格好いいは罪なのか
今度はたっぷり5拍もあいた。
「・・は?」
「だからこの動物王国の現国王だと」
聞き取れなかったのか、と今度は一文字一文字ゆっくり発音してくれる。
耳の悪いお婆ちゃんに優しいね、うふと言いたいところだが、いや、聞こえましたとも。その国王っていうのは、ね。
だがしかし!動物王国とは何ぞや。
夏希はしばらく考えていたがある結論を導きだす。
ああ、もしかして動物を飼っているということか。それできっと支配的な気分になってしまって残念な考えに至ってしまったのだろう。
夏希は可哀そうな物を見るような目で見つめた。
わかってる、わかってるよ、あなたの気持ちは痛いほど分かるよ。
慈愛の目で見つめてあげた。
「なんだ、その目は」
「大丈夫よ、私と一緒に精神科に行こうね。大丈夫、先生は優しくあなたを受け止めてくれるよ」
「なんだ、その精神科とは」
「あなたみたいに、ちょっと危ない人を正常に立ち直らせてくれるところ」
「私は正常だ」
始めは皆、そう言うんだよねと頭をうんうんと振る夏希に男が怖い形相で肩を掴んだ。
「私は大丈夫だ」
「は、はい」
あまりの形相につい頷いてしまったが夏希の頭の中にはまだこの人が危ない人物であると初っ端からインプットされている。
掴まれている肩を見ながら、どうやって離れようかと試行錯誤していると目の前の男は端正な顔を崩して、でれでれとした顔になる。
頬を薄いピンク色に染め上げ、上気している。何だか息も荒くなってきていて身の危険を感じる。
き、きしょ・・
さっきまで格好良かった顔を返してくれ。
自分の顔ではないが、ついそう思ってしまった。
「お前は本当、潰れたヒキガエルみたいに可愛いな」
・・・・・・・は?
「・・ふ、ふ」
突然笑い出した夏希に掴んでいた手を外して顔を覗きこむ。
もしかして悪い物でも拾って食べてしまったんだろうか、心配しておろおろし始めた。
「ふざけんなぁーーーーー!!!」
だが次の瞬間、腹から出された声と一緒に強烈なビンタが飛んできた。
無防備に夏希の顔を覗きこんでいた国王は夏希の渾身の一撃を為す術もなく頬で受け止めた。
ヒキガエルは乙女には禁句でしょう
いや、ヒキガエル愛好家が女性の中にはきっといるはずだからOKですね★




