ドッペルゲンガー
夏コミでR18ラウペト、誰か描いて
ゴルサップは堂々と言い切った。
その佇まいと力強い言葉には信頼が感じられた。
この人は俺を知らない親父のことを知っているんだ。
仕事人としての親父はこんな堅物そうで覚悟を持った人に熱く語らせるくらい信頼されていた。
やはり、あの人は凄い人なんだと再認識した。
「あんたの言葉、信用するよ」
「……そうか」
静かに呟くと、ゴルサップは背を向け、ここを後にしようとする。まるで俺から逃げるように。
恐らく、俺を見て何かを察したのだろう。
そうだ。俺は覚悟を決めた。
「待てよ。ここまで話を聞いたんだ。部外者でいられるはずがないだろ」
俺はその大きな背中を呼び止める。
振り返るゴルサップに俺は深々と頭を下げる。
「お願いします。雑用でもいい。あんたらの力になりたいです」
共に戦いたい。その言葉を聞いたゴルサップは渋い顔を浮かべる。
「……君の父親は平和の為に戦った。その平和をただ享受すべきだ」
「その父親が死んだんだ。この後は誰が平和の為に戦うんだ?」
「子供が調子に乗るな。お前は父親のアンドロイドにでもなるつもりか?」
「別に俺一人で何でもできると思ってない。それでもあの人を尊敬してる。少しでもあの人に近づきたい。だから……平和の手伝いをしたいだけだ」
厳しい言葉をただ受け入れる。
確かにそうだ。調子に乗っていると見られても仕方ない。ただ、親父に成り代わろうとする意志のない人形に見えるかもしれない。
そう見られてもいい。実際に親父の後を継ぎたいという気持ちはゼロじゃない。
だけど、一度現実を知ってしまった以上、もう見て見ぬ振りなんてできない。
それに恐怖に怯えて生きるよりも恐怖に立ち向かっていく方が逆に楽だ。
すると、ゴルサップは俺の確固たる決意を見抜いたのか深く溜息を吐く。
「……私は迷っていた。君をスカウトするかと。だが、彼が命を散らした手前、この戦いに巻き込むのは彼の意志を無下にするような気がしていた」
「余計な心配だ。あの人も生きていたら、きっと俺の意志を尊重してくれる」
すると、ゴルサップはゆっくりと俺の前まで歩いていき、その大きな手を差し出す。
「……歓迎しよう、兜山甲太。これから君は我々、DATの一員。そして、現状で唯一メルフェスに対抗できる兵器のパイロットとしてだ」
「俺が……パイロット?」
これにはビックリした。あくまで荷物運びやらそういった雑用を任されるものだと思っていたが、まさかパイロットを任されるなんて、予想できるはずがない。
「本来は父親をパイロットに据えていたが、君でも十分と判断した。寧ろ、今の計画上、若い方がいいと判断きている」
「親父が……か」
なるほど。意志だけでなくゴルサップから親父に対する『キタイ』も継げということか。
「あぁ。背負ってやるよ! 全部! それでいて、俺自身の力で戦ってやるよ!」
そうして、俺はパイロットとしてDATに所属することになった。
俺が立つ廊下は薄暗く、手前が少し明るくなっているものの、奥に行けば行くほど暗く先が見えない。




