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妹っていいよね。  作者: メモリー
2/2

ヘンタイ姉貴と静かな弟

特になし!

クリーム舐めたい


妹っていいよね。2


マヤ。

小柄な体躯で、気弱で、何処か抜けている様な女の子。

そのせいか、たまに訳の分からない、常識から大きく逸脱した行為をするのだが……。

「あ、シンくん、おはよう……」

限度ってもんがあるだろ!

俺に気が付いたマヤは、眼鏡をかけたままこちらを向く。

そしてゆっくりと起き上が____

「待て待て待て待て!お前裸!今振り向いたらいろいろやばいから!R-18だから!」

「あ、ごめんなさい……」

「い、いや、いいけどさ……でも、何で裸で本読んでるんだ?」

「え、あぁ、これはね……昨日お風呂入った後、ちょっとだけ本読もうと思って読んでいたら、徹夜してたんだよ」

「本より先に服を着ろ!」

「ご、ごめんなさい、怒鳴らないで……」

「あ、ごめん」

「で、でも、私、結構、肌……綺麗でしょ……?」

そういいながら、うつ伏せの状態で器用に足を使って布団を自分にかける。

よし。これでまだマシになった。

「ま、まぁ、確かにリスのふとももと同じ位綺麗だな」

「ん?」

「あ、や、何でも無い」

「ふーん」

あっぶねぇええええ!

危うく俺がリスにセクハラしているのがバレる所だったぜ……。

「あ、そうだ……いい物見せてあげる」

「いい物?」

何だろう。

この前までマヤ、パワーストーン集めにはまってたからな……パワーストーンだろうか……。

だがしかし、マヤはそんな俺の淡い幻想を打ち砕くのだった。

いや、打ち砕くっつーか、木っ端微塵って感じだ。

花火か、俺は。

「も、もっと近く」

「もっと?じゃ、ベッドの上に乗るぞ?」

「う、うん」

何だろう。今若干マヤからいけないオーラを感じた様な……気のせいだろうか。

「わ、私ね……」

「うん?」

むぎゅー。

……。

……?

……!?

マヤは、寝転んで布団を被っていた状態から一転、その布団を脱ぎ、ベッドの上に正座している俺に抱きついて来たのだ。

裸で。

裸で!

ヌード!

カップヌードル!

「し、シンくん……大好きだよ……」

「は、はぁ!?」

待て、状況が分からない。

よ、よし、状況整理だ!

俺、シンは、妹であるマヤに、マヤの部屋で、裸で、抱きつかれている。しかも告白。

……訳分からない。

え、何これ、エロゲ?エロゲなの?しかもまさかの妹を攻略しちゃった感じ?マジで?え、ちょっと待て。落ち着け俺。ちょ、心臓落ち着け!呼吸も落ち着けや!

俺は変にこの状況を悪化させないように、慎重に言葉を選ぶ。

これはあれだ。下手な事言ったらゲームオーバーだ。しかもコンテニューなんて無い。

「確かに、俺も好きだよ」

「ほ、本当……?」

「で、でも、あくまで妹としてだ」

「え、私もだよ?」

「……」

俺、単なる勘違い野郎じゃねぇか……もうやだ……。

「よ、よし、じゃ、服を着て、ご飯を食べようか……」

「う、うん!」

無理矢理話を打ち切った。

打ち切りだ、こんなバカみたいな話。

そして俺は、緑のパーカーと、青のスカートに着替えて腰まである長い髪をポニーテールにくくったマヤと一緒に一階へ降りる。

すると、リスが首を吊ろうとしていた。

……はい?

天井から伸びる輪っか状の縄、そして椅子の上に登っているリスの首には縄____って、呑気に描写してる場合じゃねぇ!

「ま、待て、リス、早ま____」


「駄目だよリスちゃん」


ぞくり。

一瞬だった。

マヤはスカートの中から2m程の大太刀を引っ張り出すと、リスとの間合いを一瞬で詰め、ロープを切った。

一瞬で。

もう何つーか、アニメでも見てるような、そんな感じだった。

「……」

もう、なんつーか、ツッコミ所があまりに多過ぎて、どうしたらいいか分からないので、俺は取り敢えずリスに近付いた。

唯一のマトモな人間。

俺の希望。

ていうか、あの大太刀どっから出した。

あれか、心のナイフか。ヤンキーか。

「何してるんだよ……」

「れ、冷蔵庫……」

「冷蔵庫?」

リスは冷蔵庫を指差した。

何、エロゲの次はサスペンスか?

リスが誰か殺しちゃった的な。

んで、冷蔵庫に保存しておいて、罪悪感で自分も死のう。みたいな?

と、まぁ、そんな感じでくだらない妄想しながら冷蔵庫のドアを開けると、中にはミネラルウォーターとクジラのぬいぐるみしか無かった。

「僕、ご飯作らないとなのに……言ったのに……作るって……言ったのに、嘘吐きになっちゃう……し、死んで詫びます!」

「武士かっ!」

つーか、重いわ!今時グルメアニメでもそんなキャラいねぇぞ!?新境地開拓だよ、すげぇなオイ。

「ったく……じゃあ、ミスドにでも行くか……」

徒歩五分。

「う、うん……」

「わーい、ミスドー!」

喜んだマヤが大太刀を振り回す。

危ない危ない!

「その刀をお前はさっさとしまえ!それから、リス」

俺はリスを優しく抱きしめる。

「もう二度と死のうなんてしたら駄目だ。分かったか?」

「は、はい……」

「ならよし!」

「ミスド、ミスド、きゃっほー!」

「だからてめぇはさっさと刀をしまえって!」


「そしてミスドの店に来ました」

「お兄さんは空に向かって何をつぶやいているのですか?」

「あれ、何でだろう」

宇宙的意思を感じるぜ。

まぁ、そんな事は全く気にしない俺たちは店に入ると、クーラーの涼しさに感動しながら盆を取り、ドーナツの前に立った。

店は流石に7時と言う事で殆ど客はいなかった。

「あ、私ポン•デ•リングがいいなぁ……」

「僕はオールドファッションを志望します。後は、ゴールデンチョコレートとココナッツチョコレートを。この二つは対を成す存在なのです。静と動なのです。あうんの顧客です。」

「へぇ。因みにどっちが静でどっちが動なんだ?因みに呼吸な」

会社か。

「後は、エンゼルクリームが欲しい所です」

「いや、無視すんなや!」

「私は、エンゼルフレンチとチョコファッションかなぁ。後、飲み物はコーヒー!」

「あ、僕もコーヒーがイイです」

「しゃーねーな。じゃあ、俺は何にしようかな……」

「私のあげるよ、シンくん!」

「僕のドーナツもあげます」

「あぁ、サンキュー。で、結局無視かよ」

そんな会話をしつつドーナツを購入して、適当に席を探す。

「んー、何処がイイか____」

「おーい、シンー!」

店に響き渡るほどの大きな声。

この声は……。

よし、逃げるか。

即決断。

大事だよね。

「マヤ、リス、やばい逃げるぞ」

「いやいやなんでウチから逃げようとすんねん」

目の前にいた。

怖いっす。

「ったく……なんでお前がいるんだよ……ソウ……」

「いや、ミスド食いに来てん」

「本当は?」

「シンを誘惑しに来た」

「オッケ、帰れ」

「いやや」

ですよね。

ソウ。

165cm

白いタンクトップとホットパンツという、露出度の高い服装も、モデル体系で巨乳ののソウが着れば目立つし、最高に可愛い。

ジト目や、セミロングの茶髪も、関西弁も全てプラスに引き込んでいる。

まさにクラスのマドンナだ。

いや、俺はなんとも思わねえけどな。

だって……。

こいつ変態なんだもん。

「あ、そうやシン。ウツもおるんよ。せやからこっちでウチらと、そのシンのハーレムと食おうや」

がっちりと腕を組んで、逃げられない様にしてある癖に。

しかもご丁寧に胸まで押し付けやがって。コーヒー零れるって。

どうせ逃げ切れる訳が無いので、俺は渋々ついて行く。

ったく、今日は付いてないぜ。

そしてウツのいる席に行くと、ウツは一人でブラックコーヒーを飲んでいた。

「あぁ、やぁ、シンくん」

「よう、ウツ」

ウツ。

ソウの双子の弟である。

165cm

絵に書いた様なもやしっ子体型である。

若干長めの黒い癖毛が一部の女子に人気らしい。

そしてやっぱりジト目である。

基本的にテンションが低く、服も黒の長袖と黒のジーンズ。

お前は殺し屋か。

闇に溶け込むつもりか。

「あ、どうも、ソウさん、ウツさん。いつも兄がお世話になっております。私はリスです。そしてこちらが姉のマヤです」

テキパキと、決められたルーチンワークの様に、設定されたプログラムの様に自己紹介を淡々と済ますリスと違って、マヤは……。

「え、あ、えと、私、マヤって言います……」

フードを目深に被って、顔を真っ赤にしながらボソボソと喋るマヤ。

正反対だなぁ。

鏡に移したみたいだ。

「なんや、妹なんやな!ウチてっきり、シンがロリコンやさかい、拉致ってきたんかと思て軽くブチ殺そうかと思ってた所やってん。良かったわ」

「本当に良かった。が、俺はロリコンじゃない」

勿論殺す等は冗談なのだが、冗談じゃないと思ったリスが、俺に抱きついて来た。

こいつはなぁ。

ちっぱいだからなぁ。

当たらないんだよな。

「ん?どした、リス」

「あはは、リスちゃんやっけ?可愛いなぁ。お兄ちゃんにべったりやない」

「お兄さんは殺させません」

キメ顔で言いやがった。

あの、顔文字のキリッみたいな顔で。

「いや、冗談なんだよ、リスさん」

ウツがコーヒーを飲みながら言ったのだが、全然離れようとしない。

つか、別にその抱きつき方じゃあ盾として機能しないぜ。

ま、ぶん殴って引き剥がしてでも守るけどな。

「ほら、リス、俺にドーナツくれるんじゃなかったのかよ?俺お腹空いたよ。早く欲しいぜ」

「あ、そ、そうでした……」

思い出したのか、渋々と言った感じで起き上がると、どれを渡すか真剣に吟味し始めた。

「あ、私もあげるね?」

マヤまで悩み出す。

やばい、俺の逃げ場が無くなった。

「へぇ、シンて妹に好かれてんねんなぁ。羨ましいわ。ウチなんか、めっちゃ嫌われてんねんで?」

ソウが肩を竦めて、おどける様にいうと、珍しく拗ねた顔でウツが反論する。

「だって姉ちゃん、すぐに俺の部屋に裸で入ってくるし、誘惑してくるし、週一で犯しにくるし……この前なんか、ベッドにくくりつけられた……」

「怖っ!お前、弟にまで何やってんだよ!」

ふざけんな!

最早単なる変態じゃねぇか!

俺の数少ない男友達になんて事しやがる!

犯罪だ。

「おまわりさーん!ここに性犯罪者がいますよー!」

「あー、そうか、シンは嫉妬してんねんな、分かったで。しゃーないな、じゃあ、ウチがええ事したるわ!」

そういって、ソウは自分のエンゼルクリームのクリームを少し指で取ってそれを自分の胸につけた。

「あーついちゃったぁ、どうしよっかなー。あ、シンがいるやんー。じゃー舐め取ってやー」

「全然いいことじゃねぇ」

棒読みだなぁ。

「ほらほら〜」

俺の言葉を無視してソウは俺の顔を両手で鷲掴みにすると、強引に自分の唇に近付けた。

その間、僅か数センチ。

「ちょ、まてって!舐めるんじゃなくて、これはキスだろう!」

「キスか、おっぱい舐めるか」

「舐めるのはクリームだろうが!何さり気なく究極の二択にしてんの!?」

「えー、もうええやん。おっぱい舐めようや」

「嫌だ」

「そ、そうですよ!お兄さんは妹のおっぱい以外舐めませんし、揉みません!」

それはそれでどうかと思うが。

つか、舐めた事無いし。

「そ、そうだよ、私だってシンくんに揉んでもらうんだから!」

しねぇよ。

揉まねぇよ。

「うーん、ほんならしゃーないな」

しかも挙げ句の果てには納得された。

最悪だ。

なんの仕打ちだよこれ。

俺何かしましたか?

鈍器で頭ぶん殴られた様な事実に

俺が凹んでいると、ウツが肩に手を置いてきた。

「大丈夫だ。世の中が認めなくても、愛情さえあれば、問題ない」

「いや、問題しかねぇよ」

俺がとうとう頭を抱えると、今度はウツはなにか封筒を渡してきた。

「ほら、これ」

「あん?」

「ま、お楽しみだよ」

「ウィンクすんな」

唐突にこんなもの渡されても……。

つか、さっきまでの脈絡無視かよ。まぁいいけどさ。

触り心地からして、どうやら紙の束らしい。雑誌か?

ふむ……まぁ、家に帰ってから開けるかな……。

何が入ってるか分からないし。

その時だった。

誰かの携帯が振動する。

すると、ウツが携帯を取り出して溜息を吐いた。

「はぁ、もう時間か……」

「え、マジで?わるい、シン。ウチらちょっと用事やねんよ!バイバイ!」

それだけいうと、二人は物凄い速さで去って行った。

ふぅ、やっと静かになった……。

なんだったんだ、あいつら。

「お兄さん、あの美人さん誰ですか!?ま、まさか、お兄さんの恋人ですか!?」

「シンくん、あの美人さん、胸にクリームつけたまま出て行ったよ!」

静かにならなかった。

取り敢えずメールで胸にクリームが付着していることだけ伝えると、コーヒーを一口飲んだ。

暖かさで、ゆっくりと気持ちが落ち着いて来る。

「あいつは別に彼女じゃあねぇよ。友達さ」

「な、なんだ、良かった……」

「良かったです……」

「ん?」

一体全体何が良かったのだろうか。

まさか二人とも俺に恋していたりしてな。……笑えねぇ冗談だよ。

自意識過剰も甚だしい。

「はぁ……じゃ、俺達も帰るか……」

俺はお盆を持って立ち上がると、捨てに行く。

にしても、今日は不思議な日だな。

妹がグルメアニメでも無い様な理由で首吊ろうとするし、それを阻止するために妹がスカートの中から大太刀出して、それで縄切るし、変態は出没するし……。

どんだけ個性的なんだよ。

まるでプロローグだな……。

「プロローグ、これにて終了ってな」

まぁ、そんな事は全く無いのだろうけど。

別に何も始まらない。

別に何も終わらない。

なーんて。

カッコつけてんじゃねぇよ、シンくん。

「んじゃ、帰ろうぜ」

「う、うん」

「了解です」

そうしてかくして俺達僕達私達、三人仲良く帰ったとさ。


いやぁ、ミスド行きたい

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