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憧れの彼女  作者: 「」
32/53

実家に戻ると俺は軟禁されていた。

携帯を取り上げられ外部との連絡を立たれた。

どうしてこんなことになったのかというと、初めて親父と喧嘩をしてしまった。

外に出ようにも母親の監視のもと家にずっといることを余儀なくされた。

バイトの行き帰りは親父の監視付き。

小学の付き合いでなんとか連絡先を知っている智明だけに事情を説明したが、何もできないのは歯がゆい。


親父と喧嘩した理由は彼女、冬乃のことで言い合いになったのだ。

何故か親父に冬乃が風俗で働いていることがバレた。

しかも根も葉もない虚言つき。

息子である俺の言葉を信じてほしいものだが、彼女が風俗嬢であることは事実。

冬乃が風俗嬢ってだけ彼女の信用は一切なかった。

清廉潔白である親父には許せないのだろうこともわかった。

騙されてるだの、そんな女と付き合うためにお前を育てたわけでもなければ一人暮らしを許可したわけではない、と。

同棲していたことを黙っていたのは悪いと思っているが、そこまで言われる必要はない。

そんなこんなで平行線を辿ったまま盆休みまできてしまった。

このままではマズイなーと冷静になり、なんとか親父を説得する材料を考えることにした。


一つ目はありのままを話すこと。

親父には搦め手なんて効きはしない。

素直に話すのが大事だ。

冬乃のこれまでのこと。

二つ目は第三者視点。

ここは癪だが智明に頼もう。

中学から俺が冬乃に恋していることを知っていたし、彼女と付き合ってからのことも知っている。

なにより冬乃の事情を知っていることがでかい。

そう決め、改めて智明に連絡を取る。

明日の夜8時に親父と話すことになった。




                ※




「親父いるか?」

「入れ」



襖を開き和室に鎮座する父親を見やる。



「宮下のところの息子か」

「はい、お邪魔してます」



親父は隣に立っていた智明を一瞥し、座るよう許可を出した。

木目の綺麗なテーブルの対面に正座。

お袋が控えていたようで、俺らが座ると3人分のお茶を出してくれた。



「話はなんだ」

「もちろん白雪冬乃のことです」

「そうか。全部言いたいことを言え」



目を細めて威圧される。

嘘は許さんということが言葉を交わさずとも分かる。

親父も冷静で、今回は聞く姿勢を取ってくれている。



「まずは冬乃の事情についてです。なぜ風俗で働くことになったのか」



すべてを包み隠さず話した。

本人ではないため詳しい詳細は知らないこともあるが、それでも俺の知っているは全て話た。

智明にも共通で知っていることも伝えた。



「……そうか。苦労しているのだな」



険しい顔になり、ごつい手で顎を弄る。

親父の考え事をするときの癖だ。



「そんな親想いでやさしい彼女を支えたいと思ってます」

「お前の気持ちはわかった。時に宮下……智明といったか。お前から見てその白雪冬乃はどんな女だ?」

「えっと、主観でいいなら」

「構わん」

「風俗で働いているっていう変なフィルターがなければ普通の女の子ですかね。春人のことが大好きで俺らに対して臆面もなく春人のこと愛してるって言えるほどですから。とっても大事にしてると思います」

「そうか」



また深く考える親父の姿。



「わかった。確かに白雪冬乃のことを他者から聞いた話だけで判断するのは良くない。非を認める」

「じゃあ……」



安堵する俺。

だが、親父の話は終わってなかった。



「まて、終わってない。しばらく様子を見るだけだお前たちを見て今後を考えることにする」

「わかった」

「白雪が落ち着いたらこの家にも連れてこい。正面から話を聞く」



そう言い残して親父は和室を後にした。

なんとか交際を認めてもらえたのか。

完全に認めてもらえるまで気を抜くことはできないが。



「春人。学食一週間分な?」

「おう」




荷物を纏め、マンションに戻る準備をする。

智明には先に帰ってもらった。

取りあげられていた携帯を母親から受け取り新着メッセージを見て驚愕する。



「は?」



まだまだ落ち着くことが出来ないみたいだ。

あんだけ気をつけたのに不甲斐ない。

冬乃が心配で実家を飛び出た。

彼女に連絡するものの繋がらず不安が募る。

汗だくになりながら自宅に戻ってみるものの、すごい荒らされていて冬乃の姿がない。

ここに居ないとすれば実家だろうか。

汗で張り付くシャツが気持ち悪いが、そのまま自宅を後にする。

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