信頼
現在、10月に行われる僕らのラブライブという同人即売会で出す作品の執筆に追われている為、若干更新が遅れます。
「勇気! 危険ダゾ! ダガ……」
俺が揺動することを提案するとヴァレッドは止めようとする。しかし、危険とわかっていながら、それしかないとわかっているようで段々と語気が弱まっていく。
「わかってるじゃないか。俺よりも人型のヴァレッドの方が救助がしやすいし、融通がきくだろ?」
俺が救助を行ってもやれることは限られる。仮にできたとしても背後にグラーブスが迫る中で救助者達に危害を加えないよう精密な動作を必要とされるうえに、瓦礫を退かせるのにアンカーを発射し、引っ掛けるなどいちいち手間がかかる。それに救助者した人々を乗せるスペースなどブレイブジェッターにはない。
だけど、ヴァレッドなら俺なんかよりも冷静に救助にあたれ、精密な動作も問題なく行える。人型であるが故に物を運ぶことはお手の物であり、救助者もその手に乗せて、運ぶことができる。
柔軟に戦闘を行う為だけでなく、円滑に救助を行う為の人型ロボットだ。そのメリットを生かさなくてどうするか。
「一人デヤレルノカ?」
「いや、無理だ」
俺ははっきりと言う。
あまりにもはっきりと言うものだからヴァレッドは「何!?」と驚く。
「あくまで時間を稼ぐだけだ。だから、ヴァレッド。さっさと救助を終えて、助けに来てくれ」
「ダガ、私モ上手クトハ限ラナイゾ」
「上手くやれるさ。俺はヴァレッドを信じる。だから、ヴァレッドも俺を信じてくれ。グラーブスは必ず止める」
グラーブスを一人で倒せると思っていない。というか無理だ。持久戦になったら俺は確実に負ける。
だが、逃げ遅れた人を助ける為にも多少のリスクを背負わなければならない。
逃げ遅れた人を助ける。グラーブスをいち早く倒す。それを全てやり遂げるにはヴァレッドの行動に全てがかかっている。
無論、確実にやってくれると確証はない。もしかしたら、とんでもないアクシデントに見舞われるかもしれない。
それでも俺はヴァレッドならどうにかしてくれると信じている。その為にも俺は全力でグラーブスの足止めをする。
たったそれだけのこと。だけど、正直なことを言うと未熟な俺達にはかなり厳しいことだ。
信じるというより、願いに近いかもしれない。
「……了解シタ! 任セタゾ! 勇気!」
「あぁ! 任された!」
ヴァレッドは頷くと戦闘機に変形し、一目散に逃げ遅れた人達が残る建物に向かう。
俺は深く深呼吸をする。俺だってやれると言い聞かせる。
そして、今尚、逃げ遅れた人達がいる建物に向かうグラーブスに向かってミサイルを撃つ。
相変わらず硬い甲殻には大したダメージを与えられない。しかし、気を引くには十分な威力であり、グラーブスはカサカサと脚を動かし、背後に浮く俺に注目する。
「お前の相手は俺だ!」
正面を向いたグラーブスを対峙する。
そして、グラーブスの顔面に機関砲を撃つ。




