巨大合体 エクスヴァレッド
いよいよ合体します
「いくぞ! まずは脚部の合体から……!」
俺は座標を入力し。操縦桿を握り、ペダルを踏む。
コックピットのある機首部分は半回転し、内部へと仕舞われる。
内部に移動したことで外が見えなくなるが、代わりにハッチにメインカメラの映像が映し出され、変化前とはさして違和感は感じない。
機体後部のエンジン部分が伸びると二つに分かれる。先から折りたたまれた出っ張りが展開し、つま先となる。
「ファースト……ドッキング!」
ヴァレットは掛け声を上げると自身の体を折りたたみ、脚部との合体を試みる。
先程はここで失敗した。確かに数ミリのズレも許されない合体をいくら優秀なAIやオートシステムがあっても難しいだろう。
今回も途中までオートによる補助はある。だが、合体直前の僅かなズレはマニュアルで修正しなければならない。
難しい。空中での合体な為、風があり、機体が激しく揺れて、酔いそうになる。腹の中からこみ上げるものをグッと飲み込み、合体に集中する。
前部と後部の接続部が半回転。後部が伸び、二つに分かれると巨大な脚となる。
機体上部にあったパーツは左右に展開。先から巨大な拳が回転しながら現れ、腕となる。
腕が展開したことで、元々腕があった部分は空洞になっている。
「行くぞ!」
「オウ!」
ヴァレッドは下半身を半回転させ、脚を折り畳み、胸部と密着する。
腕部は背部に折り畳まれる。
そして、ヴァレッドはブレイブジェットと再び合体を試みる。
「クッ! 揺れが!」
途中まではオートによる補助があるが合体直後の僅かな微調整が成功の鍵を握る。
空中での合体ということで地上とは比べ物にならない強風による揺れによって、バランスが取りにくい。
確かにいくら高性能なAIでもこの環境での合体なんてをミスしてもおかしくない。
どんなに科学が発展しても、最終的な調整や仕上げはAIやコンピューターでは再現できない直感を持つ人間が行わなければならないのかと痛感する。
「コノママダト、マタ失敗スルゾ!」
「わかってる! 気が散るから黙ってろ!」
目を限界まで開き、操縦桿を細かく動かしながら位置を調整する。
針の穴に糸を通すのとは比べ物にならない程、繊細かつ複雑で極限まで集中する。
そして、その時が来た。
ヴァレッドがブレイブジェットの空洞にハマり、胴体となる。
合体した直後、背中から一角獣のようなV字アンテナが特徴的な赤いヘルメットが展開し、ヴァレットの頭部に装着される。
「フォームアップ!」
ヴァレッドの掛け声と共にヘルメットから口を覆うフェイスカバーが展開する。
合体が完了したヴァレットはそのまま地面に急降下。降下の衝撃で粉塵が舞う。それはまるで世界が待ち望んでいた勇者が現れたことを歓喜し、震え上がっているように感じた。
「巨大合体! エクスヴァレッド!!」
ついにこの時がやってきた。
弱きを救う正義の鉄人。
その拳は悪を砕き、その翼は自由を見せる。
燃える炎のような赤いボディ。
その名は、鋼鉄の勇者! エクスヴァレッド!
人類の反撃が始まった瞬間だ!




