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セントマーカス学園

 私が今日から通うのはセントマーカス学園。


「平民も貴族も共に学び共に飛び立て」がモットーの開かれた学園。


 創設者のマーカス侯爵は実力主義の方で「国の未来は身分によらず実力によって築かれる」と言う素晴らしいお考えの持ち主だったそう。


 さて、「共に学べ共に飛び立て」と刻まれた大きな正門の前の馬車止めで馬車を降りると、お姉さまは「じゃ、失礼するわ」と行ってしまった。


 えええー。


 私、初めて来たからどこがどこやら。

でも、ま、仕方ない。


 受け付けを探して名前を告げ、書類と教科書を受け取った。従者が受け取っている人もたくさんいたけど、私は一人で出来るから大丈夫!


 ゾロゾロ門を入ってくる生徒たちはみんな同じ制服を着ている。でもその人が貴族か平民かはスチャラカな私でもなんとなくわかる。


 スチャラカっていうのはお母さまの口癖で「マリアンヌのスチャラカは私譲りね」ってよく言われる。


 え?貴族と平民の違い?

それは姿勢とか?雰囲気とか?

んー。うまく言えないけど。とにかくスチャラカにもわかる。



 私の行く教室はどこかなーと受付で渡された書類を立ったままパラパラとめくっていると


「教室の場所がわからないの?新入生だろう?」

と声をかけてきた男の人がいた。


 黒い髪は前髪以外は短めで、やや長めの前髪はハラリと落ちていて額を隠している。

同じく黒い知的な瞳はキリリと涼しげに切れ長で。


(うわー。うつくしー!)


 思わずあんぐりと見惚れていると声をかけてくれた男の人が笑って「君は一般コースかな?」と聞いてきた。


「いいえ。残念ながら私は学術コースです!」

と返事をしたらその綺麗な男性はちょっとポカンとしてる。

黒髪さまの隣から明るい茶色の髪の男の子が笑顔で黒髪さまに話しかけた。


「あはは。おまえ間違えたようだよ。失礼したね、可愛いお嬢さん、お名前を伺ってもいいかな?俺はダリル。君のコースを間違えたこいつはアレックス」


「マリアンヌです。マリアンヌ・ド・ランドフーリアです。どうぞよろしくお見知りおきを」

スカートをちょんと摘んで後ろ脚を引くカーテシー。ちょっとぐらついたけど、まあ合格だと思う。


「ランドフーリアって、カタリナの…。失礼した。僕はアレクサンドル・ド・ロマーン。今後ともよろしく頼む」


 ロマーン…。

って、ロマーン王国の?王族の?ひえええ。

アレクサンドルって、第二王子の?

うわー、本物の王子様なんて初めて見た!

うーわー。キラキラしてるわー!



「くっくっく。君、心の呟きが全部漏れてるよ」

茶髪さん(お名前を忘れた)に大笑いされた。


「マリアンヌ嬢、学術コースの一年生は正面の突き当たりを右だ。遅れないよう気をつけて」


 アレクサンドル王子に促されたのでペコペコお辞儀をして小走りに離れた。


 貴族か平民かはなんとなくわかる私だけど、私は平民に見えたらしい。

ま、仕方ないか。

 私って、伯爵のお父さまより貧乏男爵出のお母さまに似ちゃってるものね。


 チラッと振り返ったらお二人はまだ同じ場所にいて、私と目が合うとお二人とも笑顔でヒラヒラと手を振ってくれた。

同じく私もヒラヒラと手を振ったけど、あれ?もしかして王族にこんなことしたら不敬になるのかな。


 まあ、殺されることはないわよね。


 そう思いつつ正面を見たらお姉さまが二階の通路からこちらを見下ろしていた。


(お姉さま〜)と手を振ったけど、フイと視線を逸らされた。

相変わらずだわぁお姉さまったら。

ミーシャが言ってた通りに氷の姫君だわー。





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コミック『超!!! 天才発明令嬢のパワフル領地改革1・2・3・4・5巻』
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