はじまり4
「はい!ここが今日から君が住む寮だよ。」
そう言ってロイスが指した先にはこれまた立派な白い建物があった。
「すごいね…。ここも…。」
また驚いているヨイチにロイスは、
「大丈夫!ここも住んでいくうちにすぐ慣れるよ。」
「じゃあ案内はこんなものかな。明日また授業が始まる前に迎えに来るね!」
と言って笑顔で手を振り去っていった。
「あっ、行っちゃった…。」
ロイスが行ってしまいどうしようか迷ったヨイチはとりあえず寮のなかに入ることにした。
ヨイチが寮の扉を開けると、
「新入生の子だね?」
と言ってやさしそうなおばさんに声をかけられた。
「はい!ヨイチです。」
「よろしく!わたしはこの寮の管理人をやってるマチルダってんだ!わからないことは何でも聞いておくれ。」
「よろしくお願いします!」
「じゃあ、とりあえずあんたを部屋に案内するから着いておいで!」
「はい!」
そうしてヨイチはマチルダにつれられ自分の部屋に着いた。
「ここがあんたの部屋だよ。」
部屋の中は広すぎるわけでもなく、机やベッド、浴室など生活に必要なものは全て揃っていた。
日当たりもよく、素朴な感じもするこの部屋をヨイチは一目で気に入った。
「僕、この部屋すっごい気に入りました!ありがとうございます。」
ヨイチがお礼を言うと、マチルダは
「そりゃよかった!そんじゃ次にここでの生活について説明するよ。」
と言い説明を始めた。
「まず起床は8時。起きたら一階におりてきておくれ。
そこには食堂があって、ここに住む全員で朝食をとることになってんだ。
学校は9時から16時まである。その間は真面目に授業を受けるだけでいい。
学校が終わった後は自由だが、寮の夕飯の時間もあるから20時には戻っておいで。
ここまでで何か質問はあるかい?」
「大丈夫です!」
「そうかい。まあ、またわからなければその時に聞いてくれていいからね。」
「あんた、これから大変だと思うけど頑張んなよ。」
マチルダは意味深な言葉を残して去っていった。
「はあ~。」
一人になったヨイチはベッドに飛び込み、ここに来るまでのことを振り返った。
(すごいところに来ちゃったな…。
建物はきれいで、広くて、豪華で、僕なんかが手が届かない人がたくさんいるし。
でもロイス君もマチルダさんもいい人そうで安心したな。)
そうして色々なことを考えているうちにヨイチはいつの間にか眠ってしまった。