お姉さまが私のことを憎いといいますが、私はお姉さまのことを醜いと思ったことも、憎いと思ったこともありませんでしたわ…。婚約破棄されたのはお前のせいだといわれましても…。
「かわいいねえ、妹はこんなにかわいいのに、お姉さまは……」
そういっておばさまが私の頭をなでると、お姉さまがすごい目でこちらを睨んできました。
おばさまにそんなこといわないでください! と怒ると、ますますお姉さまがすごい顔で睨んできます。
私はお姉さまと仲良くなりたくて、話しかけましたが、いつもそばに寄らないで! と怒られました。
そのたびにお母さまとお父様が妹をいじめてはだめと怒り、ますますお姉さまが怒ったのです。
いじめられていませんと否定しても、両親は怒鳴るということはいじめているということだと怒りました。馬鹿になどしていないと姉に言いましたが嘘つきと一蹴されます。
私とお姉さまは3歳違い、私は母に似ていて、お姉さまはお父様に似ています。
お姉さまの長い真っ黒の髪に高い身長が羨ましいと思います。私はちびでしたから。
それを言うと、女の癖にこんなに背が高い私に対する嫌味? と怒られました。
あんたのような金の髪が欲しかったわよ! と怒鳴られます。
私はそばによるなと言われるので、お姉さまにできるだけ近寄らないようにしました。
でも何かの拍子にお茶会などを一緒に誘われると顔を合わせ、いつも不機嫌にこちらを睨むのです。
大人になれば分かり合えるかと思っていましたが15歳の現在でもこのままでした。
そして王太子殿下の婚約者にお姉さまが選ばれ、おめでとうございますというと、あんた本当に嫌味ね! とますます怒られました……。
お姉さまが王宮に行って半年後、なぜか私は王太子殿下に呼び出され、愛を告白されました。
私はお姉さまの婚約者の方となんて付き合えませんとお断りしました……。
でも照れ隠しなんだねとか言われて、お姉さまと婚約を破棄するというのです。そうしたら僕の愛を受けてくれるねとかなんとか……。
非常識すぎるといったのですが、そのあとすぐ、彼は婚約を破棄するとお姉さまに宣言とやらをしてしまったのです。
「あんたのせいで私は殿下に婚約破棄されたのよ!」
お姉さまが実家に帰ってきて、私につかみかかり怒鳴りました。両親がとめましたが……。
そのあと、私を婚約者にすると使いがやってきました。
お断りしましたが、だめだといわれて王宮にひきずっていかれました…。すごい目でお姉さまが睨んでいました。私は王太子殿下を愛していないし、婚約などするつもりはないと言いましたが嘘つきと信じてもらえません。
何とか殿下にも私はあなたを愛していないし、婚約するつもりもないといいましたが、信じてもらえず。私はどうしようかと悩みました。
すると実家から使いがきて、妹いじめの罪で婚約破棄されたが、姉である自分がいじめられていたのだ証拠もあるとお姉さまからの手紙が来たのです。
子供のころから、美貌で知られた母とよく似た妹のほうがかわいいと比較され、妹にも背が高い男のようだと馬鹿にされていたと……。周りの証言も取ったというのです。
「ここまで憎まれているなんて……」
私は泣いてしまいました。身勝手な王太子殿下、お姉さまにも憎まれ、生きていてもしょうがないと思ったのです。
そして私は。
「気が付いた?」
「私は……」
私は手首を切ったはず、しかし手首に傷はなく、見知らぬ男性が目の前にいて、ニコッと笑いかけてきます。
「僕は魔法使い、強い悲しみと嘆きを聞いてやってきたんだ。その感情は、次の魔女様の資質があるからね」
私が起き上がると、王宮は大騒ぎだよと笑います。王太子の婚約者が部屋に大量の血だけを残し失踪したからねと笑う青年。
「ここは?」
「辺境の塔さ、ここは嘆きの魔女様の領域、君は次の嘆きの魔女になる資質がある。だからここに連れてきたのさ」
辺境の塔には恐ろしい魔女が住むというというのだけはきいたことがありましたが……。
世界には四人の魔女がいて、世界の安定を担っているというのです。
絶望の魔女、嘆きの魔女、悲しみの魔女、苦しみの魔女。私はそのうちの嘆きの魔女の資質があると。
「私、私は……」
「次の代替わりまで、まだ時間はある。だからゆっくりと考えなよ。魔女となったら不老、世界を自由にできる魔法も使える。割とお得だよ」
黒髪に黒目はお父様を思い出させました。でも茶目っ気たっぷりに笑う彼は全く似ていません。
「私……もう家にも帰れない。だからここにいるわ」
「そうかい、ならこのあとはどうする? 君の記憶を消してあげようか? 皆から」
「そのままでいいいですわ」
私はふふっと笑いました。嘆きの魔女なんてね……。そして私がいなくなればお姉さまもお喜びになるしちょうどいいと思ったのです。
私がお互い分かり合えると思ってしてきたことがお姉さまを悲しませた。なら私が消えたほうがいいのです。私はそう思い笑ったのでした。
「……君の王国は滅んだよ。嘆きの魔女」
「そう」
あれから長い年月が経ちました。私は嘆きの魔女となり、今も塔のてっぺんにいます。
お姉さまは妹殺しの嫌疑をかけられ、辺境に修道院送り、殿下は婚約者の失踪の責をとらされ廃嫡。
あれから百年ほど経ちましたか。
「……もうすべてが過去ですわね」
「そうだね」
黒髪に黒い目をした青年が笑います。嘆きの魔女の下僕であるという彼のことはまだよくわかっていません。でもずっと一緒にいてくれる。それだけで今の私は幸福です。
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