。ありがとう藤井さん」

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