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鋼鉄の勇者 ヴァレッド  作者: 島下 遊姫
シンクロニシティ
38/117

新たな一歩

ゲッターロボアークを観る予定だけど、ゲッターなんて全く見たことない俺でも大丈夫かな……

 制服に着替え、荷物をまとめると俺は直ぐに息苦しい家から飛び出る。

 ふと、空を見上げる。晴れ渡る青い空には眩しいくらいに輝く太陽が上り、使命と言わんばかりに大地を照らしている。

 また、新しい一日が始まった。そう感じた。多分、この感覚は他の人とは違う。俺の場合は未知の世界としての日常という括り。

 昨日は偽り塗れの平和な日常として過ごした。

 今日は世界を守る人間としての特別な日常として新しく始まった。

 同じ一日なのに何かもが変わった。不安が使命に。平穏が動乱に。毎日、生きていけるという確信はなくなり、新しく明日生きているのだろうかという疑心が生まれた。

 でも、その変化はすんなりと受け入れられた。無論、自ら選んだから覚悟ができているということもある。それ以上に知っていながら何もできないという歯痒さが無くなったのが一番大きい気がする。

 見て見ぬ振りをすることなんて嫌だ。手を伸ばせるのなら伸ばしたいから。


『コレカラ学校ニ向カウンダナ』


 新しい世界の匂いを肺一杯まで取り込んでいるとスクールバックからヴァレッドの声が聞こえる。

 俺はバックからブレスレットを取り出し、話しかけながら歩き始める。


「そうだ。だから、ヴァレッド。昨日の夜の約束、守ってくれよな」


『当然ダ。一時的トハ言エ、君ノ手元カラ離レルノハ危険ダカラナ』


 昨晩、ヴァレッドからブレスレットを四六時中、肌見離さず持ち歩いて欲しいと言われた。

 メルフェスが出現した場合、即座にブレスレットに連絡が入るとのこと。メルフェスはいつ、どこで現れるかわからない。こっちの事情なんか考えるわけがなく、授業中に現れるのは当然でそもそも日本国内に現れる確信もない。

 だから、いついかなる時もメルフェスの出現に対し、迅速に対応できるようブレスレットを持ち歩かなければならない。

 それはわかる。でも、残念ながら俺の学校は電子機器の持ち込みは禁止になっている。

 万が一、ブレスレットが教員にバレ、取り上げられでもしたら最悪だ。出撃ができず、被害が広がるだけでなく、俺がDATに所属していることや機密情報が漏れる可能性も高い。

 それなら予め学校側に説明した方が楽なのではと意見したが、ヴァレッドは難色を示した。

 これは白鳥が言っていたことらしいが、どんな事情があれ、部外者にはあまり知られたくない。いくら公務員である教員と言えど、部外者である以上、信頼できない。さらに多くの人間が知れば知るほど、漏れた時の原因の特定が難しい。それに人が多い学校ではいつ誰が話を聞いているのかわからない。

 故にあまり学校には事情を説明するのは得策ではないらしい。

 卒業まではDATの一員ということを徹底的に隠しつつ、仕事を行う。中々キツイことだ。

 だから、ブレスレットを肌身離さず持つことを了承した。代わりに有事の際以外は絶対にどんな音も発しないことを条件にした。昨晩の食事中もちゃんと約束を守っていたし、空気も読めるようだし、一々約束する必要もないと思うが念の為だ。

 

「……そうだ。いいこと思いついた」


 俺はふと思った。これからヴァレッドを連れて行くんだ。

 学校には丁度、ヴァレッドに関わりのあるあいつがいる。折角だ。あいつにヴァレッドのことを教えるのも悪くない。


「なぁ、ヴァレッド。会わせたい人間がいるんだ」


『勇気。何ヲ言ッテイルンダ。私ノ存在ハ秘密ダト言ッテイルダロウ!』


「そのお前を知っている人間だよ」


『……モシカシテカ?』


「あぁ。あの時、俺と一緒に乗っていた、女の子。高嶺に会わせたいんだ」

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