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憧れの彼女  作者: 「」
11/53

寝起きでぼーっとしていると、一時間前に春人くんからメッセージが届いていた。

最近仕事を終えるのが1時過ぎ自宅に戻ってくるのが2時とかになっていて朝に弱い。

少し前まではすぐに返事をしていたけど、気づかないことや今日みたいに寝ていることが増えた。

申し訳なく思っているけど、笑って許してくれる彼に甘えている。

まだ頭の回らないままメッセージを返していた。

昼間は暑いしシャワーは春人くんのところで浴びようと思い、髪と顔の手入れだけする。

彼に会いに行くのだ、最近買ったお気に入りの下着にしよう。お客さんにも褒めてもらえたランジェリーだから男性目線で見てきっと嫌がることはないと思う。

春人くんの友達、多分宮下君だと思うけど。彼らが帰ったあと久しぶりにデキるかもしれないし。


着圧タイプの黒いキャミソールの上にブラウスを羽織り、デニムのジーンズを選択した。ちょっとこの辺は手抜きだけど許して欲しい。

実を言うと洗濯物が溜まっていて選択肢が少ないのです。

最近洗って使うより、買って着てそのままというのが増えた気がするなぁ……。

数ヶ月前の私の家じゃないみたいに衣装類が豊富だ。

どうでもいい感想をいだきつつ自宅を出た。


合鍵をもらっているけど、インターホンを押してから返事を待った。

反応がないので勝手に上がらせてもらおう。

男子大学生の一人暮らしの部屋。私と違ってこまめに掃除出来ているようで汚くはないが、洗い物が少し溜まっている。

ここで洗い物をして待っていれば良い女アピールが出来るかもしれないが、部屋の置くまで行くと久しぶりの彼の匂いがして下着の一部が濡れた。

条件反射。

生理現象でもあるけど、仕事とは違い濡れ方が異常で自分でも驚いた。

やっぱり春人くんのこと好きなんだなぁー。

このままおいたをしないように心を律すると、外から春人くんたちの声が聞こえた。

すぐに玄関のドアが開く音がしてので彼の腕に抱きついて迎えた。


「ちょ……冬乃先輩!」


ゆでタコみたいに赤くなった彼みて私も喜ぶ。

春人くんの後ろにいる彼の友達たちは少し驚いた様子だった。


「ごめんね。会うの久しぶりだったから」


素直に言う私を彼は赤いままの顔にいつもの穏やかで優しい微笑みを浮かべたまま、頭を撫でてくれた。

彼がコンビニのビニール袋を持っていたことに気付き、受け取って彼に抱きついたまま来た道を辿りテーブルの上においた。


「えっと、そちらの女の子ははじめましてかな? 私、春人くんの彼女。白雪冬乃です」


今日は営業スマイルではない、自分の本当の笑顔で自己紹介。


「あ、ハイ。はじめまして藤井香です」


藤井さんはなぜか戸惑っており私は頭にハテナを浮かべる。


「すみません。驚いてしまって、智明が言っていた白雪先輩とは想像していたものと少し違っていたので」

「?」


更に疑問を増やす私。

宮下君も自分の彼女と同じようにな反応でうなずいていた。


「あ、いや。そのあどけなさを残した綺麗な先輩って聞いていた通りのお姿はそうなんですけど、おっとりほんわかした性格だとも聞いていたもので」


あぁ、確かに昔の私は引っ込み思案で伺いをたてるような性格だった。

彼女の言葉に納得した。


「宮下君と会うのは1年以上前のことだからね。驚いちゃったかな? 根っこの部分は変わってないと思うけど。驚かせてごめんね?」

「こちらこそ、失礼なことを言ってごめんなさい」


春人くんと二人きりのときはなんか安心して、甘えたりお姉さんぶってみたりと外面の私が鳴りを潜める。

そして今日の私は少し甘えモードだ。

学生時代はお姉さんモードしかなかった。

今の仕事をして確かに変わってきたものあると思う。大胆な行動を起こせるのも昔の私にはなかったものだ。

頭を軽く下げあい向き直る。


「あの、白雪先輩……」


と、こっちは宮下君だ。

なんだろ?


「……下着が見えてます」

「うっ」


は、恥ずかしい。顔が赤くなるのが自分でもわかる。

お客に散々見られてるのにプライベードだとものすごく恥ずかしい。


「ご、ごめんね」


謝罪の拍子でずれ下がっていたブラウスとキャミソールを後ろを向いて直すと、ブラウスの前を少し閉じた。

後ろで「ば、ばか。人の彼女さんをまじまじと見てなにしてんのよ!?」という怒った声と同時に、すぱーんっと小気味いい音が聞こえた。

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