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鋼鉄の勇者 ヴァレッド  作者: 島下 遊姫
シンクロニシティ
39/117

準備って何?

スパロボ30でナイツマ、ナラティブ、ジェイデッカー、グリッドマン参戦は熱い!!


Switch買おうかな

 本日最後の授業が終わることを告げるチャイムが校内に鳴り響く。

 他のクラスメート達は一つ、溜息を吐くとはしゃぐことなく、静かに帰り支度を始める。

 そんな中、俺は帰り支度に手を付けることなく、まず高嶺を見る。高嶺も同じように荷物を纏め、帰り支度をしていた。

 今なら大丈夫そうだと思った俺は高嶺の元に向かった。


「あ……。日登君、どうしたの?」


 近づく俺に気づいた高嶺はちょくちょく気まずそうに目を逸らしながらも声をかける。


「ちょっとな。なぁ、この後時間があるか? 話したいことがあるんだ」


 本当にさり気ない誘い。その誘いを受けた瞬間、高嶺は目を丸くして、無言で驚いていた。高嶺だけでなく周りのクラスメートもあの気難しく、他人と積極的に関わろうとしない俺がわざわざ高嶺に声をかけたことに唖然としていた。

 気味の悪い空気が教室に流れる。

 前から高嶺が俺の事を好いているなんて噂が立っていたこと。あの日、俺と高嶺が一緒にいたことを全員が知っていることもあって、もしかしたら付き合っているのではないのかという勘違いが広まっているのは知っている。

 こんな場面は普通なら男子が馬鹿みたいに茶化したら、女子が何やらひそひそ話でもする場面だろうがそんなことは一切起きなかった。

 誰もそんな余裕はないし、もし本当の恋人同士ならお互い生きていることがどれほど幸福なことか。どちらにせよ、わざわざ野暮なことをするような空気ではなかった。

 なんというかそういう空気が息苦しくて不快だった。無論、そんな関係ではないし、勘違いだから茶化されたりするのはそれはそれで嫌だ。だけど、そういう若気の至りがあるのが学生の醍醐味なんだと思うし、過ちでもある。本来あるべきものを持っていながら表に出さないという遠慮が気に食わなかった。

 

「いいけど……何かあったの?」


 高嶺は周りの反応が気になるのかキョロキョロと周りを見回す。


「まぁな。色々と話したいことが増えてね」


「ここじゃ駄目なの?」


「あぁ。二人きりじゃないと駄目なんだ」


「ふ、二人きり……」


 高嶺の唾を飲み込む音が聞こえる。


「そんなに固くならなくていい。この前の話の続きだから」


「あ……そうなんだ」


 今まで普通の表情を浮かべていた高嶺が突然、まるで何かの試験で落ちたかのような絶望したような表情を浮かべる。


「別に聞きたくないならそれでいい」


「ううん。聞くよ。日登君だって何か考えがあって話がしたいんでしょ?」


「……ありがとう。それなら、この後、俺の家に来てくれないか」


 首を縦に振ってくれたことを確認し、場所を指定したその途端だ。

 高嶺の顔がまるで蒸れた林檎のように赤くなる。


「い、家!?」


「あぁ。そうだが」


「その……家じゃないと駄目なの?」


「あぁ……あんまり人目に付くのは良くなくてさ」


 当初はまたあの公園で話せばいいかと思ったが誰がいるか、通りかかるがわからず、万が一誰かに見られてしまったらヴァレッドのことがバレてしまう可能性が高い。

 そう言った危険性を回避する為に人目がつかない家にしたんだが……流石に抵抗があるか。


「いや……気になるならいいけど」


「その……まだ準備が出来ていないの」


「準備?」


「だから、一旦、家に帰ってからでもいい」


「それは構わないけど……」


 準備? 人の家にあがるんだからそれはそれなりに身なりを整えたり、菓子折りの準備をしたりする必要があるか。

 そこまで気を使わなくてもいいのにと思うがやはり、そういう気遣いが当たり前にできるのが高嶺の育ちの良さが出ている気がした。

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