時間稼ぎ
同人即売会に出ようと思っていましたが、即売会2日前にワクワクチンチンを打つことになり、フルチンになる準備をしなければならないので諦めました
機関砲ではグラーブスにダメージを与えられない。だが、痛さよりも痒みの方が鬱陶しいのだろう。グラーブスは鋏を立てて、威嚇してくる。
「そうだ。俺を見ろ!」
完全に俺に注目している。これでいい。この隙にヴァレッドが救助に専念してくれればそれでいい。
俺はブレイブジェッターの高度を上げる。
メルフェスという巨大生物でも見た目は蟹だ。地面を歩くことしかできないのなら空を飛んでいればそれなりに時間は稼げる。
凄まじい弾速の飛び道具はあるが逆に言えばそれだけに注意しておけばグラーブスは俺に手を出せない。そう高を括っていた。
しかし、グラーブスは予想外の行動をした。
何とグラーブスは針のような脚で器用に跳躍した。
「蟹が飛ぶのかよ!」
目の前に迫るグラーブスに俺は唖然とする。
そして、グラーブスは巨大な鋏をビュッと風を裂く音共に振り下ろし、ブレイブジェッターを叩き落とそうとする。
俺は慌てて、機体を左側にローリングして、回避する。
「くっ!」
鋏を振り下ろした際に生まれたであろう風圧のせいで機体が激しく揺れる。あまりの揺れに吐き気がこみ上げてくる。
俺は歯を食いしばり、操縦桿を固く握り締め、前後左右細かく動かし、機体を安定させる。
しかし、グラーブスは俺に猶予を与えてはくれない。
「おい、マジかよ!」
揺れる視界に映るのは落下しながら開けた鋏をこちらに向け、銃弾を撃とうと構えるグラーブスだった。
「それなら!」
今からジェット噴射を行い、回避するのは間に合わないと俺は判断した。
なら、このまま落されるのを受け入れるかとそんなわけがない。
俺はエンジンを切る。動きが止めたブレイブジェッターは重力に引かれて、そのまま地面に垂直落下する。
それなりの速さで落下していくブレイブジェッターを撃ち落とすのはグラーブスでも至難の技であり、一応、撃ったものの、命中しない。さらに空中で銃弾を撃った反動でグラーブスは裏返しになり、地面に落ちる。
これで一先ず安心……にはならない。このままではブレイブジェッターは地面に叩きつけられ、衝撃で機体がバラバラになる。
俺は一気にペダルをベタ踏みし、離陸用の機体下部のバーニアを焼き切れるかと思うくらい吹かす。
地面まで後数センチ言ったところだが、何とか踏ん張り落下することが阻止でき、俺はそのまま機体を立て直し、再び上昇する。




