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第7話 ポケベル!


「ごちそうさまでした!」


 俺は食器をまとめ台所に向かった。


「へー、勝手に洗い物しちゃう感じですかぁ。おじさんって意外とやり手?」


「まさか! 親に口うるさく言われて育っただけだよ」


「ふーん! マザコンですか」


「ちょっ!」


 幸せだぁ! 温かい時間が流れる。



「あ、そーだ!!」

 何やら棚をゴソゴソしている。


「あった! これあげます!」


「こ、これは?」


「ポケベル? ですかね! 連絡取れないと不便ですからね。スマホ買うまでの繋ぎとして持ってて下さい!」


「ポケベル?!!」


「なんかぁ、スマホ買った時に持ってるだけでお得だからって言われて、買っちゃったんですよね! 実質無料?的な?」


あー、なんかそういうのあったな。でもポケベルって! あのポケベルか?!


「いいの? 利用料金とか……月額料金とか……」


「使い放題プランしかないので、使っても使わなくても同じなんですよぉ! 実質無料? 的な」


 あー、あったね。そういうの。


 ピピピッ


 おおっ! 鳴った! あ、クマがピースしてる! カラー液晶でスタンプまで受信出来るのか。すげぇ……化学の進歩すげぇぇ!!


「えへへ! それ、あたしです! 登録しておいて下さい!」


「う、うん!!」


 よーしっ! 俺も送るぞ!!

 あれ? ん? あれ?


「それ受信しか出来ないので」


「な、なるほど……。」


「あたしが用事ある時に連絡するので、肩見放さず持ってて下さいね! 既読は付くので、使い勝手はいいと思います!」


「う、うん!」

 使い勝手がいいのはあなたですけどね!!

 感慨深いぞこれは……。

 しかもスケルトンピンク!! めっちゃ女の子カラーなんですけど!!



「あれ? 充電器とかは?」


「本気で言ってます?」

「当たり前でしょう?!」


「おじさん、本当に何も知らないんですね……。」


 そうだよ! 知らないよ!! よぉし! 色々教えてもらうチャンスがついに来た!!




 ……しかし、アナログ過ぎる俺は全く理解出来なかった。


「わかりやすく言うと、使っても電気が減らない! もうこれでいいです」


「なるほど! すごいわかりやすい!!」


電気の謎は解けた! 他にも、他にも聞きたい事はいっぱいあるぞ!この世界の事! 何から聞こうか!!



「そろそろ寝支度するので、いいですか?」


「う、うん」

 もうそんな時間か……。とりあえず今日は寝るか。明日もあるし。



 …………


「はぁ?」


「えっ?」


「いや、帰って下さいよ。まさか泊まる気ですか?」


「ま、ま、まっさかぁ!」



「明日、12時に家来て下さい!」

 可愛らしくグーポーズをしてくるので、俺もグーポーズをしてジャスティスハウスに帰る事にした。


 パチンッ


 ◆


 俺は天井をボーッと見上げている。そして気付く。


 あ、名前聞くのまた忘れた。



 ピピピッ〜2番目に可愛い子


 クマがベッドに入ってる!!

 よぉし! なんて返そうかなぁ


 って受信専用じゃねーか!!



 しかし、このポケベル。中々に便利な物だ。時間がわかる上に天気予報までわかる。

わざわざ外に出なくてもジャスティスハウス内で時間がわかる。これは素晴らしい。


 そして、天気予報。月間まで見れるのだが、全部晴れ。おかしい。明らかにおかしい。

 俺はまだこの世界の事を殆ど知らない。明日こそ、明日こそ……


 明日こそあの子に名前を聞こう。


 ◆


 ピピピッ


 な、なんだ?ポケベルか……。

 ハッ寝坊した?


【おはよ!今起きましたぁ〜!】

 クマスタンプ。


 って、おはようかい!!


 今何時だよ、


 8時……?! まだまだ寝れるじゃないか……。


 ポケベル……めぇっ。俺の睡眠を……。


 はぁ。早起きは三文の徳だっけか。

 今日は面接だしシャキッとするか。



 ──仕事を決めて生活の基盤を立てるんだ!! 立派な社会人に、俺はなる!


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