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鋼鉄の勇者 ヴァレッド  作者: 島下 遊姫
シンクロニシティ
42/117

訓練

クロブにオーヴェロン参戦は意外だわ

何よりマシロ役の畠中さんはやっぱり演技上手いわ。

マジで人格が変わった時の演技がシロッコなんだもん。

漫画のモビルスーツが来る流れでムーンガンダムの参戦、待ってるで。

「ヴァレッド! 回り込めるか!」


『了解シタ!』


 コックピットの外から聞こえてくるエンジンの轟音と爆撃音、そして、機関銃の弾が跳ね返る甲高い音。

 灰色の空を縦横無尽に飛び回る戦闘機形態(ジェットモード)ヴァレッドと俺が駆るブレイブジェッター。

 俺の視線の先には煙と炎を上げるコンクリートの建物が並んだ繁華街。そして、その中心に立つメルフェス。先日、初めて戦った個体と全く同じ姿形をしており、今では頭にドリルが付いているから「ドリラ」と呼称されている。

 先程から銃弾を当てているがメルフェス鋼鉄の肉体には大したダメージを与えられない。

 ドリラにとって機関銃など所詮、豆鉄砲でしかない。ならば、いち早く合体して、肉弾戦で決める方が手っ取り早い。

 しかし、今すぐ合体なんて都合よくできない。ドリラが俺達のどちらかをマークしている為、合体なんて大きな隙を見せれば、その時点で撃墜される。

 一瞬でも注意を逸らし、足止めをしないと同じ土俵には立つことすらできない。

 その為、ヴァレッドと俺でドリラの周囲を挟み撃ちの形で飛び回り、何とか隙を作らんとするが、中々に上手くいかない。

 戦況が硬直している中、ドリラはヴァレッドにマークするとゆっくりと口を開く。そして、喉の奥が青い炎が見えてくる。


「ヴァレッド! 気をつけろ! 熱線を吐くつもりだ!」


『ソウクルカ!』


 ドリラの口から溶解熱線が吐き出し、ヴァレッドを撃墜しようとする。

 ヴァレッドは下降し、巨大なビルを盾にして回避しようとする。だが、熱線はビルを紙のように容易く切断してしまう。


『コレデハ!』


「援護する! 持ち堪えろ!」


『厳シイガ……信ジルゾ!』


 ヴァレッドの加速に問題なくついていく熱線。このままではヴァレッドは撃墜される。

 俺は機関銃やミサイル等で足止めしようとするが、ドリラはピクリとも動かない。


「それならさ!」


 弾が効かないなら力付くで無理にでも止めるしかない。

 俺はペダルを踏み込み、急加速を行い、一気にドリラと距離を詰める。


「シザーアンカーショット!」


 機体後方に装備された牽引用のアンカーを撃ち出し、ドリラの首に巻きつける。


「ぶっ倒れろよ!」


 そして、そのままペダルを限界まで踏み込み、ドリラの巨体を引っ張る。

 とてつもない太さと脚力でドリラは地面にヒビを入れるほど踏ん張るが首だけはどうしても動かされ、上を向き、熱線がヴァレッドから逸れる。


『コノ隙! チェンジ! ヴァレッド』


 ターゲットから逸れたヴァレッドはすかさず戦闘機形態からロボットモードに変形。そして、ドリラの脚にヴァレッドガンを放つ。

 僅かだが脚部に衝撃を受けたことで踏ん張れなくなり、ドリラの体勢が崩れ、膝をつく。


「今だ! 行くぞ、ヴァレッド! 合体だ!」


『オウ!』


 ドリラの動きが止まったこの瞬間、俺とヴァレッドは一気に高度を上げ、合体の準備に取り掛かる。

 ブレイブジェッターを人型へと変形させ、ヴァレッドも体を折り畳み、そのままブレイブジェッターと合体しようとブーストを吹かす。


「ドッキング! オン!」


 そして、いよいよ合体寸前といったその時だ。

 僅かに座標がズレてしまい、お互いの機体が弾かれてしまう。


「しまっ!」


 合体に失敗した俺とヴァレッドはそのまま機体を制御できず、地面に真っ逆さまに墜落する。

 墜落と同時に大きな砂埃を上がり、周囲の状況が見えない。

 俺は何とかして動かなければとペダルやレバーをガシガシと闇雲に動かすものの、墜落とドリラを無理矢理引っ張ったダメージで機体にガタが来てしまい、全く動かない。


「これじゃあ……!」


 死ぬと思った瞬間に砂埃が晴れる。

 透き通った景色の中で見たのは迫りくるドリラの巨体な足の裏。そして、ドリラが踏み潰してくると同時に俺の視界は真っ黒になった。


『ミッション失敗。シミュレーションを終了いたします』


 暗転したコックピットに無慈悲にミッション失敗を伝える無機質なアナウンスが響き渡る。

 

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