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01 黒猫との出会い

初稿です。よろしくお願いします!

 学校からの帰り道、とある田んぼのあぜ道に一匹の黒猫がいた。その黒猫は微動だにせずに、じっと俺の事を見つめている。


 何を思って俺を見つめるのか?

 まあ、猫だからなに考をえているか分かるよしもないのだが。


 だけど······。


 いつもの俺ならそのまま立ち去るところ、どういうわけ立ち去らなかった。


 何故なら、黒猫を見た瞬間急に胸の奥が熱くなり、とても切ない気持ちになったからだ。


 ──この気持ちは一体何なのだろう?


 すると黒猫はおもむろに動きだし、こちらに向かって歩き出す。逃げるわけでもなく、そろそろと俺に近付く。


 黒猫は俺の足下までやって来るとそこで歩みを止め、ちょこんと座った。よく見るとその黒猫には二本の尻尾が付いていた。


「!?」


 ──尻尾が二本? いや、まさか······。



 黒猫は頭を上げ俺の顔を見つめた。


「にゃー、にゃー」


「············」


「にゃー、にゃー」


「············」


 まるで俺に何かを訴えかけているかのようだった。でも、その鳴き声の意味する意図が分からない。


 話が通じないことに黒猫は痺れを切らせ立ち上がる。そろそろと歩きだし、俺の足にその身体を擦り付け、さらには尻尾までも絡てめてきた。


「人懐っこいんだなお前」


 頭を撫でてやると、黒猫は気持ちよさそうに目を細め、ゴロゴロと喉を鳴らす。


「よしよし、かわいいなお前は」


 顎下や耳裏なども撫でてやると、黒猫は我慢できなくなったのか、ゴロンと体を横に倒しお腹を見せていた。


 本来猫は、心を許した人でなければお腹を見せないというが······、飼い猫なんだろうか?


 それにしても、この二又の尻尾は······。


「おまえ、もしかして猫又か? ······なんて、そんなわけないか······」


 横たわりながも俺の足に匂いを付けてくる黒猫の横腹を、俺はこちょこちょとくすぐったり、擦ったりしてしばらく遊んでいた。


「俺さ、一年前に可愛い許嫁がいたんだ······。 優しくて、太陽みたいな子で······。 それなのに······。って、お前にこんなこと話しても仕方ないよな」


「にゃー」


 俺の独り言に黒猫が返事をしたかのように見えた。 気のせいだろうか、その表情はどことなく寂しそうだった。


 気がつけば空は茜色に染まっていた。俺は黒猫の頭をポンッと軽く叩きゆっくりと立ち上がる。


「ごめんな、そろそろ帰らないと······。 また会ったら遊んでやるよ」


 黒猫はどこか名残惜しそうに俺を見つめ、「にゃー」と一言鳴き見送ってくれた。




 ────1週間後。


「この、ストーカー!!!」


 いま俺の目の前に、怒りをあらわにした小柄な少女が、仁王立ちとなり物凄く睨んでいた。

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