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第01話『他にも登場人物がいるがストーリー優先で』

 前回のあらすじ。一応主役級の登場人物は駆け足で紹介済み。登場人物一覧は今の話が終わってから作ります。というわけで、本日のロックブラストの奇妙な日々~。

『言わせないわよ!! 完璧パクリじゃないっ!!』

 うるさいよ。バイト先にいる某社員よりうるさいよ。……いや、お前の方がまだましか。

『いや知らないわよそんなの』

 まあ今回も話の量を増やしたにもかかわらず、全然進まないのだが勘弁してください。というかどんだけパパッと進めてたんだ、俺。進み一緒でも前の二作より長いぞこれ。

『いいから始めなさいよ』

 ええ、前話より若干短いのにきりがいいから終わらせたので、急遽でっち上げていたのに……まあいいか。というわけで思ったよりも早く書き上げた第01話、どうぞ。




第01話『他にも登場人物がいるがストーリー優先で』




 既に顔見知りなことも大きく、ユイとミクサの主従コンビはあっさりとメルト達に加わることとなった。そこで出たのが、他にも人数がいるかという相談である。

 ひとまず5人はテーブル席の一つを囲うように座り、そこで相談を始めていた。

「俺も聞いてはいるが、そこまで警戒することか? この辺りの賞金首に高額な奴は居なかった筈だが」

 そうユイは手に持っていた手配書の束をテーブルの上に叩きつけた。

 手配書は大抵、近くを根城にしている盗賊の首領や逃亡中の犯罪者、人里から離れて生息しているが危険だと判断される生物に対して、国やその土地の領主が掛けるものだ。緊急や逆にあまりにも遅い場合は傭兵ギルドに依頼されるが、討伐系は基本、この手配書を参考に依頼料を定めている。

 ちなみにユイが叩きつけた手配書は・・・・・・ある盗賊の元締めとその幹部だけだ。いや平和だねぇ。

「わっちも最初はそう思いんしたが、どうも・・・・・・魔道具(マジックアイテムが関わっとるらしくてのぉ」

 そうアトラが続けた。

 この世界には魔法が存在する。巻物(スクロール)と呼ばれる道具の形をとり、それを使うことで体内に取り込み、その巻物に書かれた異能を行使できるというものだ。その力は嘗て、この世界に存在した魔法の名残であるといわれている。その証拠に使い捨ての割には数が多く、またピンキリの激しい代物でもある。

 対して魔道具とは、古代文明の遺産ともいえる魔法を基に作成されたものであり、巻物とは違って条件が揃えば誰が何度でも、その道具に宿した力を使えるというものだ。作成自体は容易だが、際立った用途となると作成者の腕に左右されてくる。むしろ魔法の記憶が残っている分、古い魔道具の方がより魔法に近いと言われているほどだ。

 ちなみに回復薬の類も、広義的には魔道具に含めても差し支えない。使い捨てである点を除けば、だが。

「もしかしてそれを・・・・・・盗賊が拾ったとか言うオチじゃないだろうな?」

「惜しいの、誰かが渡したらしいのじゃ」

「命惜しさに、ということですか?」

 そう答えたのはミクサ。普段は奴隷とかで床の上に座るかユイの後ろに立っているが、今は同じようにテーブルについて何かをすり鉢ですり潰している。言葉を挟んでもその手が止まることはなかった。

「……何してるの?」

「お仕事です」

 シャーリーの問いかけにも、ミクサは仕事としか答えなった。『休暇中』の時は結構気安い仲だが、奴隷の間はこんなものだ。まあ、シャーリーも知った上で付き合っているのだが。

「詳しくは分からぬ。……じゃがそれを使って、結構派手に暴れているらしいのぅ」

「成程な……」

 詳細を知らなかったメルトも、アトラの話を聞いて少し真剣に頭を捻った。まあ、精々装備を整えるくらいだろうが。

 ユイも同じ結論に至ったのか、テーブルから立ち上がって外を向いた。

「ちょっと装備を整えてくる。それでもきつそうなら鉱山の方で誰か誘えばいい。……異存は?」

「ない、それで行こう」

 話は決まり、全員が立ち上がった。ミクサだけは慌ててすり鉢諸々を片づけているが、残りはさっさとギルドを出た。

「丁度通り道だ。宿の前で待っててくれ」

 そう言い残してから、ユイは(奴隷をほったらかして)宿屋へと歩いて行った。メルト達も荷馬車を出しているが、人ごみがある分、歩いた方が速かったりする。

「ユイ様待ってぇ!!」

 荷物をまとめてバタバタと駆けていくミクサ。若干すりつぶしていた粉をまき散らしているが、それすらも意に介さないかのように。

「・・・・・・後で逆さ吊りに合うに銅貨1枚」

「全員同じだから賭けにならねえよ」

 濃い付き合いを一度でもすれば、たとえ短くても人となりや関係性が見えてくるものだ。

 メルトはシャーリーの戯れ言を流し、さっさと御者台に腰掛けていた。

「いや、わっちは別の罰に銅貨1枚払いんす」

 しかしアトラは違ったのか、シャーリーの賭けにあっさりと乗った。どっちにしてもミクサがシメられるのは確定なのな。

「じゃあ奇跡が起きて、ただの荷物持ちに同じく1枚。さっさと行くぞ」

 メルトは連れ二人を急かして乗せ、ユイ達が寝床にしている宿へと向かった。

 あ、俺は適当な武器の的になるに予定レポート数1本追加で。

『なんかだんだん、この小説があんたの日記と化している気がするんだけど』

 気のせい気のせい。




 賭けはアトラの勝ちだった。宿に着いたメルト達は既に準備を終えていたユイ達と合流した。

 布に包まれた細長い武器を担ぎ、巾着をいくつか腰に括りつけたユイを荷馬車に乗せ、一行は鉱山へと向かった。

 ロックブラストの鉱山は山岳地帯にあり、一度この国を出ないとならない。国の外に国土を持った弊害である。故に実質自国領とはいえ、外は無法地帯と何ら遜色がない。

 だから移動中は護衛が必要となるし、工房を引き継いだ当初はメルトだけだったので無駄に腕が上がってしまったのだが。まあ、技術面の大半は、俺の横で浮かんでいる幼馴染み幽霊の仕込みなのだが・・・・・・あれ、これまだ言ってなかったっけ?

『・・・・・・いやいやいやいや、その前に大事なことがあるでしょう?』

 大事なこと? 賭けの結果は言ったし、鉱山やユイの装備についても触れた。若干余所様のネタがかぶってるんじゃないかとも思ったが、よくよく考えたらベクトルが違うから問題ないはずだし・・・・・・ああ、そう言えば以前二次創作の方で出していたキャラはモデルにして、別キャラ作る予定だから大元には怒られないよ。

『そうじゃなくてミクサ!!』

 ・・・・・・ああ、忘れてた(ポン)。

『ちょっと!?』

 いやぁ、キャラが増えるとどうも日に当たらない奴が出てきてさぁ、大量に登場人物増やしている人とか、どうやって物語り回しているんだろうな?

『プロットまじめに書けっ!! いつも書いてるアイデアメモじゃなくてっ!!』

 失敬な、あれでも立派なプロットだってのに。

『書かなきゃメモと一緒!!』

 はいはい、分かったよ。ったく・・・・・・

 ミクサだっけ。あいつなら今頃荷馬車に引きずられているよ。首に縄付けた状態で。

『雑っ!! あと微妙に酷いっ!!』

 ・・・・・・『微妙』なのか?

「・・・・・・ユイさんよ。そろそろ引き上げてくれないか。これじゃあ夜までに帰れないだろうが」

「しょうがないな。もうちょっとシメたかったんだが、仕方ないか」

「ぜぇ・・・・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」

 首に縄を巻かれて、その先を荷馬車か何かで引っ張られた時、人間ってどうすると思う? それは当然、荷馬車に遅れない速度で走り続けることだ。そうしないと引き回しの刑が待っているのだから。なので引きずられているというのには若干語弊がありましたことを、謹んでお詫び申し上げます。

『いや、今迄の悪行についての謝罪は?』

 ・・・・・・どれ? 心当たりが有りすぎて分からないんだけど。

『地獄に堕ちろっ!!』

「・・・・・・地の文と会話分の区別を付けた方がいいと思う」

「何を言うとるのじゃ、ぬしは」

 汗だくで大の字になって寝ているミクサの身体を拭きつつ、シャーリーが漏らした一言に律儀にツッコむアトラ。既に国の外に出ているため、視界は人混みと建築物から、静かな自然と盗賊達に入れ替わっている。・・・・・・あ、盗賊だ。

『軽いな』

「あれか? 例の魔道具を手に入れたとか言う連中は?」

「さてどうだか。・・・・・・ひとまず様子見でもするか?」

 そう言ってユイは布包みを抱え、メルトとアトラは各々武器を構えた。シャーリーは我関せずと板切れでミクサを仰いでいる。

 盗賊はリーダーが1人と部下が6人と、明らかに規模が小さかった。この辺りでは20人規模でも成功するかどうかが分からないというのに。その状況が、連中が魔道具を持っていることを物語っている。

「よしそこの連中、止まれ……ってげっ!? 錆びれ銀髪と腐れ狼っ!!」

「え、お前等の知り合い?」

 配置的に後方にいる形になっているユイが、メルトとアトラの背中に問いかけた。というかその悪名で人物特定するって、どんだけ濃い付き合いしてんだよお前等?

 二人は顔を見合わせてから、互いに指差し合い、そのまま盗賊の方を差す。

「……こいつと出会った頃にぶちのめした盗賊だ、多分」

「この辺りを通るとよう襲ってくる輩じゃ、多分」

「全部俺だっ!!」

 どうやら撃退した盗賊の顔を覚えてなかったらしい。まあ、誰も覚えないよな、いちいち突っかかってくる雑魚の顔なんて。

「の割には規模が小さいじゃないか。とうとう子分共に愛想尽かされて逃げられたか?」

「はんっ! 俺達ゃ元々少数精鋭だ!!」

 あれ、この連中確か、アトラが前に(じゃんけんで負けて)追っ払ってなかったっけ? 20人程を相手にしてかつ、古今東西しながらの片手間で。

『そういえばシャーリーが負けて愚痴られたっけ。夕食奢らされたとかで』

「……突っ切らないか? あいつ等なら魔道具使ったってどうせ大したことできないだろうし」

「賛成の人~」

 メルトの意見にユイが多数決を取った。結果、グロッキー状態のミクサ含めて満場一致、賛成なのでそのまま突っ切ることにした一同である。

「というわけで突撃~」

 まったくやる気のない突撃である。まあ、相手が雑魚だから仕方ないのだが。

 何か暴言を吐いている盗賊共を無視して、馬車道を加速して駆け抜けていった。無論、追いかけてくるがアトラが弓矢を取り出して射るだけで十分対処できた。

「くそっ、行け我が下僕よっ!!」

「……ん? なんじゃ?」

 弓を下して様子を見るアトラ。すると盗賊共の後ろから、何か黒い影が、こちらに向けて駆けてきた。どうやら盗賊のリーダー格が魔道具を使って使役しているらしい。

「……コクローチドラゴンだな」

 コクローチドラゴン。その名の通りこの世界でいうドラゴンにして害虫である。というか、基本的にこの世界のドラゴンは某世界の害虫や害獣がモデルとなっている。けど怖いだろ、ある意味ゴキブリが巨大化してるようなものだし。

「どうやら魔道具で使役しておるらしいのぅ。……ん? 主等、どうかしたのかや?」

 まあ、大きさは違えど、平気じゃない人は本当に平気じゃない。つまり、アトラ以外の女二人はそっぽ向いてるのが現状だ。

「しかしどうするかのぅ? 流石に矢は通らぬじゃろうし」

「……仕方ない、俺がやる。ちょっと時間稼いでくれ」

 どうやら布包みの中身を使うらしい。もう少し隠すとかいったサービス精神を見せて欲しいものだ。……決してネタがないわけじゃないからねっ!!

『ほら、早く解説』

 ええと、ユイは布を解き、細長い筒状の、鉄拵えの何かを引っ張り出した。そして手慣れた調子で腰の巾着袋から取り出したものを筒に入れて反対側を弄り、そこにも何かを注ぎ込んだ。そして構えるとこちらに向かってくるコクローチドラゴンに向けて引き金を引いた。

 もう何だかわかるだろう。……フリントロックライフルだふざけろファンタジー舐めんな馬鹿野郎!!

 ダンッ!!

 悲鳴を上げる間もなく、コクローチドラゴンは頭部を吹っ飛ばされて馬車道を転がった。まあゴキブリは頭吹っ飛ばされても暫く生きてるのだが、もう追いかけて来れないのは確実だった。

「まだまだ精度が甘いな……」

「つってもそれ以上は流石に無理だって」

 因みにユイのオーダーを聞いて、馬を操っているメルトが製作したものだ。あとミクサが作っていたのも思いっきり黒色火薬である。

「しっかし……俺が作ったんだが、ここまでおっかないものができるとは本当に信じられないな」

「まあ当然だ。普通はもう少し技術が発展しないと、量産どころか1丁作るのもままならないからな」

 (ミクサの水筒の)飲み水を使って銃身を冷やしてから、ユイはフリントロックライフルを再び布で包み込んだ。

「それをあんたの故郷じゃ、時代遅れの産物って……一体何処から来たんだよ?」

「ん、ああ……」

 片付け終えた後、ユイはメルトの背中に答えた。


「…………異世界だよ」


 まあ、そんなこと言われても冗談としか思われないだろう。工房トリオに散々笑われたユイであった。当人も証拠があるわけでもないので特に気にしてないようだが、その足はミクサの腹に伸びていたという。合掌。

次回予告兼反省会

 次回の『ロックブラストの奇妙な日々』は~作者です。シャーリーという無口無表情なあん畜生に銀貨一枚を払わせて、若干気分がいいです。明日は出掛けるので書き上げた直後に投稿していますが、誤字脱字があったらこっそり教えてくださいね。できるだけこっそりと、あいつらに見つからないように!!

『どうやるのよ、それ』

「……感想も全員が読んでいるのに」

 うるさいな。というわけで眠いし反省会はここまで!!

 というわけで次回『取り敢えず鉱山回だけど、どこまで進むかは未定』をお楽しみに~。

「……誰か私に銀貨を」

 因みに銀貨1枚一万円位と考えてくれれば無問題です。

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