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先輩たちに呼び出されました

 数日後。

「マリアンヌさん?放課後、屋上に来てくださる?」と学園の先輩達が五人も教室まで来ました。


「ご用件はなんでしょう?」

「屋上で話すわ」


そう言ってバサリと長い髪を翻して先輩たちは去って行きました。



ふーん。



言いたいことがあって正当な理由があるならここで言えばいいのに。


私、放課後はお母さまとお菓子を焼いたり刺繍を習ったり、庭師のトムさんとおしゃべりしたり、ミーシャやララとも会っておしゃべりしたりしたいのに。そして本も読みたい。


てことで屋上には行かずにさっさと帰宅。

行きますなんて返事はしてないから問題ない。人の話をちゃんと聞かないと痛い目を見るって、お母さまも言ってたし。



そしたら翌朝。

教室の前に五人が集団で待ち構えてた。

なんだろこの人たち。一人じゃ何もできないのかしら。


「ちょっとあなた!昨日はよくもすっぽかしたわね。どういうつもり?」


わー。目がつり上がって形相が変わってる〜。


「わたくし、屋上に行くなんて言ってません。勝手に勘違いされたのはそちらの落ち度では?それに人目を避けるような内容でしたら私はまだ6歳なんでご遠慮します」


ちょっといたいけっていうかあどけない喋り方にしてみた。

通りかかる人たちは助けてくれる気は無さそうだけど、聞き耳くらいは立ててるだろうから。


集団で6歳の新入生をいたぶってるように見えるのがさすがに恥ずかしいのか、先輩たちが目に見えて落ち着きをなくしていく。


「あ、あなたね!カタリナ様がアレクサンドル王子にお茶会に誘われたからって、図々しくくっついて行ったそうじゃないの!身の程をわきまえなさいよ。田舎男爵の血筋の分際で。図々しいにもほどがあるのよ!」


あら?

お茶会に呼ばれたのは私で、お姉さまは私に付き添う現場監督っていうか指導責任者的な立場でしたが。

現場監督には脇腹を手刀で刺されましたが。



ちょっと小首を傾けて考え込んでたらキーッとなったらしいリーダー格の女の子が


「貧乏な田舎者だから何もご存知ないようですけど、あなたみたいな人はカタリナ様の迷惑にしかならないのよ。わかってるの?母親が母親だから娘も娘ね。図々しい。

由緒正しいカタリナ様のお家を乗っ取るつもりかしら?」

と続けてきた。


もー。

面倒くさい。

一気に反撃しちゃおうかな。



「あなたの発言は残念なことにあちこち破綻してます。私は王都生まれの王都育ちで、私が田舎者ならあなたたちも田舎者ってことですね。

貧乏貧乏繰り返してますけど、我がランドフーリア家の家計はまあ、そこそこだと思いますよ?

母の実家なら貧乏といえば貧乏ですけど、お金を稼ぐ能力が無いというよりおじいさまが必要以上に贅沢をする気がないから稼がないだけです。それはあなた方に何の迷惑もかけてませんが?」


「まあ!なんて生意気な!」


「歳の離れた私を相手にするのに五人も集まらないと意見も言えないような腰抜けの皆さんにとやかく言われたくありませんわね。


あと、おじいさまを侮辱するならその喧嘩、売値の倍で買いますよ?

おじいさまは軍馬も扱う牧場の血統管理責任者ですので。


皆様方のお名前を教えていただけますか?おじいさまが関係する馬は絶対にあなたたちの家には売らないように伝えます。


 王都で供給される馬は、元をたどればほぼほぼおじいさまの管理の下にありますの。おうちの方々はさぞかしお困りになりますわね。


今後は新しく馬を買いたくなっても買えず、原因が我が子の愚かな行いだと知ったらご両親はどうなさるかしら。叱られないといいですわね?


さあ!皆さんのお名前を教えてくださいまし!さあさあさあ!」


グイグイッと詰め寄ったら走って逃げていった。根性なしめ。



お母さま直伝の早口連続口撃を思い知ったか!


お母さまは弟妹を六人も抱えて貧乏を馬鹿にする奴らと戦ってきた女よ!戦いのコツならとっくに伝授されてるんだからね!

貧乏を馬鹿にされ続けたお母さまの怒りを思い知れ!


そしてあなたたち、カタリナお姉様のことも妹にやられる一方の能無しみたいに結果的に侮辱しちゃってるからね!


ふんっ!と腕組みしてあいつらの後ろ姿を睨んでいたら、クラスのみんなが目をキラキラさせて私を見ていた。


しまったわ。


あまり目立つと先々に委員とか生徒会とかナンタラ活動のリーダーとか面倒なことをやらされそうだから目立ちたくないのに。

ちょっと気をつけなくちゃ。




翌日以降、上級生の女生徒の間では「カタリナ様の妹は姉を利用して王子にすり寄る悪役令嬢」「王都の馬事情を把握して脅す腹黒令嬢」と噂されてるらしいです。

クラスの女子が耳打ちしてくれました。

素敵な耳打ちありがとう。


にしても、なんでそうなるかなぁ。


王子に頼んで真相を説明してもらう?

いやいや、王子に借りなんて作ったら恐ろしく高利になりそうで怖いわね。

高利貸しには近寄るなとおばあさまに釘を刺されてるのに。

もー。


王族とは関わりたくないわ。

関わってもいいことない。

庭師のトムさんとか料理長のジャクソンさんとかと関わりたい。

あと、商会のミーシャとか洋品店のララとかね。



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コミック『超!!! 天才発明令嬢のパワフル領地改革1・2・3・4・5巻』
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