おれ、くのいちです
くのいち王子は13歳で冒険に出る。 @短編その62
異世界転移した超能力者が王子のニンジャとなって戦い、たまに夜中耳に思いの丈を囁くが姿は見せない!だってニンジャだから
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可愛い男装護衛が異世界の旅人で忍術を教えてくれるし旨い飯も食わせてくれるから毎日が楽しい(王子視点)
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異世界道中ニーマロン
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異世界道中膝栗毛4代目
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・・・のスピンオフ。多分、続く。(そのうち)先に読むと良いと思われ。
おれのばあちゃまはくのいちだった。
くのいちとはなんだ?だと?
くのいちはくのいちだ。護衛、隠密、暗殺お手の物だぜ。
ばあちゃまを尊敬していたおれは、その技を教えてもらった。
そしてばあちゃま手製のくのいち衣装も作ってもらった。
「これでおれもくのいちだね!」
「いや、お前は男だからニンジ「わーーーい!!くのいちだ、くのいちだーー!!」
「こら、ニッコゥ。最後まで聞かないか「じっちゃまもありがとーー!やったーー、これでおれもくのいちだーー!!」
おれは衣装を着て、大満足だ!!じっちゃまとばあちゃまも笑ってこちらを見ている。
「人の話を聞かんのは、誰に似たのやら」
「はて」
「とぼけるんじゃない。まったく・・・お前のは忍術じゃなくて、超能力だろうが。お前も女だからくのいちなのにニンジャと。あと、プロレスの技、だったな」
「ちゃんと直したじゃないですか、くのいちにー。あの子なんでくのいちって言ってるんでしょうねぇ」
「尊敬するお前イコールくのいちなんだろう?なぜニンジャに直してやらなかったんだ」
「・・・うふふ、気持ちが嬉しくて」
「あいつが恥を掻かなければいいんだけどなぁ・・男なのにくのいちって言って」
じっちゃま達が何か話しているけど、ちょっと聞こえないなぁ。まあいっか。
おれはくのいち衣装がうれしくて、そのまま城に戻った!
じっちゃまとばあちゃまがおれを見送ってくれた。
じっちゃまは今は引退したんだけど、このサントス王国の王様だったんだ。で、ばあちゃまはくのいちで王妃様だったんだ。
しかも異世界の転移者だ。じっちゃまに見初められて、結婚したんだ。
ばあちゃまはちっちゃいのにすごく強いんだ。魔法でなくて、くのいちの技を繰り出すんだ!
おれもちっちゃいころからばあちゃまに鍛えられたんだぞ。
魔法よりもすごいんだぞ!
「ニンニ〜〜ン、ニンニ〜〜〜ン」
これはばあちゃまの口癖、というかルーティンというらしい。いつものタイミング、精神集中っての?
このリズムで進めると、なんかうまくいく。だから『ニンニ〜〜ン』って言っちゃうんだな。
城壁もたったかた〜と垂直に駆けて行き、そのまま天井も駆け抜ける。
「お、王子様!!危ないです!!」
「え?なに?」
俺は天井に足の裏を付けて立ち止まる。ぶらーんと天井にとどまった状態だが、落ちない。
さすが、ばあちゃま譲りのくのいち技だ。
でも兵達は驚いたようだ。唖然としておれを見上げている。
「ニッコゥ殿下、お父上がお呼びですよ」
「あ!タリアテッレ!」
タリアテッレはエルフだから、長生きなんだ。じっちゃまが王子の頃からお付きだったんだ。
今はおれに付いてくれている。
じっちゃまが言うには、じっちゃまが20歳頃から全然変わらないんだそうだ。
すごく背が高くてイケメンだ。近衛騎士団長だけど、最近は後輩の教育に力を入れている。
「あまり長く出張ってはいけませんからね。後輩に譲っていかなければ。そろそろ中年の域ですから」
この前、じっちゃまがタリアテッレに『そろそろ相手を見つけては?』と話しているのを見ちゃったんだ。
お相手・・お嫁さんだね?タリアテッレ御歳277歳。エルフの寿命は350〜400歳くらいだ。
よぉし!!おれの旅の目的は決まった!!
タリアテッレのお嫁さん探しだ!!同じエルフの女の人を見つけるぜ!
おれの国は、13歳になったら親元を離れ、一人旅をして修行するのが慣例である。
有名な『ニーマロン(道中記)』を手に、おれも『ウマ』(乗り物の動物の通称)に乗って旅立つ。
『ニーマロン』の著者はドラゴンに乗って旅をしたそうだ。
おれはくのいちだ・・・くのいちに相応しい『ウマ』はなんだ・・・?
ガマだ。ガマこそ、くのいちの乗り物だ・・!!
「ガマ探そう・・・」
父上は猛反対した。巨大ガマなんか街に行ったら大迷惑だと。それと、父上は俺に『ウマ』をプレゼントしたかったらしい。有名な『ニーマロン』の著者と同じくドラゴンを用意していたそうだ。『ニーマロン』の著者が書いていただろう?ドラゴンでの旅は、とても大変だったと!ドラゴンを休ませる場所、大量の餌などの手間がかかるから、やはり馬で行きたかったって!
普通『ウマ』は父親が息子に買い与えるならわしだ。
だがおれはくのいちだ。くのいちにはガマだろう。
おれは探した。
でかいガマを。おれの『ウマ』を捜す!!
見つけた。でかかった。そして、頭が悪かった。おれを餌と間違え・・いや、餌以外認識しなかった。
なので諦めた。水無しの道を進むと、水気を求めて俺の血を吸おうとするからな・・・
『ウマ』を何にすればいいか、ばあちゃまに相談した処・・
「じゃ・・凧なんかいいんじゃないかね?」
それを忍法で浮かせて空を飛ぶ。・・・かっこいいっ!!
おれはばあちゃまに作り方を教わり、大凧を拵えることにした。餌や場所を必要としない、おれの忍法が原動力。
手軽だ・・・さすがばあちゃま。
俺は早速凧の制作に取り掛かった。
「私の世界で人気だった凧はこういう形だよ」
ばあちゃまが描いた絵は、まるで蝙蝠の羽のような形だった。
「ゲーラっていうんだよ。よく飛ぶよ」
目のような模様も付けて完成だ。
俺は早速ゲーラを背に背負い、忍術で空に浮き上がる。
ばらばらばら!!
風に凧の薄皮が勢いよくはためくので音がする・・・ちょっと煩いかな。
でもフワッと浮いて・・・おおお!!凄く良く飛ぶな!すごいぞ、ゲーラ!!
強度と軽量を考えた、
ドラゴンの骨とドラゴンの腹の薄皮で作ったゲーラ。空に馴染むように水色に塗装をした。
よし!準備は万端だ!
13歳の旅が、はっじまるよ〜〜!
旅のお供に、『ニーマロン』。道中膝栗毛、旅行ガイドの事だ。2年前に発行された最新本である。
著者のひい爺さんが、『ニーマロン』初代著者で、彼で4代目なのだ。
今作はグルメ本に特化していて、13歳で旅するみんなの愛読書だ。これ、大事。
ここに書かれている『コリオーロ』が、もう美味そう!まずはこれを食べる!
おれのウマ、ゲーラは空を行く行く・・・
風が強くなったら、忍術で風向きを流し・・のんびりと進む。
ああ、気持ち良いなぁ・・・
がさがさがさ・・・!!!
うわ!!なんだ?
ああ、森に突っ込んじゃったか。ついうとうとしてたからな。
ゲーラはバラすことが出来るので、引っかかった木切からバラして外す。
そして木から降り、森を抜けてからまた飛ぶ事にした。
森・・・抜けれない。かなり森の奥に不時着したようだ。
ここ、どこかな?
お。こんな森の奥に、小さなお家がありますよ?
赤ずきんちゃんのおばあさんのうちかなー?なんてね。
こんなところで住んでいる人いるのか?ちょっとお宅拝見・・・コンコン、とノックして。
「すみません、どなたかいますか」
「・・・だれでしょう」
「いた!!」
思わず声出てしまった・・
中の人が出てきたぞ。って!!美人だな!!
「もしや、エルフさんですか?」
「ハーフエルフです・・・」
「うわ!もう目標達成かよ!!来てください、おれと一緒に!!結婚して欲しいんです!!(タリアテッレと!)」
「え?え!えええ!!」
「さあ、来てください!!幸せにしますから!(タリアテッレが)是非!!」
「あ、あの!私、ハーフなだけでエルフなので、もう100歳ですし!」
「適齢期じゃないですかーー、貴方なら大丈夫!きっとみんな気に入りますから!!」
「あ、貴方のような子供では・・私とは」
「え?結婚するのはおれじゃないですよ、何を言ってるんですか。いくらなんでも、13歳が100歳と結婚はないわー」
ばしん!!!
どうして叩かれたんだ・・・
なんとかして(忍術でふん縛って捕獲し、ゲーラに括り付けて国まで飛んだ)戻り、タリアテッレに引き渡した。
タリアテッレは苦笑していた。ものすごく困った顔をしている。解せぬ。
こんな美人をとっ捕まえ、いや連れてきたというのに・・顔が好みでは無かったのか?
ん?なんか、そわそわしている?タリアテッレ、どうやら気に入ったのかな?
「殿下・・無理に連れてきてはいけませんよ・・・お嬢さん、大丈夫でしたか?」
お嬢さん・・サリペリは顔が真っ赤だ。そりゃ、タリアテッレだからな!高身長のイケメンだからね!
「あ、いいえ・・・王子様とは思いませんでした・・あの、タリアテッレ様・・」
「・・・はい」
「王子様は、あなたと・・・その・・」
「私はエルフで、アラサーどころかアラサウザンドですけどね・・私で良いのですか?」
「あ・・はい・・私で良ければ」
二人は見つめ合って、手を繋いでいる。早いな!長命のくせして会ってすぐかよ!!
いや、良い言い方・・一目惚れ、って事で!
そしてふたりは連れ添って行ってしまった。タリアテッレにしては、そわそわしてたな・・
まあ、タリアテッレは女っ気無かったからな。早く拵えれば良いと、父上もじっちゃまも言ってたし。
今夜はお楽しみ、盛っても仕方がないね!サリペリさん、胸もたゆんたゆんだったしね!
翌日、あの無遅刻無欠席を100年以上続けていたタリアテッレが!!
・・・ちゃんと出勤していましたーーー。ちぇ。
でもなんか、ツヤツヤしています。そこそこお楽しみだったようです。
速攻で婚姻を結ぶ気満々です。逃げられないようにするようです。ガンバレ!!
これを逃したら、エルフの嫁など現れないかもしれんからな!!長く連れそうには同じエルフ系!
というわけで、おれの旅の目的が終わっちゃったのかな?
当日でクリア?えええ〜〜〜・・・
「ニッコゥ、じゃあ私が勅命を言い渡そう。最近魔物が頻発して大量発生している。それを調べてまいれ」
父上とじっちゃまが、いつになく真面目な顔で告げる。
でも、おれはくのいちだ!!
勅命に准ずるのも、くのいちの使命!!
最近おれの国はまだ直面していないけれど、近隣諸国では魔物やモンスターが大量発生して被害が多発しているんだ。ここから遠い国では、大厄災・・スタンピードで壊滅したと聞いている。
「かしこまりました、父上、じっちゃま!ニッコゥ、行ってまいります!」
新しい目標というか、マトモだな!!
王子の旅に相応しい任務!ぴったりだな!
では、ゲーラに乗って、仕切り直し。いってきまーす!!
むかしあった凧、ゲイラカイト。ゲーラと書いた。
タイトル右の名前をクリックして、わしの話を読んでみてちょ。
4時間くらい平気でつぶせる量になっていた。ほぼ毎日更新中。笑う。
ほぼ毎日短編を1つ書いてますが、そろそろ忙しくなるかな。随時加筆修正もします。