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鋼鉄の勇者 ヴァレッド  作者: 島下 遊姫
大地に聳える紅の城
101/117

 ディカーが爆発し、激しい爆炎が起き、黒煙が青い空に上っていく。

 生体反応も確実に消失した。グランヴァレッドは合体を解除。ブレイブジェッターに戻るとそのまま着地し、俺はコックピットを開け、外に出る。

 乾いた風を全身に浴びる。外に出て、戦闘による極度の緊張とストレスから開放されたことと、ディカーを倒したことの達成感で清々しい気持ちで一杯になる。


「やったな! ヴァレッド!」


『あぁ! かなり苦しい戦いだった! 私達三人が力を合わせたからこそ、手に入れた勝利だ!』


 そう。ヴァレッドの言う通りだ。

 きって俺とヴァレッドだけじゃ、決して勝てなかった。

 甲太の力があってこその結果だ。

 そんなことを言っているとドンピシャなタイミングで甲太が近づいてきた。

 そして、いきなり頭を下げた。


「勇気……今までは悪いことをした。本当にすみまなかった」


 開口一番、謝ってくるなんて真面目な甲太らしい対応だ。

 無論、今までのやり取りは水に流すつもりだ。甲太も甲太なりの気遣いで厳しい言葉を吐いて、突き放そうとしていたんだから。


「そんな頭下げなくていいよ。甲太なりの気遣いなんだから受け入れているよ」


「そう言ってくれると……助かるよ」


 すると、甲太が頭を上げる。その表情は憑き物が取れたような清々しい顔だった。

 そして、左手を上げる。


「改めてよろしく頼むよ。日登勇気。DATの一員として世界を守る力を貸してくれ」


「こちらこそ。よろしく頼む」


 俺は甲太の手を受け入れ、固い握手を交わす。

 一緒に戦ったんだから、今更かしこまらなくていいと思うけど、これは甲太なりのケジメなんだろう。


『甲太? 私は?』


 すると、左手のDATブレスレットからヴァレッドが仲間外れにはしてくれるなと割って入ってくる。


「お前とは相性が良くないから……」


『そうか……』


「嘘だよ。そんな落ち込むな。ヴァレッドもこれから一緒に頼むぞ」


『あぁ! 了解した!』


「……なぁ、ヴァレッド」


『なんだい?』


「いい相棒を見つけたな」


『あぁ! 最高の相棒だ!』


 この二人の相性はあんまり良くないと思っていたが今を見るにそんなの嘘にしか見えないくらい打ち解けている。

 甲太が変わったのかヴァレッドが変わったのか。いいや、二人が変わったんだろう。


「二人共、そろそろ行くぞ」


 随分と打ち解け、空気も解れた時、白鳥が呼びに来た。

 戦いが終わった以上、ここに長居する必要はない。

 それに島を出発してから一週間近く経っている。その間は波で激しく揺れる空母の固いベッドといつ起こされてもいいように気を張りながら固い地面に寝袋でしか寝ていない。

 早く帰宅して、安全な場所で柔らかいベッドでゆっくり寝たかった。

 俺と甲太は足早に各ビークルに戻ろうとするが、甲太だけは白鳥に呼び止められる。


「甲太。お前、助けた少女をコックピットに避難させたそうだな」


「間違った判断じゃない」


「別に咎める理由はない。ただ、機密上、顔がバレると色々とまずいのはわかってるだろ? 少女には甲太のことは今後一切口にしないと釘を差してある」


 説教というわけじゃないが、助けた少女をコックピットに匿ったことを気にしているようだ。

 俺達の存在もコックピット内部も機密情報だから、不用意に見せていいもじゃない。

 しかし、今回の件は仕方ないと白鳥も思っているようで厳しく叱ったりしない。


「それと。これだに」


「花?」


「少女からだ。助けてくれてありがとうと伝えて欲しいと頼まれた」


「……これは……嬉しいな」


 白鳥から渡された赤い花を受け取り、甲太は噛み締めるように言葉を紡いだ。

生きねばならない。

祈りの言葉は呪いとなり、心を縛る。

呪いに蝕まれた者はそう簡単に解くことはできず、

戦う力を奪う。

しかし、脅威は呪われし者のことなど関係なく、

深淵より這い出てくる。

流 麗花

彼女の力が必要な時、呪いを解くのは誰か?


次回 鋼鉄の勇者ヴァレッド


「呪縛を解き放つ蒼き槍」


荒れ狂う波を、貫け! マリンヴァレッド!

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