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エーオン島 到着

呪術廻戦にドハマリして漫画全巻購入してしまった。

真衣さんに罵られたい

 コックピットから水平線まで広がる広大な太平洋が望める。

 雲ひとつない空に浮かぶ太陽によって照らされた海はまるで宝石が散りばめられたように輝いて綺麗だった。


『勇気。この曲はいいなぁ』


 呆然と海を眺めているとヴァレッドが話しかけてくる。

 出発してから既に三時間近く経っている。

 俺の街から太平洋のド真ん中に浮くエーオン島まで約四千キロメートル。ブレイブジェッターは最大でマッハ五まで出せるとんでもメカ。

 ただ、マッハ五を出した時なんかGが凄まじく耐えられたもんじゃない。何より今の俺は普通の私服だ。耐G処理もしていないこの状態でそんなスピードを出したら間違いなくただでは済まない。

 それにスピードを出せば出すほど燃料だって急速に減ってしまい、島に到着するまでに墜落する。

 だから、敢えてスピードを落として、ゆったりと向かっていた。でも、ただ乗っているのも退屈だからとスマートフォンから音楽を流していた。


「最近、流行りの曲だ。俺はあんまり好きじゃないがヴァレッドは気に入ったのか?」


『あぁ。全体的に音の波長が心地よい』


「波長……? メロディーか?」


『いや。メロディーではなく波長。形ととても綺麗でいいんだ』


「それは……人間にはわかりにくいなぁ」


 苦笑いを浮かべるしかなかった。

 人間には聞いただけで音の波長なんかわからないし、それがいいとあまり思わない。

 逆にロボットやAIは歌詞の良さだったり、音楽のかっこよさとかの芸術性はあんまりわからないんだろう。

 いくらヴァレッドは人間のように思考し、話せるようになったとは言え、こういう価値観や感性というのは相変わらず機械的だ。


「なぁ、エーオン島ってどんな感じなんだ?」


『どんな感じか?』


「街並みとかだよ。島って聞くから滅茶苦茶ど田舎な風景だと思うんだけど、仮にもDATの本拠地だろ? だから、意外と栄えているのかと思ってもいてさ。正直、想像できないんだ」


『そうだな……。似たような街並みなら沖縄の那覇市だな』


「沖縄か……行ったことないんだよなぁ……」


 沖縄っぽい街並み。写真では少し見たことがあるが、あんな感じなら田舎過ぎず、都会過ぎない丁度いい感じみたいだ。

 あんまり田舎過ぎて周囲に何もないというのは生きていく辛いし、だからと言ってジャングルのように建ち並ぶ高層ビルに囲まれるのも落ち着かない。

 今のところ、俺にとっては住みやすそうな街のようで安心する。


『勇気。さっそく見えたぞ』


 俺はふと前を見る。

 水平線からゆっくりと上っていく緑色の何かが確認きた。


「あれがエーオン島か……」


 進むに連れて、島の姿が大きくなり、はっきりと見えていく。

 那覇のような街並みだと聞いていたけど、今のところは街並みは確認できない。見えるのは壁のように立つ崖と崖の上から頂上を覗かせる山だけ。


「なぁ、あの山の向こう側に街があるんだよなぁ」


『そうだ。私達のいる方向はDATの基地が集中しているエリアだ』


 島まであと数分までと行ったところまで近づいた時だ。

 崖の一部が上下に開閉し、中から滑走路のような道が伸びていく。


「うわぁ! 秘密基地って感じがするな!」


 昔見ていた特撮ヒーローの防衛隊の基地と似たギミックを目の当たりにし、思わずテンションが上がってしまう。流石、対メルフェスの最前線で人間の未来を担う場所だ。


『よし、これから着艦する。勇気、準備を』


「わかった」


 島が目と鼻の先まで近づいた時、着陸の準備に入る。

 機体の速度をさらに落とし、ランディングギアを下ろす。

 少しの衝撃が受けながらも滑走路に着地する。

 滑走路から置くまで意外にも暗く、代わりに四隅にある明かりが進む先を導くかのように奥まで延びている。

 途中まで進むと脇から何かに挟み込まれ、機体が少し揺れる。

 何が起きたのかと思った矢先。何も操作しないで機体が動き続ける。ここからはどうやらこっちは何もせずに基地のシステムがエスコートしてくれるようだ。

 どんどん機体が流れる中、明かりのない真っ暗な部屋に案内される。


「なんだ、ここ?」


『格納庫な筈だが……』


 格納庫が真っ暗?

 機体を保管し、設備点検する場所が真っ暗なんて明らかな異常事態だろう。

 もしかして、俺は騙されていたのか?

 DATというのは悪の組織で正体を知った俺を拉致する為にこの島に案内したのか。それで実はメルフェスというのもDATが作り上げた存在で盛大なマッチポンプ……いや、流石に疑いすぎか。

 もしくはテロリストに選挙されたとか。いや、考えすぎか。

 そう思った瞬間だ。

 打って変わって格納庫が真っ白に照らされる。何だ、問題ないじゃないかと俺は機体から降りようとハッチを開けた瞬間だ。

 いくつものパンと激しい破裂音が俺に向けられ放たれた。

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