sky of image
え、あらすじ信じちゃだめよ?
てか文書がかわいそうなことになっています。
推敲は一切しておりません。衝動的にいっちゃった☆←
ある晴れた日の午後。
春真っ只中の王宮の庭に、少女はテーブルをセッティングしていた。
少女の髪は、漆を塗ったかのように艶のある黒髪だ。腰まであり、風に揺られさらさらと揺らぐ。
前髪につけられた青色の超のピン止めは、誰かと見分けをつけるためのようであった。
実際そうなのではあるが。
普段は着ることがない高級そうな服を身に纏い、相方が来るのを待つ。
少し経つと、少女の前から金髪の少年が現れた。
少女は不機嫌そうな顔で少年を睨みつける。
「アレン。何故、私はこんなことをしなくてはならないのでしょうか。些か疑問です」
いつもの小言だったので、アレンと呼ばれた少年は苦笑いを浮かべる。
「しょうがないよ。僕らが仲の良いってことを知らせなきゃならないんでしょ」
「そんなことどうだっていいのですがね・・・・・。アリアも連れて来ればよかったのですが」
アレンはその言葉に、同じ黒髪の少女を思い浮かべた。
こちらは短髪だ。
「アリアさんを連れて来たら余計怪しまれるって。ところでアリスは、何を持ってきたの?」
「これです」
待ってましたというようにアリスは、その手に持っていた四角い箱をテーブルの上に置く。
今までになかったタイプの贈り物に、アレンは困惑した。
「・・・・・・・なにそれ」
「私にもわかりません」
きっぱり言い切った少女に、唖然として顔を向ける。
「何でそんなものを贈ろうと思った訳?」
「そりゃ・・・」
何故か考え始めるアリスに不安を覚えた彼は、箱に触れようとするがその前にアリスが言葉を発したため、その手は宙に浮いた。
「部屋を掃除してたら見つけたんですよ。あなたに対する贈り物がなかったのでこれでいいかと」
「・・・・・・・・・アリス、去年のプレゼントの時もそういってなかったっけ」
「そうでしたか?何分記憶がないもので」
すっとぼけるアリスに少々の呆れを感じずにはいられなかったが、アレンは構わず自分の持ってきたプレゼントをテーブルに置いた。
アリスのものと同じように箱であったそれは、少し横長で、開けるところである場所には鍵がついている。
アリスは目を輝かせながら箱を手に取った。
「それは、おるごーるというやつですね。私の国にもありましたよ。まあ、CDとかに圧されてアンティークの意味合いしかなくなっていますが。あ、でも、もとからアンティークの意味しかないんですかねあれ」
「残念ながら何の話か僕にはわからないよ。でも、確かにこれは君のいったとおりオルゴールさ。結構高かったんだよ」
傍目からはわからないアリスの喜び具合に、アレンの表情はどこか満足そうだ。
「それはありがとうございます。どんな曲が入ってるか楽しみですねー。では、アレン。声をそろえていきましょうか」
「そうだね」
二人は顔を見せ合うと、テーブル上のグラスを手に持ち、高らかに掲げた。
声を合わせ大きな声で言う。
「「誕生日おめでとう!」ございます!」
「なーんて、そんな時もありましたね」
「何だ?藪から棒に」
「いえ、何でも」
アリスは、アレンの訝しげな眼を避けるように顔をそむけた。
2人は、王宮を抜け出し近くの喫茶店に寄った。
店員に紅茶を二つ頼み、向かい合わせで座っている。
アレンが顎を机の上に乗せ、不機嫌そうに睨む。
アリスの黒髪は、姉であるアリアが伸ばし始めているため、今は肩くらいしかなく、その手に持つのは記号しか書かれていない本だった。
要するに、数学の本である。
「ところでアレン。周りの目がうっとうしいので普通に座ってくれませんか?もう子供じゃないのですから、そんな恰好はやめてください」
本から目を離さずにそう告げる。
アレンは19歳だ。だから、体格も大人のそれだし、声も低い。
そんな男が、机に顔を付けていたら注目されるのも当たり前だった。
「暇だからだし。何で俺が一緒にいるというのに本を読み始めているんだよ」
「昨日読み切れなかったからですよ。親に邪魔されましてね」
昨日の事だ。
家にいるうちに有名な数学者が書いた本を読み終わろうと意気込んでいると、親にその本を奪い取られ、その時にアレンに会いに行くことを告げられた。
「全く・・・・。あのくそばばあはいきなりすぎるのですよ。こっちの都合も考えてほしいものです。姉さんばかりかわいがりやがって」
その時、頼んでいた紅茶が来たので、アリスは一旦言葉を切り、それに砂糖を3杯入れる。
アレンは、それに驚くこともなく、自分の分の紅茶を口に含んだ。
普段通りの光景だったのだ。
「親にはいい顔しているんだな」
「当たり前でしょう。私の事を父の昇格の道具としてしか考えないような親でも、その考えをバラし愛想を尽かされたでもしたら、のたれ死ぬしかないんです。女の子ですから」
砂糖をスプーンでぐるぐるかき回しながら、ああ、そうかと思う。
”昔の頃に戻りたかったのか”
いや、もっと前。この世界に生を受ける前。
昔憧れていたのだが、現実はそうはうまくいかないなと感じた。
目の前にいるアレンはもうあの時のような子供ではないし、自分も成長した。
そして親は、成長するにしたがって結婚や作法を身に着けさせることを優先にし、私が最も望む読書や勉強は二の次になっていた。
「どうも・・・・住みにくいですね」
「ん?」
「いや、なんでも」
アリスは、悲壮から笑顔を作れなくて愛想笑いをすると、アレンは納得したのか紅茶を一気に飲み干す。
さっきののんびり具合とは打って変わり、心なしか急いでいるようだ。
アリスは不思議に思いながらも、同じように飲み干しアレンの方に目を向ける。
「よし、行くぞ」
突然アレンに手を取られ、店を出ていこうとする。
「ちょ、ちょっと待ったっ!お代・・・・・」
「また今度なー。つけにしてくれつけに!」
アレンは待ったをかけた店員の横をすり抜け、走り出した。
「さすがに無理だと思うのですが。ていうか、それ無銭飲食」
それでもアリスも戻ろうとしないのは、どこかわかっていたからだろう。
嵐が来るな、と。
二人は街のはずれにある酒場にたどり着いた。
実のところ、二人は喫茶店よりこちらの方に入り浸っている。
本気で走り出すアレンニア切れ長も、男の足についていける自分も凄いなと感心していると、酒場から一人の大柄な男が現れた。
いかつい顔をしており、右目には眼帯をしている。
だが、体に可愛らしいエプロンをしている様はどう見ても狙っているようにしか見えなかった。
ただ単に彼の娘の作ったエプロンを大事に使っているだけという理由なのだが。
「よう、久しぶりだな」
「ご無沙汰しております。ネロさん」
アリスが微笑みながらいうと、ネロは破顔した。
「アリスはこんな素直なのに、お前は何でこんなねじ曲がっちまったんだ?アレンさんよォ」
そういって、アレンの頭をぐしゃぐしゃとかき回す。
本当の親子みたいだな。と、アリスは少しうらやましく思うのだった。
店の中に入ると、確かに営業中であるのに、人一人いなかった。
アリスが無言でネロに顔を向けると、ため息を一つついてアリスとアレンに適当に座るように指示した。
二人が指示に従うと、ポツリを話し始めた。
「あれは半年ほど前の事だ」
ネロが言うには、この近くに新しく不動産屋ができたのだという。
そこの奴らは元手がないため、この付近の住人を恐喝し、土地を手に入れているのだという。
そして、奴らはネロの店にもやってきて、恐喝や客としてきて店員に暴行を加えたり、備品を壊したりと好き放題にやってくれてはいるが、ネロに危害を加えない為、正当防衛になりえなかった。
法律の定める正当防衛は、個人にのみ有効なのであり、店に被害が出ても、それは店の責任となってします。
「思いっきり法律無視しちゃっているじゃないですか。訴えればそれで済むでしょう?
何の法律なんですかバカなんですか。一度六法全書を見直してみたらいいかがですか。ああ、売っていないのでしたっけ。そうですよねバカばっかりですよね。必要な時に必要な本がない本屋って利用価値あるんですか。
それに、あなた男でしょう。もう少し男らしいところを見せてやればどうなのですか。だから奥さんにまで逃げられるんですよ。所詮見た目はいかつくてもチキンハートなのですからねえ」
アリスの容赦ない暴言に縮こまるネロ。
その様子に、突っ込もうかどうしようかとアレンは思ったのだが、結局心の中にしまっておくことにした。
この国に六法全書など存在しないのだ。
「と、ところでさ、それは領主に言ったのか?」
「ああ、言ったさ」
そして、ネロは唇をかみしめる。
「善処するだとよ。3か月前に言ったんだ。しかし、一向に奴らの妨害は収まりやしねェ。最近じゃ、常連の客以外来ェよ」
「ああ、あいつらか」
アレンはその言葉に、ネロの旧友でこの酒場によく入り浸っている海賊崩れの奴らを思い出す。
奴らなら、一発でやっつけてくれそうな気もするのだが、その場合同じように牢屋行きとなるだろう。
それは避けたいことだった。
「ふーむ。そういや、私司法の勉強を一切していませんでしたね。てか、この国の司法はどうなっているんでしょう。また図書館に行きましょうかね」
「お前、何も知らないのにそこまで語ったのかよ」
ネロが呆れたように言ったため、アリスは反論する。
「興味がないことには、とことん触れませんからね。のめりこむタイプっていうか?」
「ああそうかい。で、アレンはどうなっているかわかるか」
少し考え、恐らく、と前置きをし話し始める。
「領主は買収されているんだろうな。いまどき珍しくない。それはこちらの落ち度なんだけどさ、こう、天下のシンガルダ王国でそんな事されたんだからキレていいよな?」
「何でいきなりそんなことになるのですか。あなたは・・・・・」
アリスが”一体王国と何の関係があるのですか”と、聞こうした時だった。
突然何者かが扉をけ破り現れたのだ。
逆光で何者かはわからなかったのだが、アリスは自分の発言を邪魔されてかなり不機嫌になっていた。
だが、そこで思いとどまれたのは、彼女がまだ相手の力量を見極めきれていなかったのと、理性のおかげだろう。
飛び出そうと立ち上がっていたのは言うまでもない事実なのであったが。
アレンとネロは、現れた人物に警戒しながらも、顔を近づけ小声で会話をしていた。
「奴らがそうか?」
「ああ、そうさ。奴らが例の不動産屋、ルアデール協会の奴らだ」
「一人しか見えないんだけど」
「それは、巧妙に隠れているからさ。一人だと思って油断しているとやられちまうぜ」
「なるほど。そういうことか。面倒なやつらだな。こういう時ってどうやって対処しているんだ?」
「対処はしない。徹底的に無視するだけさ。しかし、今回は」
二人は恐る恐るアリスの方を見ると、怒りを必死でこらえているのが分かった。
再び顔を近づけ会話を続ける。
「なァ、何であいつって今キレてんの。キレるのは俺の方だと思うだが」
「あいつは自分の発言を制されることが何よりも気に入らないんだ。しかも見知らぬ他人だから余計に。これでも保っている方だぜ」
「お前とアリスが何で今まで一緒に入れたのか不思議なくらいだな。親になんか言われなかったのか」
「親に抑圧されていたからその鬱憤でキレるんだと思う。だから、親相手には発動しないのさ。
アリス。例の物を持ってきているか」
「もち」
「じゃあ、やってよし」
「ええっ!?いいのかよ」
「内緒だぜ?ここだけの話、父さんに許可はもらっているんだ」
「何の?」
「イライラが募ったら、こっちが危ないから破壊活動していいってお達し」
「・・・・・・・・・・・この国もお終いだな」
「そんなこと言うなって」
そんな言い合いをしているアレンとネロを後目に、ズボンのベルトに引っ掛けていた四角い紐付きのボックスを取り出した。
そう、それはあの誕生日の時、アレンに贈ったものだった。
「タイプβ。ソード」
まるで呪文を詠唱するような静かな声音で言うと、四角いボックスが一瞬にして剣になった。
抜身のみの簡単な真っ黒な剣。
それでも、相手に恐怖を抱かせるには十分だった。
アリスは歩いて、店の外へ出る。
そうすると、隠れていた者たちが一斉に彼女を取り囲んだ。
「少女は、昔憧れていました」
突然始まる独り言は誰も聞いてはいなかった。
相手は、突然切りかかってくる。
それを躱し、時に切りつけながら続ける。
「いつかは王子様が助けてくれるだろうって、そんな夢を描いているときもありました。
でも、少女は気づくのです。現実にそんなことがあるわけないって」
シンデレラや白雪姫なんて童話はやはり物語に過ぎず、現実にそういう人はいない。
相手の心はわからないから。王子には王子の心があって、少女には少女の心がある。
通じ合う事なんて、ないのだ。
「そして、夢を失った少女はだんだんと、心が摩耗していきます」
親の圧力に悩み、礼儀作法が全く身につかない自分に悩み、勉強したい自分がいることに悩み、擦り切れていった。
しかし、少女は一つだけ大事にしたい人があった。
「要は、私には周りが見えていなかったというだけの話ですよ」
彼といたいから、嫌いな親と旅したし、金も稼いだ。
彼が、少女の心をいやしていた。
憎まれ口をたたきながらも、どこか心の中では喜んでいた。
「相変わらず強いな」
アレンに声をかけられアリスがふと気づくと、協会の奴らは皆地面に倒れ伏していた。
「こいつらが弱かったからですよ。あと、強いなんて言葉女の子に言う言葉じゃないと思うんですけど」
やはり、自分は素直じゃない。
褒めてもらってうれしいなんて言えない。
まあ、彼女は女なのだから当然だと思うのだが。
アリスは剣をボックスの形に戻しベルトに括りつけると、遠くから誰かを呼ぶ声が聞こえた。
その声は遠くから聞こえていて誰の名前かはわからないのだが、どうしてだろう。聞いたことのある名前のようだった。
アレンはぎくりとした表情でアリスの腕をつかむと、破壊された扉の前まで来ていたネロに言う。
「やべっ。んじゃ、ネロ。俺ら行くわ。ロベルトたちにそいつらの引き渡しよろしくな」
「分かっているさ。お前もそんだけ隠したいんなら守り通せよ。後二年だろ?」
「ばーか、あと1年と3ヶ月だよ」
「・・・・・そこまで覚えてねェよ。んじゃ、お二人さん。暇なときにまた来いや」
「そうするさ。アリス、ちゃんとついて来いよ?」
「私を誰だと思っているんですか」
これでもインターハイ入賞経験を持っているんだぞと言いかけてやめた。
あの時とはスペックが違うのだ。
その日は、一日中逃げ回って、アレンの母親にしかられた。
アリスの親がいなくてよかったと思うのは、いけないことだろうか。
その日は王宮に泊まることとなったのだが、そこでふと気づく。
1年と3ヶ月後っていえば、自分の誕生日じゃなかっただろうか。
アレンと同じ誕生日である、8月14日は。




