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鋼鉄の勇者 ヴァレッド  作者: 島下 遊姫
紅蓮の勇者、大地に立つ!
23/117

必殺技

スーパーミニプラのファイバード、速攻で予約した


後、題名替えました。


「おい、パワーがもう少ないぞ!」


「ダメージヲ負イ過ギタ!」


「マジかよ……」


「どうするの!?」


 高嶺が不安そうに俺の顔を見つめてくる。

 長時間の戦闘は不可能。ならば、仕切り直しという体で撤退するかと言えば、それはあり得ない。今のエクスヴァレッドの状態では逃げきれる確証はない。それに逃げればメルフェスも同様にこの場から撤退するだろう。地中に潜られただけで見失うような索敵能力では再発見は困難を極める。また、発見できず、また別の街に現れてしまえば、また被害が拡大するだけだ。

 それだけは絶対に阻止しなくちゃならない。

 もう、誰も死なせるわけにはいかない。

 ここで決着をつけるしかない!


「なら、この残りのパワーで倒すしかない!」


「上手くいくの!?」


「やるっきゃないだろ!」


「ソレニ関シテハ同感ダ! アトハ勇気デ補ウダケダ!」


「ロボットの癖に精神論を説くか。面白い! 行くぞ!」


「オウ! ナラバ、必殺技デトドメヲ刺ス!」


 俺とエクスヴァレッドの心が炎のように燃え上がる。

 絶体絶命の状況を覆し、メルフェスは絶対にここで倒す。その固い意志が完全に重なり合う。

 パネルに『Finish Break』の文字とある武器の名前が表示されている。

 こいつが必殺技か。


「炎神剣!!!」


 俺は武器の名前を叫ぶ。

 すると、エクスヴァレッドの目が激しく発光。背中に納刀されていた鋼の両刃剣を抜き、両手で構える。


「チャージ……アップ!」


 エクスヴァレッドの声と共に炎神剣の刃が赤く光る。

 刃は赤熱化しているようで刀身の周囲が揺らめいている。

 そして、エネルギーを充填し、紅に染まった刃の切っ先をメルフェスへと向ける。


「決めるぞ!! ヴァレッド!!」


「心得タ!!」


 操縦桿を最大まで前に押し、ペダルを限界まで踏み、出力を最大まで引き上げる。

 エクスヴァレッドはバックパックから轟音と共に炎を噴き出し、一直線にメルフェスな突撃する。

 メルフェス、迫るエクスヴァレッドを迎え撃とうと口を大きく開き、熱泉のエネルギーを溜める。

 だが、体内に銃弾を受けたダメージによって、エネルギーは溜まらず、それどころか暴発し、口から煙を吐く。


「ウオォォォ!」


「ぶった斬れぇぇ!」


 俺とヴァレットの勇ましい叫びはシンクロする。

 メルフェスが目と鼻の先にヴァレッドは剣を大きく振りかぶり、突撃する勢いを乗せ、大きく右から下へ振り下ろす。

 必殺技と謳われる技というだけにメルフェスの硬い外皮を紙のように切り裂き、一刀両断。

 そのままメルフェスの横を過ぎ、背後で止まる。


「グアァァァァァ!」


 渾身の一撃を受け、メルフェスは醜い悲鳴と共に爆散した。

 背後から爆炎と煙が上がる。メルフェスの破片がエクスヴァレッドの鋼鉄の体にいくつか打つかる。


「や、やったのか」


「アァ。生体反応消滅ヲ確認。メルフェスノ討伐、完了シタ」


 レーダーには何一つ、反応が表示されていない。

 エクスヴァレッドは振り返り、爆発地点を確認する。地中に潜った形跡もなく、あるのはバラバラになったメルフェスの体。


「い、生きてる! 生きてるんだよね!」


 俺達は戦いに勝った。確かにこの世界に生きている。

 生きていることに感極まって高嶺は俺にギュッと抱き着いたくる。

 ずっと不安で怖かったんだろう。俺とは違い、高嶺の心は強くはない。常に死がつき纏っていた状況はかなり苦しいものだっただろう。

 それに高嶺は戦っていない。それにも関わらず、一番死に近い場所に巻き込まれてしまった。

 俺はいい。自分自身で戦うことを望んだから。死んでも自業自得の一言で終わる。高嶺は自分の命を勝手に俺に握られ、気が気じゃなかっただろう。 


「ごめん……。勝手に危険なことに巻き込んでしまって」


「ううん。私は大丈夫だよ。地上にいたって危なかったのは事実だし。それに約束してくれたよね。絶対に守るって」


「そうだけど……。本当に信じていたのか?」


「当たり前だよ。だって、あんな真剣な目で言ってくるんだもん。だから、信じられたんだよ!」


「高嶺……」


 高嶺の眩しい笑顔が目に刺さる。

 良かった。憎まれていなかった。

 そして、本当に高嶺を守れてよかった。 


「それは……良かっ……」


「日登君!? しっかりして! 日登君!」


 命をかけた死闘を終え、限界まで張り詰められた緊張の糸がプツリと切れた。

 その瞬間、俺の意識は強制終了したみたいに落ちていった。



少年は生き延び、束の間の平穏が訪れる。

だが、力を手にし、一度戦場へと足を踏み入れた少年に真の平穏は訪れない。

世界の裏では今も絶えず未知なる敵の驚異に晒されているという真実。それは世界を知らない少年にとっては衝撃でしかなかった。

世界に迫る危機と人々の悲鳴が雪崩れ込んでいる偽りの平穏を前に少年は決意する。


次回 鋼鉄の勇者ヴァレッド 


「決意の空」


新たなる世界へと飛び立て! 勇気!

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