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鋼鉄の勇者 ヴァレッド  作者: 島下 遊姫
大地に聳える紅の城
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災悪の日

 それから間もなくして、いよいよメルフェスが出現した。出現場所はフランス。

 体長約八メートルのカエル型メルフェス。中型サイズのメルフェスだ。

 DATでは五メートル未満のサイズを小型。五メートル以上十メートル未満のサイズを中型。十メートル以上のサイズを大型としている。

 小型であれば戦車や戦闘機などの兵器でも少ない犠牲がありながらも対処はできる。しかし、中型となってくるとそうはいかない。軍隊が全滅寸前まで追い込まれて、尚且つ町一つが崩壊してやっと倒せるレベル。

 巨大になればなるほどメルフェスの肉体は強固になり、普通の弾では傷一つつかない。また攻撃方法も強力になる。

 メルフェスに有効な攻撃手段を持つのは現在はDATのみ。

 弾くらいならば他国の軍でも提供すればいいという話はあるがそううまくいかない。

 通常の兵器では反動であったり、電装系が対応しておらず、そもそも撃つこともできない。グランドタンクのように兵器そのものの提供も素材のメルメニウムがまた貴重であり、他に回す余裕なんてない。

 だから、俺が出た。ヴァレッドもまだ使い物にならなかったため、俺はフランス軍をフォローの受けながら初陣を飾った。

 初めて命のやり取りをする戦闘に体験したことのない恐怖と緊張を味わった。小便を漏らしそうになった。

 それでも逃げたいとは思わなかった。普通なら恐怖のあまり逃げ出すんだろう。実際に軍人の中でも逃げ出してしまった人もいたらしい。しかし、それが普通だ。

 でも、俺は死ぬよりも逃げて生き恥を晒すことと、親父の死を前に覚悟した自分自身を裏切ることのほうが不愉快に感じたから。何より、たくさんの命を背負っていると思うと逃げるなんて選択肢は浮かばなかった。

 そして、俺達はメルフェスを倒すことができた。

 しかし、それでも犠牲者をゼロにすることはできなかった。悔しくはあったけど、DATのメンバーや軍人達から感謝の言葉をかけられた。

 それからはドミノ倒しのように戦いの日々が続いた。

 必ず月に二回は出撃し、多い時は二桁はいっていた。

 経験を積んだおかげで小型メルフェスならば一人で倒せるくらいには強くなった。でも、中型は相変わらず犠牲者をゼロにすることはできなかった。

 強くならなくてはいけない。強くなくては誰も守れない。

 失われる命が積み重なる度に焦りが生まれた。

 確かに俺は一人で戦っているわけじゃない。バックアップしてくれるスタッフもいる。

 俺がメルフェスを倒したおかげでメルメニウムが手に入り、ヴァレッドや他のビークルの開発、グランドタンクの強化も進んでいる。

 しかし、それでも足りない。後は俺自身が強くならなくちゃいけない。バックアップがあっても戦う時は俺一人なんだ。

 だが、一人というのは限界がある。その事実を突きつけられたあの災悪の日が訪れた。

 日本の山中に初の大型であるドリラが現れた。大型も存在してもおかしくないと言われていたが、その大きさはまさかの二十メートルを超え、こちらの常識を悉く上回った。

 予想外の敵だった。手段なんて選んでいる余裕はなかったはずだが、あの時、判断ミスを犯した。

 ドリラは運悪く居合わせてしまったキャンパーを襲っていた。

 俺はキャンパーが逃げられると希望的観測を行ってしまった。誰も死なせたくないという甘い戯言を吐いてしまった。

 だが、一人の人間が二十メートルをも超す生物から逃げることなんかできず、そのまま喰われてしまった。それから俺は敵討ちと言わんばかりに攻撃をしたが全く歯が立たず、逃げられてしまった。

 その結果、ドリラはあの街に出現し、死傷者三百万人を出す大きな被害を出してしまった。

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