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短いので、サクッと読めると思います。
空は澄んだ青、木々が歌を歌う、緑の丘。
丘の麓の家々や畑の風景はいつもと同じ。
ただ、サラの心だけが、ざわついていた。
ゆっくりと丘の一番の大木に手をかけた。
ひとつ、小さく深呼吸して、上っていく。
これまでも何度となく上った通りに進む。
そしていつも座っている枝の上に着いた。
「今日は飛べる!」
サラの人生の目標は、飛ぶこと。
もう12を数える年だ。大人だし、充分に時間は費やしたはず。
魔法のペンダントも首から下げている。
風の具合もいい。
あとは、一歩勇気を出して、飛ぶだけ!
どのくらいの時間がたっただろう。
何度も、腰を浮かせ、立ち上がり、空を見て、
鳥や、虫や、麓の村を見て、座って、また立って。
風を感じて、太陽の暖かさ、時間を感じた。
次第に、ここにこうしていることが何なのか、わからなくなりそうだった。
疲れてしまったし、正直、飽きてしまった。
下りるはずではなかった木の幹をつたって、慎重に下りていく。
「きっと、遅すぎたんだわ」
「あの日、風があんなに吹かなければ、飛んでいたかもしれない」
「なぜ?」
サラは自分に問いかけながらも、不思議と心が落ち着いていることに気がついた。
もう、一日が終わろうとしている。
家に帰らなきゃ。
その日以来、サラがその木に上ることはなかった。
魔法のペンダントは宝石箱の中。
私自身の子供の頃の夢を脚色したもの。
大人になった今でも飛びたいですけどね。




