邪神な彼女の質問タイム
なんだろう…。進斗殺したくなってきた……(うらやまし過ぎて)。
夢の中で出会った人(?)に一目惚れしましたとか言ったら、頭のあれな人って思われるんだろうけど、今の僕にとってそんな事はどうでもよかった。生まれてこの方誰かを好きになったことは無かったのだけれど、これが恋なんだと確信した。
そう、僕は恋をしたのだ。邪神な彼女に。
「ここに人の子が訪れるのは10年ぶりか。いや、15年ぶりだったやも知れぬ。まぁ、些細なことであるな。
よくぞ来た。1人の狂喜に囚われた作家の創り出した世界、『夢の国』へ。
この世界に来たと言う事はそなたも何らかの秘密と、何らかの悩みを抱いているのだろう。
私のもとに来たからにはその悩みの解決に力を尽くしてくれようぞ。我こそは這いよる混沌、ナイアラルトテップなれば。
さぁ、望みを言うがよい」
「付き合ってくださいっ!!!!」
「ブフゥッ!!な、何を言いあすのだっ!!??」
「あ、噛みましたね」
「うるさいっ!そんなことはどうでもいいのだうっ!!??」
あれ?何か口を押さえてプルプルしてるんですが…………もしかして、物理的に噛んだのか?
一目惚れした人なので心配になった。
「あのー…大丈夫…ですか?」
「はれの…ふぇいらと…おふぉってふぃるのふぁ…ひょなひゃは……!!」
たぶん、「誰のせいだと思っているのだそなたは……!!」って言ってんだと思うけど……涙目でプルプルしてんのがやばいです。可愛過ぎます。理性が飛びそうです。思考回路はショート寸前です。
「まったく……どうして私の所に来るものは変人ばかりなのだ……?
引きこもりや邪悪皇太子はもちろん、ファイヤーバカの所にさえまともな人間は来るというのにどうしてこんな出会った直後に告白してくるような意味の分からんやつが私の所に来るのだ……?答えてくれ我が王よ」
いや、邪神の名前を持った人が言うセリフじゃないと思います。ついでに我が王ってのはあれか。『白痴の魔王』こと『アザトース』なのだろうか。どうでもいいが。
あれ?そういえば、
「本当に這いよる混沌、ナイアラルトテップさんなんですか?」
「…フン。今更丁寧になりおって……まぁ、よかろう。面倒くさいがこの世界の成り立ちから説明してくれようぞ。ついてくるがよい」
そう言って彼女は玉座から立ち上がり、奥へと歩き出した。
………なぜか僕の学校――――蔵縄学園の制服を着用していたが。
「なんで、僕の学校の制服着てるんです?」
「何っ!!!??これはそなたの学校の制服なのかッ!!??」
何だ、その食いつきの良さは。
「は、はい」
以上に良い反応に驚きながらもどうにか返事を返す。
「そうかそうか!!なら聞かせてもらおう!本当にこんな恰好をしてコウシャとかいうものの中にひしめき合っているのかッ!?」
「え、えぇ。少なくとも僕の学校では制服着用が義務付けられてるので……」
「少なくとも?その他にも何かあるのか!?」
僕の返答の中から少なくともという一言を聞き取って興味深そうに聞き返してくる。その顔もやっぱり可愛いと思えるのでベタ惚れなんだろうな、僕。
「え~っとですね…他の学校には私服登校ってのがありまして…」
「しふく?わたしふくと書いて私服なのか――っと、すまないがここで話は終了だ。着いた」
「あ、はい………って何だここ!?」
僕がナイアラルトテップさん(呼びづら過ぎるので以下ナイさん)に連れてこられたのは、
本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本。
本で全てが埋め尽くされた空間。本に全てが埋め尽くされた空間。本が全てを埋め尽くした空間。
壁、通路、床、棚、机、あろうことか天井までもが本で構成されている、異常にして狂気の世界。
単なる本でもその数が人の限度を超えてしまうとここまでの圧迫感を与えてくるのだと僕は悟った。
って、あれ?もしかして読んだら発狂するような魔道書とかも混じってるんじゃ………なんて思いながらも足元の本に目を落としてしまう。そこにあったのは、
『萌え萌えクトゥルー神話辞典』。
「なんでだよ!!!!????」
別の意味でSAN値が下がった。