戦う仲間
ディカーを逃してから二日程空いた。DATスタッフの懸命な追跡と計算のおかげでディカーの動きが判明した。
次にディカーが向かう先は恐らくフラッグスタッフ。あの街はこの周辺ではそれなりに大きな町。暴れるには申し分ない場所だろう。
そうと決まれば俺達は早速フラッグスタッフへ向かった。
そして、街の入口付近で待機し、ディカーの襲撃に備える。
他のDATスタッフは米軍と協力し、避難誘導を行い、ヴァレッドと勇気は空中から広範囲でディカーを索敵している。
因みに街の人達には原因不明のガス漏れが確認されたという理由で避難勧告を出している。
まぁ、理由に関してはすぐにバレるだろうが。
メルフェスもDATの存在もそろそろ明るみに出してもいいはずだ。実際問題、メルフェスの存在はネットの海に流れている。誰もが何かしらの情報端末を持つ時代だ。巨大生物なんか現れれば記録するに決まっている。そして、一度流出してしまえば完全に消すことなんてできない。
だが、DATの方針としては戦力が固まるまでは全て公にはしないらしい。
「いつになることか……」
ヴァレッドも本格的に動けるようになり、パイロットである勇気も現れた。
戦力としては十分だろうがこれでもまだ完全じゃない。
あいつらがどう動くかになるな。
『こちらはキャシー。どう、甲太君? 暇してない?』
余計なことを考えているとオペレーターのキャシーが通信してきた。
「そんなわけないだろ。それで避難状況は?」
『もうお堅いわね。六割の避難が完了してるわ』
「あとの四割はどのくらいで終わる?」
『現在の速さから考えると恐らく一時間以内』
「……なるほど」
遅い。
恐らくその一時間の間にディカーはこの街に現れる。
現在、位置は把握できていないが振動や何やらで計算したところ、間もなく現れるとのことだ。
俺は異様な喉の渇きを癒す為、飲み物に口を付ける。
その時だ。コックピット内が小刻み震え始める。
「来たか!」
直ぐ様、レーダーを確認する。
レーダーの中心に赤い点滅が起きる。
「おいおい!? まさか!?」
『甲太君! 今すぐその場から離れて!』
「わかってる!! 今やってる!!」
俺は急いでアクセルを踏み、移動を開始する。
それから数秒の出来事だ。
先程まで俺がいた場所の地中からディカーが現れる。
ひび割れ、瓦礫となった大地を巻き上げながら。




