前途多難
ラブライブ!ゼノグラシアとか来ねぇかな
「グガァァ!」
メルフェスは言語化不可能な叫びを上げ、ヴァレッドに目もくれず、逃げる俺達を追いかけようとする。
「行カセルカ! ヴァレッドガン!」
それを阻止せんと、ヴァレッドは腰のホルスターから小型の赤い拳銃を抜き、メルフェスへと放つ。
戦闘機のミサイルとは違い、威力は高いようでメルフェスは銃弾を受ける度に動きを止める。
「凄い! 怪獣の動きを止めてる!」
足止めできていることだけで俺は驚いた。
これなら逃げ切ることができると思った。
しかし、あくまで足止め以上のものは期待できない。それにこっちは高嶺を背負っているそう速く走ることができない。
ヴァレッドは倍近くある怪獣には長くは時間稼ぎが出来ず、迫るメルフェスに掴まれると傍らの建物に投げつけられる。
建物はまるで砂の城のように崩れ落ちる、
痛覚があるのか、それとも衝撃を受けると人間のようにそういうことを言うようにプログラミングされているのか「グハッ!」とうめき声を上げる。
「ナラバ! 来イ! ブレイブジェット!」
瓦礫の山に寄りかかったまま、ヴァレットは右腕を天高くかざす。
すると、空の果てからけたたましいエンジン音が聞こえてくる。
「また……戦闘機!? 違う! 何だ!?」
空の彼方から現れる白いボディに赤い翼と兵器にしては目立ち過ぎる塗装の巨大な戦闘機が灰色の空を旋回する。
ブレイブジェットと呼ばれる巨大戦闘機は機首からバルカンと各部からミサイルを発射し、メルフェスに攻撃を行う。
直撃するものの、まだメルフェスを倒すに至らない。
「今ダ! ガッタイ!」
ブレイブジェットの攻撃でメルフェスがよろけた瞬間だ。
ヴァレッドは足裏からジェット噴射を行い、空を飛び、ブレイブジェットの下につく。
すると、ブレイブジェットが変形を始める。
前部分のパーツは複雑な過程を経て、腕が現れ、上半身へと変形。
残ったエンジン部分は二つに割れ、脚となり、下半身に変形し、胴体がすっぽりと空いた巨大な人型へと変わる。
ヴァレッド自身も手足を折り畳み、コンパクトに変形すると、窪みの前へと移動。
そして、ヴァレットが窪みにハマり、合体しようと近づいていく。
「フォームアッ……シマッタ!」
だが、接触する瞬間、僅かにズレがあったのか合体できず、ヴァレットはバランスを崩し、そのまま地上に墜落。
下半身部分は各部に備え付けられた姿勢制御用スラスターを吹かし、何とかバランスを取ると戦闘機形態へと戻りながら、墜落する。
「ヤハリ……オートデハ……」
墜落したヴァレッドはよろめきながら立ち上がろうとする。だが、それを阻止せんとメルフェスが巨大な尻尾でヴァレットを叩きつける。
「グギァァァ!」
「グッ! コレデハ!」
一方的にやられ、いよいよ状況が悪くなっていく。




