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シャワーから上がり、タオルで身体を拭っているとすぐ傍の春人くんたちの会話が聞こえてくる。
盗み聞きしているようだけど聞こえてくるだから仕方がない。
どうやら今は春人くんの私を呼ぶ敬称について話しているらしい。
完全同意とまではいかないけど、冬乃と呼び捨てにして欲しい。
あ、恥ずかしいかも。
想像してしまって照れてしまった。その拍子にブラウスを落としてしまい濡れてしまう。
私がお風呂場から出た時には彼らの雑談は大学の話になっており、なにやら楽しげな様子だ。
ちくりっと痛む。
休学していることの悲しみか、彼らの会話に混じれない。
いや、違うかも……。
疎外感だ。劣等感も募る。
彼らはキラキラとしており眩しい。
私は……。
私はそこに居ない。
いずれ復学は果たすだろうけど、今はそこにいない。
彼らを眺める私を春人くんが呼び、はっと我に返る。パーカーを借りて着替えると、春人くんの横に座って彼の肩に頭を乗っける。
暗い気持ちを彼はよくふっ飛ばしてくれる。
うん、私は幸せだ。
春人くんがいるから私は幸せなのだ。
しかし、いつまでもこうしては居られないのは事実だ。
母親の体調も戻りつつあり退院近そうだ。費用は稼げているから問題ないが、一緒に住むということは私が何をしているのかバレてしまいそう。
春人くん同様一人暮らしも悪くない。
「……どうした? 冬乃先輩」
「うん、ちょっとね。一人暮らししようかな。どうしようかなーって思ってるんだ」
「あぁ、確かに」
彼には色んなことを包み隠さず話しているため察してくれたのだろう。
「なになに? だったら春人と白雪先輩がここで同棲すればはえーじゃん」
「「……」」
「え? 俺なにかまずった?」
春人くん同時に見合い、頷く。