1
入試を終え合格発表まで特にやることもなく、近所のショッピングモールをぶらぶらと散策していた。
「お前本当に一途な」
唐突にそんなこと言い出したのは、ガラスの反射を鏡代わりに髪先を弄っていた友達だった。
名は宮下智明。
小学からの付き合いで同じ大学を受験している。
所謂、腐れ縁といったやつだ。
「急にどうした?」
「春人、お前告白されてただろ?」
「見られてたのか……」
自由登校になる今日。その前日にクラスの女子に呼び出された。
「結構可愛い子だったのに断るなんて勿体ねぇ~な」
「確かに顔は可愛かったけどさ」
あまり話したこともない子に告白されても驚きはあっても、なんだかなぁーってという気持ちだ。
男として嬉しくはあったが。
恋愛には興味がある。
高3にもなって興味ないというほうが無理。
だけど断ってしまった。
「それが一途とどう関係あんだよ?」
「白雪先輩」
智明がニヤッと、ぶん殴りたくなる表情をしながら呟いた。
……。
白雪冬乃。
一つ年上の先輩。
中学で知り合い、同じ高校の先輩でもあった。
艶のある黒髪を伸ばし、くりくりした瞳に白い肌。
目立つわけでなかったが可憐な容姿におっとりした性格で見るものをなぜか安心させる雰囲気を持っていた。
俺の初恋の女性。
彼女が卒業して1年。付き合いもないが、忘れられずにいた。
「やっぱり」
「うっさい!」