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鋼鉄の勇者 ヴァレッド  作者: 島下 遊姫
呪縛を解き放つ蒼き槍
110/117

自業自得

劇場版SEEDFREEDOM最高や


てか、アスラン面白すぎてコズミック・イラはアスランのための世界なんじゃいか?

それならコズミック・イラじゃなくて

コズミック・ザラに改めるべきじゃん?

 メルフェスの襲撃は人の命だけでなく、私の故郷までも奪っていった。人的被害を少ないもののクワヴェルが地下から侵攻し、縦横無尽に動きまわったことで地面に大きな空洞が多く存在することになり、地盤が不安定になった。さらにクワヴェルが暴れたこととDATと軍の連合軍との戦闘によって町は甚大な被害を被った。田舎ではあったけど、流金グループのお膝元で栄えていたためそれなりに大きな町だった。でも、そんな町は僅か数日の出来事のせいで当分は人が住むことができない荒れ果てた土地になった。

 両親も故郷を失った私は程なくして、祖父母に引き取られた。

 社長を失った流金グループの経営権は自然と一人娘である私に流れてきた。だけど、まだ未熟な私が大企業の経営なんてできない。だから、私が一人前になるまで代理として元グループ社長の祖父に経営を担うことになった。

 あの怪物は一体何なのか?

 あんな怪物を倒したのは本当に軍なのか。

 悲しみが落ち着く度に疑問と探究心が大きくなる。何気なくネットで調べたらものの当時は混乱を避けるため、DATによってメルフェスの存在は秘匿されていた。そのため、ネットに情報が流れてもすぐに抹消され、生半可なやり方ではまともな情報は得られなかった。

 人は禁止や制限をされると逆にそれを破りたくなるものだ。例え、相応のペナルティが用意されていようとだ。

 私は両親が残してくれた立場と資産を十分を使用し、調査をした。少しばかり情報を持つ程度の一般人から表に出てきてはいけない裏の人間など利用できるものは何でも利用した。その結果、普通の人では知り得ないメルフェスやそれに対抗する組織(DATという組織名までは知らない)とビークルの存在を知ることができた。

 しかし、DATは精鋭が集まった組織だ。私の不穏な動きを察知し、わざわざ向こうから接触をしてきた。

 あの日のことはよく覚えている。いつものように日常を送り、自宅で情報収集でもしようとした時、家のベルが鳴った。出迎えるとそこにはスーツを身に纏った五人男女と筋骨隆々のスキンヘッドの男--ゴルサップ司令が無言で立っていた。

 見ただけでわかる。どう考えても普通の人ではない。心当たりがあるから不気味なくらいすんなりと受け入れられた。

 これは口封じのために大金でも積まれるか? いや、それならマシだろうけど多分殺されるだろうと何となく思った。

 そんな不穏な展開が待っていると考えながらも私は家に招き入れた。

 よく両親が使用していた応接間に全員を通し、私の淹れたお茶を提供する。

 お茶に口をつけるとゴルサップ司令以外は顔がとろける。

 最高級の茶葉にお母さんに教わった淹れ方だ。美味しいに決まってるでしょ?


「初めまして。私は……ゴルサップ・ベインだ」


 一方で表情が全く変わらないゴルサップ司令はカップを置くと私をジッと見つめる。


「Mr.ゴルサップね。私は……いいえ、必要ないわよね?」


 そう尋ねるとゴルサップ司令は静かに首を縦に振る。


「それで、あなた達の目的は何? 資産? それとも私の命?」


「どちらかといえば……後者だ」


 予想通りの返答を受け、思わず笑ってしまった。

 別に後悔はない。自ら撒いた種なんだからもう仕方ないとしか思えなかった。

 

「流 麗華。君は……メルフェスをどう思う?」


「どうって……」


 全てを諦めようとしている私にゴルサップ司令が問いかける。

 もしかして、私の返答次第で結末が変わるの?

 それなら体の良い答えを言おうと考えた。でも、ゴルサップ司令の険しい目つきがそんな柔い考えを消し去った。

 まるで見定めるかのような目。私の奥底に眠る何かを探し出すかのようなそんな感じ。

 そんな真剣な目で見られたらそれに答えないといけなくなる。


「許せない。それだけよ」


「それは家族を殺されたからかい?」


「……否定しないわ。だけど、そのメルフェスというのは私の……みんなの幸せを奪うことが許せない」


 拳を固く握り締める。


「両親は町の人達を守る為に命をかけた。だから、多分……あの結果は仕方ないこと。だけど、メルフェスが暴れたからこんな結果になった。だから、メルフェスは許せない!」

 

 両親達の死はもう既に受け入れている。人の命をかけたのだ。都合よく生き残れるとは思ってない。

 だけど、メルフェスがいたから両親は命をかけ、死ぬことになった。それだけじゃない。故郷は荒らされ、数年は人が住めなくなった。人にとって当たり前の日常を存在しているだけで壊したメルフェスに怒りや憎しみしかなかった。


「君と同じ志を持つ男がいる」


 私の想いを聞いたゴルサップはお茶を一気に喉に流し込む。

 そして、立ち上がると私に向け、手を差し出す。


「もし、君の意思が決まっているのなら私達と共に来てくれ。DATの一員となって私達と共に戦ってくれ!」  

开玩笑吧(カイワンショーバン)!?」


 まさか、引き込むという展開に心底驚愕する。

 確かに知られたなら一層、仲間にして監視下に置いた方が手間にならないし、場合によっては駒として扱えるかもしれない。

 ……いや、ゴルサップ司令のあの目でそんなつまらないことを訴えていなかった。

 本気を目の当たりにした私に残された選択肢は一つしかなかった。


「ノブレス・オブリージュ。私は人の見本にならないといけないの。いいわよ! この流麗華! 人々を守る盾になるわよ!」


 そして、私はゴルサップ司令のスカウトを受け、DATの一員となった。

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