出会いはそれはもう突然に
出張中、博多に行ってきてガンプラ買ったおかげで俺の積みの数が増えてしまった。
RGハイニューと福乳、HGベルフェクティビリティはいつ完成させられるんだろうか……
「本当に島とは思えないな」
何となく島と聞くと大自然に囲まれていて、建物は一軒家しかなく、お店も個人商店が一軒あるくらいで失礼な言い方だけど不便を極めた辺境の地だと認識が強かった。
だけど、この島は違う。至って普通の街だ。俺が住んでいた街と変わらない。なんなら、より発展している。
周りをグルリと見回す。
真新しくて汚れなんてない建物。
歩けば色んなお店があり、生活に必要な物だけでなく、娯楽にだって不自由はない。
道は広く、歩行者と自転車、自動車専用と分けられており、歩きやすい。
道行く自動車は殆どが水素エンジンの車で日本じゃ滅多に見ない車種だ。というより、世間一般に発表されているかどうか怪しい。
上を向けばモノレールの線路が敷かれ、銀の車体に青いラインが流れるモノレールが運行している。
大都市と言っても差し支えないがただ建物ばかりが並んでいるだけでなく、しっかり街路樹や花壇もあって、都市特有の圧迫感は感じられない。
さらに少し歩けば公園があり、休むことだっててまきる。
とにかく過ごしやすくストレスを感じない街だ。
『ここは世界の最先端を集めた場所だ。勇気はあまり聞かないようにプロフェッショナルが島や街を設計しているからな』
「最先端か」
『ある意味、実験都市という見方もある。車も殆どが一般に流通する前の試作機。店の商品もテスト商品なんかも多い。環境にどう影響を与えるか。マーケティングは失敗していないかを限りなく世間に近い街でテストできる。企業にとってこの街は理に適っている』
「なんか、そう聞くと複雑な気持ちになるな……」
『仕方ない。人類の発展は何かの犠牲の上で成り立つものだからな』
「はっきり言わないでくれよ……」
『フォローするならその分、価格はかなり抑えられている。そして、品質は高い。これは世間で言うオトクというものだろ?』
「そうかもしれないけど……」
確かにそれなりの見返りはあるものの何だかモルモット扱いみたいでいい気はしない。
考え方を変えれば誰よりも先に最先端の技術や流行に触れられるというのはあるけれどなんだか捻くれた考え方をしてしまうのは俺の悪いところだ。
『まぁ、技術が集まるのにはちゃんとした理由があるんだが』
「理由? そんなのあったのか……」
理由を聞こうとした時だ。
顔に湿り気のある風が当たる。
ふと、視線を起こすと眼の前には海が広がっていた。
話に夢中になっていて、海沿いの道まで出ていたことに気づいていなかった。
そして、また風が吹く。その風に乗って、大きな赤いリボンが俺の元にやってきた。
「何だこれは?」
風に飛ばされてきたのだろうとは思っていたけど、どうしてこんなところに首を傾げた瞬間だ。
「それ、私のーー!」
「はへ?」
俺の頭上を人の影を覆う。
その次の時には上から跳んできた見知らぬ少女に押し倒される。




