出撃
ドム再販買ったぜ!!!!!!!
俺は息を飲む。また、戦いが始まる。
戦う覚悟は決まっている。でも、あの時とは違って冷静であるが故に勢いで恐怖が紛らわせない。脚が小刻みに震える。
だけど、逃げる気なんてサラサラない。こんな恐怖はメルフェスを倒せばおさらばできる。
何より戦う恐怖より誰かが死ぬ恐怖の方が強い。
『勇気、私ハ先ニメルフェスノ元ニ向カッテイル!』
「わかってる。ちゃんと合流するよ」
ヴァレッドから一方的に伝えられた後、通信が切れる。
ある意味、これも俺とヴァレッドの強みの一つだ。俺がすぐに動けない時でもヴァレッドは迅速に動け、混乱を抑えることができる。
もし、ヴァレッドとブレイブジェッターに合体機構がオミットされ、エクスヴァレッドが基本形態であれば、わざわざ俺の準備を待たなくてはいけない。俺達にとっては所詮、些細なロスかもしれないが戦う力を持たない人間にとって些細な時間で生死が分かれると言っても過言ではない。
とても理にかなっていると思っていると、間髪入れずに白鳥から通信が入る。
『勇気、聞こえているか?』
「あぁ、聞こえているよ」
『ヴァレッドから聞いたぞ。屋上に高嶺君といるんだな? 他に人はいないか?』
「いない。俺達二人だけだ」
『それなら勇気の座標にブレイブジェッターを送る。そのまま屋上から乗り込んでくれ』
「このまま!? 驚いたけどわかった!」
切羽詰まった状況にも関わらず白鳥の口調はいつものように落ち着いていた。
逆に安心した。下手に焦られるとこっちも焦って不安が大きくなりそうだ。
「日登君……」
通信を切ると高嶺が拳をギュッと握り締め、心配そうに俺を見つめていた。
「心配しなくていい。高嶺のアドバイスのおかげで俺は今回も生き残れそうだ」
俺は懸命に笑って高嶺を安心させようとする。
確かにこの笑みは作り笑いに近いかもしれないがこの言葉に偽りはない。
別に高嶺のアドバイスいけるとは思わない。それでも、気が楽になったのは確かだから。
「高嶺は……幸運の女神だったりしてな」
「え?」
高嶺が素っ頓狂な声を上げた時、巨大な影が俺達を覆う。俺は空を見上げる。しかし、上を見上げても何もなく、空しか見えない。ただ、よく見ると雲の一部がまるで切断しされたかのようになくなっているのが見える。
「来たか! ブレイブジェッター!」
俺にはわかる。上には停まっているのはブレイブジェッターだ。
ブレイブジェッター及びDATの機体には万が一、発着する基地の位置の発覚や衛生などで追跡されない為に周りの風景と同化する「クリアコーティング」なるものが施されている。
クリアコーティングはそれなりに電力を使用する為、コーティングしながらの戦闘はできず、移動用の為の機能だ。
見えないブレイブジェッターから小さな穴が開き、乗降用のロープが自動で降りてくる。
ロープの先端にはグリップのような物が付いており、俺はグリップに足をかけ、ロープを握る。
「それじゃあ、行ってくる!」
「……生きてね!」
「当然さ」
高嶺にエールを送られながら、俺はブレイブジェッターに乗り込み、戦場へと飛び立った。




