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犬は犬でも・・





 


 まだ半分以上も残っていたクッキーが柔らかな芝生の上にぽとりと落ちる。



「あ、勿体ないよ」


「・・ごめん、もう一回言ってくれる?」


「え、だから勿体ないって」


「その前じゃ!」


「うーんと君に助けてもらった犬が俺ってこと?」






 そう、私が聞きたかったのはその部分だ。

 だが聞いたところで理解は出来ないかもしれない、というかこの男も自称国王の弟だけあって可哀そうな人なのかもしれない。それともふざけているのだろうか。


 第一、この兄弟は全くと言っていいほど似ていない。髪の色からしてもそうだし、顔も別物だし醸し出している雰囲気違う。アベルの方はふんわかと言っていいがこちらの銀髪、フランシスは冷たい感じだ。そんな2人が兄弟なのだろうか。



 



 だが、今は置いておこう。それはたいして問題じゃない。



「その犬があなたってこと?」




 馬鹿にしながら眉を上げる。魔法じゃないんだし、どこの世界に人間が犬になると言うのだ。魔女に野獣にされた話の方がまだ信じられる。











 いや、もしかしてこの人、爽やかな顔をして実は犬志願?まさか女王様という仮面で顔を覆って際どい服を着た飼い主に鞭で叩かれることに悦びを見出している犬という名の奴隷!?











 はっと口を押さえて椅子から立った。

 そして急に立ち上がった夏希に驚いているフランシスを穴があくほど見る。



















「もしかして、あなたが女王様!?」







 夏希は確信したように2人を交互に見る。

 自分はもしかしてアブノーマルな世界に連れ込まれようとしているのだろうか。いや、まだノーマルでいたい。鞭なんて使いこなせないし、痛みを求めるようなことはしたくない。



「何を言っているんだ」


 座るように夏希の手を取ろうとするフランシスの手をかわし、回れ右をしてクラウチングスタートの構えをとる。



 

「お、おい」



 フランシスの掛け声を合図にスタートダッシュを切った。



 後に残されたのは出した手を引っ込めるのを忘れてそのまま固まっているフランシスと腹を抱えながらクッキーを喉に詰まらせているアベルだけだった。









鞭で叩かれ蝋燭の火で悦ぶなんて・・

虹乃にはできない・・!

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