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作者: 天
掲載日:2021/07/15

短いので、サクッと読めると思います。

空は澄んだ青、木々が歌を歌う、緑の丘。

丘の麓の家々や畑の風景はいつもと同じ。

ただ、サラの心だけが、ざわついていた。


ゆっくりと丘の一番の大木に手をかけた。

ひとつ、小さく深呼吸して、上っていく。

これまでも何度となく上った通りに進む。

そしていつも座っている枝の上に着いた。


「今日は飛べる!」

サラの人生の目標は、飛ぶこと。

もう12を数える年だ。大人だし、充分に時間は費やしたはず。

魔法のペンダントも首から下げている。

風の具合もいい。

あとは、一歩勇気を出して、飛ぶだけ!


どのくらいの時間がたっただろう。

何度も、腰を浮かせ、立ち上がり、空を見て、

鳥や、虫や、麓の村を見て、座って、また立って。

風を感じて、太陽の暖かさ、時間を感じた。

次第に、ここにこうしていることが何なのか、わからなくなりそうだった。

疲れてしまったし、正直、飽きてしまった。


下りるはずではなかった木の幹をつたって、慎重に下りていく。

「きっと、遅すぎたんだわ」

「あの日、風があんなに吹かなければ、飛んでいたかもしれない」

「なぜ?」

サラは自分に問いかけながらも、不思議と心が落ち着いていることに気がついた。

もう、一日が終わろうとしている。

家に帰らなきゃ。


その日以来、サラがその木に上ることはなかった。

魔法のペンダントは宝石箱の中。




私自身の子供の頃の夢を脚色したもの。

大人になった今でも飛びたいですけどね。

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