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答えは

SEED映画化、ようやくか 


「戦う……だと? この素人が?」


 心がざわついた。戦っていた時と同じ感覚が再び、蘇る。

 血が沸騰したかのように熱くなって、何もかも忘れて戦いに没頭したあの感覚。

 手の平に纏わりつくように残る操縦桿の固い感覚。

 メルフェスの耳障りな叫び声。

 死が背後に迫った極限の状況で生きる為に持てる全てを出し切って戦うあの燃えるような感覚。

 少しだけ心地よくて、でも、同時に吐き気を催す恐怖が同時に襲い掛かってくる。


「素人がヴァレッドと呼吸を合わせ、戦った。それは類まれなる才能だ」


「それはヴァレッドに意思があったからだ」


「ロボットに意思とは面白い考えだな」


 俺の何気ない言葉に白鳥は嚙み締めるような笑みを浮かべる。

 それは愛する孫のいい評判を聞いた祖父のように見えた。


「あんたが開発したくせによく言う」


「そうだ。ヴァレッドには意思を持たせた。人間と同じようにヴァレッド自身が考え、理解し、成長する為に超高性能AIを搭載した。これにより、パイロットは乗せなくてもヴァレッド自身が戦うことができる。だが、それが欠点になってしまった。確かに戦闘に関しては人間さながらの柔軟なさを得た。しかし、戦闘に思考を割きながら、武器やメインシステムの管理。切り札と言える合体システムの構築が困難になってしまった。だから、ヴァレッドの負担を軽減させる為、もう一つの脳として、パイロットを乗せることになった。しかし、意思がある故に性格による相性の良し悪しが生まれてしまった」


「そして、偶然にも相性のいい俺が現れたと」


「みんな、ヴァレッドのことを対メルフェス用に開発された兵器として見ていなかった。でも、君はヴァレッドを変な言い方だがヴァレッド一個人として見てくれた。そして、君自身の熱い心がヴァレッドに響いたからこそ合体できたんだ」


 熱くヴァレッドの事を語った後、白鳥は俺の目をじっと見つめる。瞳の奥にある何かを見抜くように力強く。


「まだ、答えは出していないのにべらべらと喋っていいのか?」


「退路を断つ為にって言ったら?」


 白鳥は明らかに俺に期待を寄せていた。加えてとても大きな期待。

 俺ならヴァレッドの力を最大限引き出せる。それどころか最大値を引き上げ、想定以上の成果を出すと。

 そして、世界を救えると。

 下した決断は。


「……そこまで認めてくれて嬉しいよ。でも、悪い。俺は戦わない」

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