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お見舞い

なんか、日刊ランキングに乗ってた

pixivに投稿したエロ百合小説が男性ランキング45位で「シコい」と読めて、興奮した記憶を思い出した。

 そんな退屈な日々に飽き飽きしていたころ、真矢さんがお見舞いに来てくれた。一応。昨日までは大事を取って、外部の人との面談は禁止になっていた。

 でも、俺の体調もだいぶ良くなったから少しの時間なら構わないと許可が下りた。


「本当に心配だったんだからね! ゆう君」


「その……ごめんなさい」


 そして、早速真矢さんはお見舞いに来てくれた。

 俺が心配をかけたことを謝ると真矢さんは「無事でよかった」と抱き着いてくる。

 真矢さんの頬はやつれていて、目の下には酷いクマが出来ていて、女優のように美しい顔が台無しだった。

 優しくて真面目な真矢さんのことだから、もしかしたら責任を感じていたのかもしれない。

 初めから三者面談に参加して、その後、無理矢理でも俺をランチに連れていけばこんな目に遭うことはなかったたと思っているかもしれない。

 ても、そんなことは結果論でしかない。街中に突然、怪獣が現れるなんて誰が予想するものか。だから、自分を責めたって何の意味もない。

 真矢さんはいつもの真矢さんらしく明るくいて欲しいというのが俺の願いだ。


「退院できるまで一ヶ月くらいだっけ……。結構、長いよね。寂しくなるね……」


「……そうだね」


 真矢さんは寂しいと思ってくれている。

 でも、叔父さんと叔母さんは反対に喜んでいるだろう。いや、残念に思っているかもしれない。あのまま俺がメルフェスに襲われ、殺されれば、都合良く厄介者がいなくなり、精々したと思っただろう。

 本当はどう思っているかはわからない。少なくともお見舞いに来ない辺り、大切には思われていないのは明白だ。


「明日、何か家から持ってくるけど、欲しい物はある?」


「それなら勉強道具と本がいいな。本はミステリー系がいいかな」


「それだけでいいの? 退屈じゃない? スマホもないんでしょ」

 

「俺はしょっちゅう連絡を取る人はいないし。それに一応受験生だかさ」


 スマートフォンはあいにく混乱の最中、どこかに落としてしまった。別に人とこまめに連絡するタイプではないから特に不便だと思わない。強いて言うなら調べ物がし難いくらいか。


「わかった。ゆう君がそう言うならどんとお任せ!」


 真矢さんは胸を張って笑う。

 やっぱりだ。やっぱり、真矢さんが元気な方が真矢さんらしくて安心する。


「ありがとう。真矢さん」

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