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私は貴方を許さない  作者: 白湯子
第4章「好奇心は猫をも殺す」
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72話



『〇月✕日


明日はお城でピアノの発表会。


でも、1回も上手く弾けたことがない。


どうしよう、お母様に怒られちゃう。』



『〇月✕日


やっぱり失敗しちゃった。


お母様にいっぱい怒られたけど、いいこともあった。


絵本みたいな、キラキラの王子様に出会ったの!


甘い匂いがするお花もくれたし、かっこよくて、優しくて、あんな人初めて!


モニカが教えてくれたけど、お花の名前はカモミールっていうんだって。


カモミール、カモミール、カモミール。

うん、忘れない。


王子様に、また会いたいな。』



『〇月✕日


王子様は本当に王子様だった!


お勉強をいっぱい頑張れば王子様に会えるって、お母様が言ってた。


いっぱい、いっぱい頑張ろう。』



『〇月✕日


王子様から貰ったお花、枯れちゃった。


哀しい。


凄く、哀しい。


枯れないで、ずっと咲いていれば良いのに。


どうして、枯れちゃうんだろう。


哀しい。』



瞬きさえも忘れて、私は黙々とその拙い字を目で追いかける。



『〇月✕日


今日は王子様に会うことができた。


本当は駆け寄りたかったけど、それははしたないから我慢した。


はしたないことは悪いこと。王子様に嫌われちゃう。


遠くから見ているだけでも、今は幸せ。

いつか、色々とお話できたら良いな。』



『〇月✕日


王子様は、とても忙しそう。私に構っている暇はないみたい。


私も王子様を見習って、頑張ろう。』



その拙い字はどんどん見覚えのあるものに変わっていく。それは、記載者の成長を意味していた。



『〇月✕日


今日もあの人は忙しい日々を過ごしている。最近、陛下から一部の政務を任されたみたい。


膨大な量の政務を次々と片付けていく姿は、とっても素敵。心から尊敬する。


私も頑張らないと。次はデューデン語を勉強しよう。』



『〇月✕日


今日は、ずっと楽しみにしていた社交界デビューの日だった。


色々とトラブルはあったけれど、無事に参加出来て良かった。


でも、久々にお会い出来たあの人は、何だか素っ気なくて、目を合わせてくれなかった。


頑張ったつもりだったけれど、まだまだ私の努力が足りないみたい。


早く彼に認めて貰えるように、もっと頑張ろう。』



『〇月✕日


あの人との婚約が決まった!


嬉しい!それ以外の言葉が見つからない。


今日は素敵な夢が見られそう。』



ページを捲るたび心臓が激しく脈打ち、身体を訳もなく震えさせた。それに伴い、呼吸の乱れも生じる。


苦しい、息ができない。

体内に酸素を上手く取り込めず、意識が朦朧としてきた。

それでも、字を追うことは止められない。



『〇月✕日


あの人から、サイズの合っていない華美なドレスが届いた。

母と使用人たちは喜んでいたが、私のことなんて微塵も考えていない事務的な贈り物に悲しくなる。


今までも、定期的にダイアやエメラルドなのどの宝石を送ってくれたが、サファイアの宝石だけは決して贈られることは無かった。


婚約は許しても、心は許さないと言われているみたい。』



『〇月✕日


今日は豪華な薔薇の花束が贈られてきた。


メッセージカードは白紙。何も書かないのなら、わざわざ入れなくてもいいのに。


昔のように1輪のカモミールを差し出してくれることは、もうないのかな。』



『〇月✕日


陛下から、あの人に国境視察の命が下った。


国境付近は、治安が悪いと聞く。そんな所になん月も滞在するみたい。


魔力の無い私がいくら願ったところで、何も変わらない。それでも、あの人が無事に帰ってくることを願う。


神様、どうかあの人のことをお守りください。』



私はこの日記の結末を知っている。



なぜなら、この日記を書いたのは…






















「何をしているのですか?」



突然、耳元で優しく囁かれた。




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